【第82号】気持ちが前向きになればすべてうまくいく!|(株)マツバラ

事例紹介気持ちが前向きになればすべてうまくいく! 〈実は一番変わったのは社長自身〉~株式会社マツバラ おそうじパワーアップ活動 半期報告会&表彰式~岐阜県にある鋳造メーカー㈱マツバラは、弊社が二年ちょっと前から環境整備推進のお手伝いをしてきた会社です。四月十六日、「おそうじパワーアップ活動半期報告会&表彰式」が行われました。各グループが、この半年間に日々どのような整理・整頓・清掃活動をしてきたのかをビフォア・アフターの写真入りでプレゼンし、会長、社長、小早などが審査をして表彰を行います。すでに三回目となった今回の報告会ですが、発表の内容が格段に充実してきました。それは日々の活動のレベルが上がってきたことの証左にほかなりません。鋳造工場というのは、製造過程で砂を使用することもあって、大量の粉塵が発生します。弊社がお手伝いを始めた当初は、床に数十センチもの粉塵が積もっているような状況でしたが、今はきれいに掃き清められています。今回、栄えある金賞には、造型横係が輝きました。表彰状と金一封を手渡された造型横係のメンバー、満面の笑みです。その造型横係で活動を引っ張っているのが、林サブリーダーです。松原史尚社長が、「この二年間で一番成長した人材」と評する林さん。ここで、林さんがサブリーダー昇格試験の際に書いた論文の一部をご紹介します。〈私は二年間おそうじ委員をやっていろいろ大切なことを学びました。最初は「自分の言うことなんか聞いてくれるのか」、「どうしたら部署のみんなは掃除や改善活動をやってくれるのだろうか」など不安でいっぱいでした。でも考えていても仕方ないので、まずは自分が率先してホウキを持ち掃除をするようにしました。そうしたら、今までは「鋳造工場だしこれが当たり前」と思っていたのが、自部署を含め工場全体がいかに汚いかということに気づきました。最初の頃は自分が気づいた所を提案してみんなに手伝ってもらって改善していましたが、半年、一年とおそうじ活動をやっていくうちに、それぞれが考え、私が提案しなくても自然に改善活動ができるようになり、日に日に自職場がキレイになっていきました。その結果(昨年の)年間表彰で銀賞を取ることができました。私が学んだ一番大切なことは、まず自分が率先してやる。そうすれば必ず周りは付いてきてくれるということです。「一生懸命やれば周りを巻き込みプラスのサイクルで良い方に、良い方に回していける」ということです。この事に関しては自分の中ですごく自信になりました。おそうじ活動を通じてもう一つ学んだことは、仲間の大切さです。私は本当に横型メンバーに助けられました。最初は「なんで掃除なんか」と文句の一つや二つ出ると思っていました。しかし誰一人文句も言わず協力してくれました。「一人では小さな事しかできなくても、みんなでやれば大きな事も成し遂げられる」この事を実際に実践できたのは私の中では大きな財産となり、今後の業務に大きく生かしていけると思います。これからも仲間を大切にし、職場内で感謝の気持ちを忘れずに素直に「ありがとう」を言っていきたいです。〉以下は松原史尚社長の談話です。〈林君は入社して二年でサブリーダーに昇格しました。これは大抜擢なのです。当初私は、林君は造型係に向かないのではないかと思っていました。機械に弱いようなのです。ところが今ではそんなことは微塵も感じさせません。彼の作る製品には不良が本当に少ないのです。林君は、時間があればいつもホウキを持ってそうじしています。おそうじパワーアップ活動によって、確実に若手が育ってきました。ホウキを持つのに技術も経験も要りません。やろうという意識さえあればできます。そこに若手のやりがいが生まれるのです。そうじをしてキレイになって腹が立つ人はいません。気持ちが前向きになるから、何をやってもうまくいくのは当り前です。〉そうおっしゃる松原社長自身、毎日最低三十分間をおそうじ活動に充てられる実践派。取り組みを始めてから、一日も欠かしたことがないのだそうです。その松原社長が言います。〈実は当初は、「社員を変えてやろう、会社を変えてやろう」と思っていました。でも、こうして毎日三十分間のそうじを続けてきて、間違いに気がついたのです。やらなきゃいけないのは自分です。社員を変えたい、会社を変えたいと思っていたら、いつまで経っても変わりません。自分が変わることが必要なのです。気づいたら会社が変わっていました。〉おそうじ匠の技商売の根本は「お客様に喜んでもらうこと」~「作業」と「そうじ」は違うことを知るべし~今回は、私と小早が車での移動中に遭遇した出来事をレポートします。給油のために、とあるガソリンスタンドに立ち寄りました。給油開始後、店員さんが、「窓をお拭きします。」と言って窓を拭いてくれました。ですが、ベチョッ!との音とともに勢い良く窓ガラスを拭いていく店員さん。その雑巾の通った後には、汚れた水滴が拭き跡として残っていきます。乾くとフロントガラスは真っ白で、視界は見事に曇ってしまいました。(汚れたままの、しかもしっかりと絞れていない雑巾を使ったからです。)驚いたことにそんな状態で「終了しました~」とあちらへ行ってしまう店員さん。小早がたまらずに「ちょっ、ちょっと、もうちょっときれいに拭いてくださいよ。」と注意しました。すると、その店員さんは何を思ったか、乾いた雑巾ですでに白く乾いた窓を拭いています。白く曇った窓ガラスはそのままに、また「終了しました~」と言う店員さん。その時の小早の表情は、まさに「目が点になる」という表現がピッタリでした。これ以上、何を言っても無駄だと悟った小早がつぶやいた一言。「ダメこりゃ。次いってみよー!」 いかりや長介のモノマネでした・・・。これは、「作業」と「そうじ」はまったく違うという見本のような事例です。店員さんは「窓拭き」という「作業」を行いました。きっと「わざわざ窓を拭いてあげたのだから文句を言われる筋合は無い」というのが本音でしょう。そもそも、なぜ窓拭きサービスというものが存在しているのでしょうか?きっと本当は「お客様に喜んでいただく」ことが目的だと思います。でもそんな意識もなく、「窓拭き」という形だけの作業を行っているのです。まさに「お客様に喜んでいただく」という商売の根本を理解していない典型ということです。私たちが期待した事は、良好な視界の確保です。この場合、店員さんがするべきことは「窓ガラスの表面に視界をさえぎるものが何もない状態」にする「そうじ」なのです。これを実現する作業としては、「きれいな水で固く絞った雑巾で水拭きしたのちに、素早く乾いたきれいな雑巾で水分を拭きとる」ことです。この手の「作業」と「そうじ」の混同は、私たちの身の回りに驚くほど多く存在しています。レストランでは、汚れたテーブルをフキンで拭いてかえって臭い匂いがしてしまう場合や、モップがけと称してまんべんなく汚れを均一に伸ばすだけの作業など見受けられますし、トイレ掃除をした形跡はあるが全くきれいではないトイレなどなど。「そうじ」とは「そこにあるべきものだけにすること」です。だから、【掃く・拭く・磨く】という作業をしたからといって「そうじ」をしたことにはなりません。これを理解するためには、実際に「そうじ」をすることを積み重ねて体得していくしかないと思います。逆に言えば、そうじに真摯に取り組むことによって、商売の根本を学ぶことができる、ということもできるでしょう。        (飯塚)おそうじコラム「続ける」=物事を成し遂げるための唯一最大の取り組み~大間々の松?靖さんに学ぶ~群馬県みどり市大間々町で足利屋洋品店を経営する松?靖さん。 人情に厚く、古い町並みの残るこの大間々で、松?さんはリーダー的存在の方です。 松?さんが毎月発行しているニュースレター『虹の架橋』がこのたび二百号の大台に乗りました。 私もこうして毎月ニュースレターを発行していますので、それを二百回、つまり十六年と八ヶ月も発行し続けることがいかにすごいことかが分かります。 この『虹の架橋』、内容がまた充実しているのです。 季節の話題、地域の行事をはじめ、『小耳にはさんだいい話』では、毎回じわっと来て思わず涙が滲んでしまうような心温まるエピソードが紹介されています。 この『虹の架橋』はいまや、大間々の地域新聞になっていると言えるでしょう。 ところで実は、私たちが高崎で定期的に公園のトイレそうじをするようになったのは、松?さんの影響なのです。 松?さんたち『郷土を美しくする会』では毎週金曜日の朝に大間々駅のトイレそうじを行っており、こちらも既に七百五十回を超え、平成九年に始めて以来、一度も途切れたことがないのだそうです。 この大間々のトイレそうじに体験参加させてもらった私たちは感動し、その帰り道に立ち寄ったデニーズで食事をしながら、「よし、高崎もやろう!」と熱く、アツ語り合ったのです。 以来、回数こそ足元にも及びませんが、私たちもトイレそうじを続けています。 洋品店という、どちらかと言えば斜陽産業の中にあって、足利屋が輝いているのは、松?さんが『虹の架橋』の発行や駅のトイレそうじを続けることを通じて人格を磨かれ、そのオーラが店を覆っているからだと思うのです。 そんな人格者の松?さんですが、実は大変にお茶目。 地域のお祭りには、毎回奇抜な衣装で仮装して参加。その「おバカ」な姿は、涙が出るほどのおかしさです。 『虹の架橋』の人気コーナーである『靖ちゃん日記』は、毎回爆笑のオチがついています。 左はその『靖ちゃん日記』の一節。〈最高に楽しいお祭りだったが、仮装で穿いた網タイツが股間にくいこみ赤くすりむけて痛かった。これだけが「タマに傷」だった。〉             (小早)輝け!中小企業会社が楽しくなる! ~気づく能力が開花する ~以前に勤めていた清掃用具販売会社で私が環境整備の総リーダーに就任し、プロジェクトが進行する中で、私と三人のサブリーダーが、リーダーの経験をしたことによって会社が楽しくなった。というのが前回にお話ししたことです。 さらに、気づく能力が開花したことによって、もっと会社が楽しくなりました。 プロジェクトが進んで1年も経たないうちに、社内に目立って汚い所は見当たらなくなっていました。そうすると、今まで物が多かったり汚れていたりして見えなかった事柄が、良く見えてくるようになったのです。 具体的には二つの事柄が見えるようになりました。一つ目は、さらに磨かなくてはいけない所です。たとえば、机の上や引き出しの中がキレイになったことで、次に引き出しを外したあとのレールや机の内側を磨いていないことや、コンセントのカバーなども外してみるとさらにキレイにすることができたりなどです。配線のコード類なども磨いてみるとまったく美観が変わります。 そんなところまで?と思われるかもしれませんが、こんな細かい所にも目と手が届くようになると美観の迫力や説得力が格段に改善されるのです。 二つ目は、そうじの痕跡からその人のやった作業の内容やその人の状態、時には感情までも理解することができるようになりました。 私はこうしたことに気づくようになってから、会社が楽しくてしょうがない状態になりました。 痕跡からメンバーの活動や状況が伝わってくるので、サブリーダーやメンバーを心から褒めまくりました。 気づいては褒めるというやり取りを何度も何度も繰り返すうちに少しずつ社内のコミュニケーションが良くなりました。善循環のはじまりです。それこそが、「そうじの力」です。 また、気づく能力の開花も私だけでなくメンバーにもこの時期からはっきりと感じられるようになりました。それは環境整備ミーティングでの発言内容に自発的な提案や「そんなところに気づいたの?」というような提案がでるようになってきたからです。 ここで得た教訓は、どうやら「気づく」とは、後天的に獲得できる技術だったということです。それは、「気づこう」とするだけで身につくものではなく、日々のトレーニングによって習得し向上できる種類のもののようです。 そして、そのトレーニングには、いろいろと方法はあるのでしょうが、私が知る限り「毎日、時間と場所を決めてそうじを続ける事」が最適なのだと思います。 私も「気づく能力の向上」のために毎日のそうじを続けています。     (飯塚)今月の読書から『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』増田俊也著~なぜ強かったのか? 驚くほどシンプルな事実~私は高校、大学と柔道をやっていました。35歳の時に久しぶりに稽古をしたら、いきなり肋骨を折ってしまい、以来柔道はやめ、今は合気道に親しんでいます。 中高生の頃にはブルース・リーに憧れ、よく教室で「アチョー!」と飛び蹴りの真似をして、制服のズボンの股を破って母親に怒られていました。そんな私も、「15年間不敗、史上最強の柔道家」と謳われる木村政彦のことについては、ほとんど知りませんでした。本書を読むと、木村政彦がいかに常識を超えた強さだったかがよく分かると同時に、明治、大正、昭和にかけての武道の歴史を知ることができ、大変に勉強になりました。柔道も合気道も、ともにルーツは江戸時代の徒手武術である「柔術」にあり、沖縄空手なども含めて相互に関わりがあったこと。柔道と言えば「講道館柔道」ですが、講道館とはもともと柔道の一流派にすぎなかったこと。戦前の柔道には、当て身(打撃)なども認められる試合があり、いわゆるバーリトゥード(何でもあり)に近かったこと。そのバーリトゥードの試合において木村政彦は、ブラジルのエリオ・グレーシー(ヒクソン・グレーシーの父)に圧勝したこと。などなど、興味は尽きません。では、なぜ木村はそれほどまでに強かったのか、その答えがまことにシンプル。「その自信は誰よりも多い練習量にあった」と。当時のトップクラスの選手が3時間を稽古に当てていたところ、木村はその3倍の9時間練習したと言います。しかも、これには筋力トレーニングや諸々の予備練習は含まれず、そうしたものを含めると、実に1日14時間ほども練習していたのだそうです。「最強」「天才」と呼ばれた人のベースが「人の3倍努力した」ことだったというのは、私たち凡人にも、努力によって成し遂げられることがあるのだ、という希望を抱かせてくれます。さて興味深いのが、この本にもトイレそうじが登場することです。〈 塾生は朝起きると(中略)徹底的な掃除だ。「一木一草にまで気を入れて掃除すること。些事への心遣いこそ修行だ」牛島(木村の師匠)は掃除こそ日本人の身だしなみだと強調し、自らも時に一緒に雑巾を掛けた。木村もそのうち散らかった部屋を嫌うようになる。全日本選士権で初優勝してからは、木村は進んで便所掃除を引き受けるようになった。実力が上がるにつれ、知らず天狗になるのを自ら戒めるためである。今のように水洗ではないので便壺の糞尿は丸見えである。アンモニア臭に咽ながら奥まで手を突っ込み、亀の子わしで、こびりついた糞を毎日こそげ落とした。そして最後に便所の隅に野菊を一輪さした小さな花瓶を置いて、その日の掃除を終える。 〉ここにも「そうじの力」がありました。(小早)◆支援先合同研修会開催!「第一回そうじの力クラブ」 弊社がお手伝い申し上げている会社を一堂に集めての合同研修会を開催いたします。 内容は、弊社支援先である(株)小河原建設の見学会、各社の取り組み内容の発表、小早の講義、そして夕食交流会です。 各社の取り組みを、当事者から直接見聞きする絶好の機会です。 この合同研修会のオブザーバーを募集いたします。 環境整備に興味がある、これから取り組もうと思っている、あるいは既に取り組んでいるが、なかなか進んでいない、という方、ぜひご参加の上、各支援先の社長さんと交流してみてください。【日時】 7月6日(金)    AM10:00集合 PM8:00解散【場所】 東京都中野区【内容】10:00~12:00 小河原建設見学会12:00~13:00 昼食13:00~16:00 各社による取組み発表16:00~17:00 小早による講義17:00~17:30 名刺交換会18:00~20:00 懇親夕食会【費用】 一人8,000円       (昼食代、夕食代含む) 参加ご希望の方は、5月25日(金)までに小早宛にご連絡ください。◆小早 祥一郎 講演会福井県鯖江市にて  私の尊敬する経営者である(株)ムラケンの村上廣昭会長の主催する村上経営道場で講演させて頂くことになりました。 今回は、環境整備(そうじ)のことに加えて、企業理念のこと、「自立」についてといったこともお話させて頂くつもりです。 講演後は、参加者による懇親夕食会があります。【日時】 5月16日(水)PM6:30~9:00【場所】獏の棲む森      福井県鯖江市東鯖江1-2-16 【費用】一人3,000円(夕食代込み)【主催】村上経営道場【申込先】事務局 藤井高大様      fine-t-f@amber.plala.or.jp株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備(規律・清潔・整頓・安全・衛生)は「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。現状調査(診断)やご相談は無料です。全国どこでも出張が可能ですので、お気軽にお問い合せください。