第77号「そうじの力だより」
活動報告成果はかけた手間ヒマに正比例する 〈脱効率という道〉~?マツバラ おそうじパワーアップ活動~環境整備とは何か?と問われれば、「手間ヒマをかけること」と答えます。経営とは何か?という問いに対して、「効率を追求することだ」と答える人もいるでしょう。しかし、効率を追求したことで幸せになった部分もあれば、かえって不幸になった部分もあるのではないでしょうか。岐阜の鋳造メーカー株式会社マツバラでは、二年前から弊社のサポートにより「おそうじパワーアップ活動」に取り組んでいます。各部署がそれぞれ毎日二〇分ないし三〇分という目標時間を決めて、そうじに取り組んでいます。交代勤務でラインが稼働していますので、ラインを停止するのが難しく、作業の合間を縫って各人が自分の判断でそうじをしています。中には毎日一時間近くそうじしている人もいます。加えて、毎月一回、「一斉清掃デー」が設けられ、二時間ラインを停止させて、全社員が普段は手の届かない部分の整理・整頓・清掃に取り組んでいます。当初、鋳造工場特有の粉塵が降り積もっていた工場内も、信じられないくらいにキレイになってきました。キュポラ(炉)に登る階段は、以前はいつ見ても粉塵が積もっていて、階段の上り下りが危険なほどだったのですが、今は床面が光っています。ここはなかなかキレイにならない部署だったのですが、社員の意識が明らかに変わってきました。実際、私自身もパトロールで現場に入ると、色々なことに気づきます。先日も、床下に潜り込んでいる時に、配管の穴あき(エア漏れ)を発見しました。そうじの行き届いている部署は故障も少ないというのは、うなずけます。同社は、社長自らが真摯にそうじに取り組んでいます。松原社長は、どんなに忙しくとも、毎日三〇分間、工場に入っての粉塵除去、あるいは敷地内の草むしりなどに取り組んでいます。社長たるもの、もっと重要な仕事がある、と言う人もいるでしょう。しかし松原社長は笑って言います。「そうじをしていると、色々と良いアイデアが浮かんで来るんですよ」「良いことをしていると、神様はご褒美をくれるものですね」と。 (小早)おそうじ紙上講座見えないところに邪気が溜まる 〈裏、奥、隅がポイント〉~心と形はつながっている~環境整備を推進するときに、いきなり機械のパネルや床のタイルを磨こうとする人がいますが、私は「ちょっと待ってください」と申し上げます。最初にやらなければならないのは、裏、奥、隅のそうじです。表面というのは、誰でもそれなりにそうじはするものですが、裏、奥、隅などは滅多に手を入れることがないため、不要物やゴミ、汚れが溜まるのです。右はある会社の作業台の下面です。床にたくさんのゴミが溜まっています。この状態で、見えるところだけそうじしても、ここにホコリやバイキンが溜まっているのですから、部屋の空気はちっとも清潔になりません。右は、個室トイレの間仕切りの上部です。これではいくら便器をそうじしたところで、上からホコリが降ってくるのですから、やはりキレイになりません。先日ある会合で講演させていただいた時には、参加者の方々から「自分もそうじは好きだが、奥や裏はしていなかった」という感想をいただきました。さて右上は、男子の小便器の水濾です。表面はキレイなので、そうじはしているのでしょうが、おそらく一度もこの水濾を開けて中をそうじしたことはないのでしょう。ここに嫌な臭いが溜まるのです。私たちには、「その場しのぎ」をするという悪い癖があります。また、「面倒くさい」という怠け心もあります。そうした心のありようが、裏、奥、隅に現れるのです。ですから逆に、裏、奥、隅を徹底的にキレイにすることで、私たちの心の奥も整えることができるのです。 (小早)飯塚輝明の輝け!中小企業~強い決意を支える、具体的な計画書~前号のこの欄で、前職での私の体験談をご紹介したように、リーダーの不退転の覚悟と姿勢こそが、社内の環境整備プロジェクトを成功に導くもっとも大切なポイントです。 プロジェクトを始めると、最初に最大の壁が訪れます。経営者(リーダー)以外は誰も環境整備が何より大切なんて思っていません。 社員全員が「自分の仕事はしっかりしているし、そうじだってきちんとしている。」と思っているのです。 「環境整備が大切だぞ!」の掛け声は、社員にとっては、さらに余分な仕事を増やされることに対する心理的な抵抗感を呼び起こします。その抵抗感という壁は想像以上に高く、多くの経営者(リーダー)はその壁を前にして挑戦をあきらめるのです。 私が前職で環境整備プロジェクトリーダーをすることになった時にも、まさに最初にこの壁をどうやって壊すかに悩みました。 考えた結果、計画書を作りました。これは、「リーダーとして何をしていくかの計画」です。 いつの会議で決意表明をして、サブリーダーを選出して、その次にはそのサブリーダーとチーム編成を検討し、実際の環境整備の活動をスタートできるのは何回目の会議以降だな、などとラフな計画を立てました。 ここからさらに、決意表明原稿や会議の運営方法やルールまでを決めていきました。 ここまでしてみて環境整備のプロジェクトを絶対成功させるという覚悟の上に何とかなりそうな自信が生まれたのです。 計画書を作成したことは、効果が絶大でした。リーダーとしての覚悟を、決意表明の場で強く訴えることが出来、さらにその覚悟が社員に伝わったのは、その後の会議やプロジェクトの運営が周到に準備されたからこそだったと実感しています。 実際のプロジェクトは、計画通りには進まず、予想外の事態も起きますし、運営方法も実際の会議の中で何度も修正を重ねました。 つまりは不完全な計画だったわけですが、それでも計画を立てたからこそプロジェクトは動き出したのです。 不退転の覚悟と姿勢を示せる具体的な行動が、とにかく計画を立ててみることから生まれます。(飯塚)お知らせ◆新春経営セミナーin東京『そうじの力で会社が甦る!』 なぜそうじを取り入れると会社が良くなるのか、その合理的メカニズムをご説明します。経営改革に成功している会社の事例のご紹介や、具体的導入方法もお伝えします。【日時】2012年1月20日(金) 16:00~18:00【場所】ビジョンセンター日本橋 東京メトロ三越前駅徒歩1分他【講師】小早 祥一郎【費用】5,000円 終了後、懇親会を開催(費用別)参加には事前申し込みが必要です。早めにお問い合わせください。◆創業道場 来年2012年も、経営者、後継者、起業志望者を対象に「創業道場」を定期開催します。 環境整備実習 担当:小早 祥一郎 あしたの社長学 担当:須田知身(事業再生財団) 各自の経営計画書に基づく実践 発表とアドバイス。 【日 程】 通常開催 3月7日(水)、5月9日(水)、6月6日(水) 7月4日(水) 於高崎市特別編「経営計画作成合宿in草津温泉」 2月1日(水)~4日(土)特別編「経営計画発表会」 4月4日(水) 於高崎市編集後記ボケとツッコミ ある日の我が家の会話。 某ドーナッツチェーン店のチラシが新聞に折り込みされていました。 それを見た4歳の息子「うわー、おいしそう!ねえねえ、匂いかがせてよ!」 6歳の娘(冷たく)「インクの臭いしかしないよ」 息子「ありゃ?」(小早)株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備(規律・清潔・整頓・安全・衛生)は「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。現状調査(診断)やご相談は無料です。全国どこでも出張が可能ですので、お気軽にお問い合せください。