【第202号】そうじは、知恵と工夫と団結力を育てる|石見交通(株)

そうじの力だより第202号支援事例紹介そうじの力で“工夫する力”を磨く~そうじは、知恵と工夫と団結力を育てる~島根県益田市に本拠を置く石見交通(株)。バス会社を本体として、8社のグループ会社を擁し、社員数は全体で320名になります。9年前からグループ全体で「そうじの力」に取り組み、定期的に報告会や研修会を開催し、互いに刺激し合って取り組みの質を高めています。先日の研修会において、グループ会社から活動報告があったのですが、いずれも、よく工夫されていて、感心しました。いくつかご紹介します。萩石見空港の地上業務をANAから委託されて請け負っている、(株)石見エアサービスの事例です。搭乗客の預かり荷物を降ろすターンテーブルは、小さなゴム片が組み合わさって回っています。そのゴム片の、表面については、今までも清掃をしたことがあったのですが、今回、初めての試みとして、ゴム片を剥いで、裏側まで清掃をしてくれました。やってみると、ゴム片は根っこが固定されていて、完全に剥ぐことはできませんでしたが、一人がゴム片を持ち上げ、もう一人がその裏面を拭き上げるというやり方で、普段は隠れている部分をキレイにすることができました。やってみると、用意した雑巾がすぐに真っ黒になり、長年溜まっていた汚れを落とすことが出来ました。空港開設以来30年間、初めてのことだそうです。後でANAに報告したところ、他の空港にはない取り組みで、とても感謝されたそうです。このことが、機械故障を防いだり、お客様の荷物の汚れ防止につながったりすることでしょう。次に、ガソリンスタンドの運営とプロパンガス供給を行っている、(株)石見エネパワーの事例です。ガスボンベ保管所での地震対策として、ボンベを複数本ベルトで固定する作業を進めています。作業を一人で行う際には、ベルトが下にずれてしまって、はかどらない状況でした。そこで、ある社員さんが工夫して、マグネットでボンベに着脱できる、ベルトの固定治具を作ってくれました。この治具にベルトを通すことで、ベルトが下にずり落ちることなく、一人でもベルト止めの作業がはかどり、大変に効率が良くなったそうです。ちなみにこの社員は、これ以外にも、ガスボンベを手押しの荷車に載せて急な上り坂を登らなければならない状況を改善するため、荷車にモーターをつける、という工夫もしているそうです。最後は、石見銀山世界遺産センターです。ビジターセンターの運営管理が主な仕事ですが、それ以外にも、自発的に、様々な取り組みを行っています。先日は、近くの沖泊港の清掃活動を行いました。沖泊港はかつて、銀山から算出された銀を積み出しする港だった所。遺産センターでは、「観光客にきれいな沖泊を見ていただくため」「実際にスタッフが行き、沖泊の魅力を観光客に伝えるため」「地元の皆さんとの交流を深めるため」に、この清掃活動を企画。地元の商工会や女性ボランティアグループも参加してくれて、総勢20名ほどの賑やかな会になりました。企画した担当者は、「ペットボトル・発泡スチロールなど、たくさんのゴミが落ちており作業後に袋の数を見てびっくりしました。また今回は、温泉津女子会・銀の道商工会・小学生・大学生の皆さんが参加していただきとても感謝しております。これからも観光客に温泉津町・沖泊港の魅力を伝えていきたいです。」とコメントしています。石見交通グループの「そうじの力」は、単なる美化活動ではありません。こうした取り組みを通じて、社員の、企画する力、工夫する力、そして、協力し合う力を育てる活動なのです。今後の活動が、益々楽しみです。     (小早)そうじの力 コラム私の群馬移住物語⑦ 愛知県で揉まれて ~ 2年間の吉原工場(静岡県富士市)での勤務の後、下った転勤の辞令は、『日産サニー中部への出向を命ず』でした。 私が勤めていた日産自動車(株)は、メーカーですが、メーカーは直接車を売りません。車を売るのは販売店(ディーラー)で、メーカーの子会社もあれば、地場資本の会社もあります。 当時の日産には、ディーラー出向という制度があり、私もその制度によって、営業マンとして販売店に出向したわけです。 場所は、愛知県一宮市。ここで、苦闘2年間の営業マン生活を送ります。 第一の壁=言葉の壁 愛知県はいわゆる「名古屋弁」です。 特徴は、語尾が「みゃー」や「りゃー」になること。たとえば、「おみゃーよー(お前なあ)」「どえりゃーことになったでかんわ(大変なことになったから困ったものだ)」という感じ。独特のイントネーションがあります。 その中でも最も特徴的な言葉が「あのよー」でしょう。標準語で言えば「すみません」という呼びかけの言葉に当たるのですが、人に話しかけるときに「あのよー」と言うのです。これが、慣れないと、怖いのです。怖いお兄さんにいちゃもんをつけられているような抑揚なのです。 「あのよー、おみゃーよー、マーチの幅はいくらだ?」(すみません、マーチの値引き幅はいくらですか?)こうしたお客さんの呼びかけに慣れるまでに、結構苦労しました。 第二の壁=気質の壁 愛知県の人は、モノを買う時に、必ず値切ります。正価でモノを買うことは、まずありません。しかも、その値引き交渉は、熾烈を極めます。 たとえば、サニーの見積を最初200万円で出したとします。当然お客さんは競合他社と相見積して、もっと値引けと要求してきますので、こちらも負けじと値引き幅を上乗せしていきます。そして、もうこれが限界ですよと180万円の最終見積を提示し、お客さんも「わかった、これでええわ」となったはずなのに、契約書にサインする段になって、「もう2万円まけてくれんとサインせんわ」と言い出すのです。トホホ・・・。 第三の壁=トヨタの壁 愛知県は、言わずと知れたトヨタの牙城です。走っている車は圧倒的にトヨタが多く、他社は苦戦を強いられます。 相見積でも、こちらの提示に対して、お客さんが「トヨタはここまで値引いてくれる」「トヨタはこのオプションをサービスしてくれる」とギリギリ責められ、あげくに結局はトヨタ車に決められてしまう、ということが頻繁に起こります。 そんなこんなで、「愛知の壁」に悩まされて、なかなか車が売れません。それでも、慣れというのはすごいもので、1年を過ぎるあたりから、私もエセ名古屋弁がしゃべれるようになりました。お客さんとの駆け引きも、うまくなりました。最後はバンバン売れました。振り返ってみれば、実に面白い2年間でした。〔続く〕(小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第202号 2022(令和4)年5月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333   FAX:050-6868-2721   メール:info@soujinochikara.com