【第85号】同じ志を持った仲間だから切磋琢磨できる|第1回そうじの力全国大会

事例紹介同じ志を持った仲間だから切磋琢磨できる 〈実物を見聞きするのが一番の勉強〉~第一回「そうじの力クラブ」合同研修会~去る七月六日、東京にて、弊社がお手伝いをしている会社を一堂に集めて、合同の研修会を開催いたしました。名付けて『第一回そうじの力クラブ合同研修会』。午前中は、(株)小河原建設の見学会、午後は各社の取り組み発表会、その後、立食による懇親夕食会というメニューです。小河原建設は、弊社が支援している会社の中でも、もっとも取り組みが進んだ会社のひとつです。同社の事務所内と、近くにある建築現場を見学してもらいましたが、その説明のひとつひとつに、参加者は食い入るように聞き入っていました。「建築現場の仮設トイレがピカピカなのには驚いた」「机の上に何もない。我が社もだいぶ机上をキレイにしたつもりでいたが、まだまだ甘いと実感した」「説明してくれる社員さんたちが非常に前向きに真剣に取り組んでいる。会社全体が同じ方向を向いていると感じた」などなど、参加者にとっては、レベルの高い取り組みにナマに接することで、大いに刺激になったようです。午後は、各社二十分間の持ち時間で、それぞれの取り組みについてプレゼンテーションしてもらいました。私が印象に残った各社のプレゼンを少しだけご紹介します。Y社「当社には一部に前向きに取り組んでいる人もいるが、抵抗勢力もいる。自分がもっとリーダーシップを発揮して、彼らを巻き込んでいきたい。」L社「当社にとって環境整備とは、人の成長のためのツール。企業理念実現のためのツールである。」F社「当初は、面倒くさい、時間がもったいない、忙しい、と言っていた社員も、今は楽しみながら取り組んでいる。」「他社と交流することで、ウチも決して負けていない、まだまだウチも進化できる、という意見も出てきた。」M社「総リーダーは就任以来、課長、次長、部長とスピード出世した。そうじの活動を通じて、みんなをまとめる力を存分に発揮してもらったからこそ。」「直接の因果関係は証明できないが、結果として生産性が三十%向上、原価が二十%低減した。」W社「実際に少しずつキレイになると、『これはいいね』と賛同する社員が一人二人と出てきた。」「以前はモノがよくなくなっていたが、モノの置き場を表示することによって、モノがなくなるということがなくなってきた。」「小河原建設さんの見学をして、いかに当社が甘いか分かった。明日から、まずトップである自分自身が取り組みます!」N社「毎月の責任者を決めてから、社員の意識が明らかに前向きになった。」「最近は社員から、ゴミ箱にキャスターをつけるなどの提案が出るようになってきた。以前にはこんなことはなかった。」M社「当社はこの秋に新工場への移転を控えている。移転でハード面は改善されてもソフト面での改善がなければクレームは減らない。それが取り組みの一番の理由。」「床がキレイになったことで、リーダーたちに変化が出てきた。もっと床を輝かせたい、床以外の所もキレイにしたい、という声が出てきた。」H社「書類が山積みだった頃は、常に仕事に追われている気分だった。今は落ち着いて仕事ができる。」「以前は人任せの傾向があったが、今は自ら行動する、即行動する、という風土になりつつある。」O社「近隣のそうじをしていると、近所の方からお褒めの声をいただける。もっと回数を増やしていきたい。」「そうじのリーダーシップは、通常業務ではなかなか経験できない。自分が一番成長できる。」懇親夕食会においては、お互いの情報交換に花が咲き、酒も料理もなかなか減りません。他社の抱える悩みについて、「よく分かります!」と同感したり、自社の抱える問題点をさらけ出して、「こんなとき、御社ではどのように対処していますか?」と質問したり。話は尽きません。後日寄せられた感想文の一部です。「今回、色んな会社の取り組みを見せていただき、非常に参考になりました。スタッフ全員と一緒に参加することが出来たらとも思いました。 」「発表の中で感じたことは、地元の地域にまで、環境整備のエリアを広げている会社が、とても多かったことです。社内だけの環境整備で満足していたのでは、お客様に『ありがとう』と言ってもらえる会社には、近づけないと感じました。 」「環境整備の仲間がいることはとても心強く嬉しい!共に成長していきたい!ということです。そして今後増えるであろう新しい仲間たちとの新たな出会いも楽しみになりました。」「同じ志で取り組む同志と経営者としての先輩方から励ましの言葉や、アドバイスをいただける機会があることが力になります。時に心折れそうな時もありますが、全国各地に仲間がいることが支えになります。多くのモデルを拝見することで、とにかく少しでも前進を作ると再び覚悟を決める場となりました。 」この合同研修会は、来年以降も毎年開催していきます。また、これ以外にも、支援先が相互に視察・交流できる機会を積極的に設けていきます。       (小早)おそうじ匠の技そもそも洗剤の力とは?~主成分は界面活性剤~汚れに作用する力として①物理力②化学力③温度、の3つがあげられます。 前回は、汚れに対しては物理力の果たす役割が大きいことをお伝えしました。では、化学力=洗剤とはいったいどんなものなのでしょうか。洗剤とは、界面活性剤を主成分とし、物を洗う事を目的に作られた製品です。「かいめんかっせいざい」って???難しい言葉ですね。界面活性剤とは、二つの異なる性質をもった物質の境界面(境目)に作用して、境界を無くしてしまう物質のことです。混じり合わない二つの物質が、この界面活性剤の力によって混じり合うという事が起きます。たとえば、水と油は混じり合わないですが、界面活性剤の作用で水と油の境界面の性質を変え、水と油を混じり合わせることができるのです。界面活性剤を使った洗剤には用途によってざまざまな種類、製品があり、代表的なものだけでも石鹸、アルカリ洗剤、中性洗剤、酸性洗剤、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤などがみられます。今回はこれらをすべてご説明する誌面はありませんので、それぞれの詳細については次回以降に譲ります。洗剤で気をつけなければいけないのは、よく拭き取る、あるいはよくすすぐ、ということです。界面活性剤は二つのものを混じり合せるだけですから、洗剤をつけただけでは「キレイ」になったわけではありません。汚れは依然、混じり合った状態でそこに存在しているのです。拭き残し、すすぎ残しがあると、余計に汚くなってしまいます。また、一部の洗剤は、人体に悪影響のあるものもありますから、完全に取り除くことが大事です。ちなみに、下水道に流す場合、環境に対する影響は、どの製品でも少なからずあります。              (飯塚) <補足解説>「洗剤というのは汚れを消してくれる魔法の道具だ」というような観念が広まっているように感じますが、飯塚の解説を読むと、それが誤った考えであることに気づかされます。時々、洗面所で、たっぷり石鹸をつけたわりには、ザッとすすぐだけで手洗いを終える人を見かけます。トイレそうじなどの場面でも、洗剤を大量に使い、すすぎに手間がかかり、挙句の果てに、タイルの隙間に洗剤が残ったまま、などというシーンに出くわすこともあります。洗剤を使うと、それだけでキレイになったような錯覚に陥りやすく、集中して「磨きこむ」ことを怠る要因にもなります。そのため、慎重な取り扱いが必要です。こうしたことを考慮すると、①できるだけ洗剤を使わずにそうじする。②洗剤を使用する場合には、用途に応じた最適のものを選び、適量(少量)を使用する。③しっかりと拭き取る、あるいはすすぐ。ということが大切になってくるのではないでしょうか。       (小早)おそうじコラム台湾にて「そうじの力」を想う~街を見れば、民度が分かる~先日、同じ経営の勉強をしている仲間と一緒に、台湾に行ってきました。 旅の期間中、それぞれの経営実績についての発表会を行ったり、台湾の歴史や日本との関わりを知ることのできる建造物の見学をしたりして、短いながらも実に有意義な旅でした。 私は個人的に、「そうじ」の観点から台湾を眺めてみたいと思っていましたので、どうしてもそうした所に目が行きます。 台湾滞在中、私は毎朝ホテルの周りを散歩したのですが、街中がキレイなことに感心しました。 特に表通りに関しては本当にキレイで、タバコの吸い殻などもほとんど落ちていません。台湾の景観は東南アジアっぽいのですが、東南アジアにありがちな不潔感がありません。 見ると、清掃員があちこちにいて、そうじをしています。裏通りに入ると汚い所もありますので、ひょっとしたら、この清掃員たちがそうじをしている所だけがきれいなのかも知れません。 ただ、それだけではない気がします。街中を歩いていると、ゴミ箱があちこちに設置されていることに気づきます。 市民も、ポイ捨てせずにゴミ箱に捨てるように心がけているのはないでしょうか。 最近日本では、公共の場からゴミ箱がなくなっています。そのことが、ポイ捨てを誘発しているように感じるのは、私だけでしょうか。 私は常々、街のキレイさとその国の民度は比例する、と考えています。 そんな話をしていたら、同行した人が、「スイスは街が本当に綺麗だよ」とおっしゃっていました。 翻って日本はどうでしょうか。幕末から明治初期に来日した外国人が口を揃えて「清潔だ」と評したこの日本。 このままでは、台湾からの観光客をガッカリさせてしまうのではないでしょうか。 さて旅の期間中、朝の散歩を含めて、日本人ゆかりの建造物の見学や飲食街をぶらつくなど、実によく歩きました。 最終日の夜は、おいしい小龍包のお店からホテルまで歩いて帰ったのですが、いつも携帯している万歩計が二〇八六三を示していました。 さすがに二万歩を超えると、翌日足腰が重くなります(笑)。       (小早)輝ちゃんはミタ!「第一回そうじの力クラブ合同研修会」での感激本誌冒頭でご紹介した「第一回そうじの力クラブ合同研修会」。その中で特に印象の深い出来事を紹介いたします。 一つ目は、この会から遡ること一ケ月ほど前の事。会社見学の受け入れをして頂いた(株)小河原建設様では、準備に忙しくなってきた時期でした。 池田リーダーを中心に、社員全員で社内をチェックして、汚れている箇所、乱れている箇所を整えていきます。 その池田さんがしていたのが、写真のような行動です。 非常に細かい場所にすう~っと指を走らせて、その指先を見つめながら「なぁんだ、ちゃんとやっているじゃない」とつぶやいていました。まさに、女優の泉ピン子がやったらめちゃくちゃ似合いそうな仕草、通称「小姑の指チェック」です。 さて、チェックされた社員さんの方はといいますと、「よく気がついてくれましたね」とうれしそうな笑顔でした。 池田さんが楽しそうに指を走らせる姿と、うれしそうに応える社員さんを見て、とても暖かいものを感じました。 じつはこの「指チェック」、小早もよくやっています。しかも実に楽しそうに・・・。これはけっして意地悪ではなく、例えて言うならば、獣医さんが動物のウンコを触ってみて、動物の健康状態などを把握するのと同じことだそうです。 二つ目の出来事は、参加企業各社発表会の中の一場面です。 西島木材(株)の西島社長が、発表の冒頭で、「そうじの力」の支援を受けようと決意したきっかけになった小早との初対面の場面をお話しされていました。 西島社長いわく、小早にいきなり同社の問題点を指摘されて、「痛い所を突かれて、正直ムッとしました」とおっしゃっていました。 ですが、それだけに、「この人は信頼できる人だ」と思い、小早とともに環境整備に取り組むことにしたそうです。 そんな話を実に楽しそうに自信に満ちた声でお話をされている姿に、わたしは感動をいたしました。 私も、小早が初対面にもかかわらず歯に衣着せず指摘を申し上げる場面に同席したことがあります。隣で聞いている私はハラハラとしてしまいますが、本人はいたって涼しい顔です。  「必ず良くなって頂きたい」という信念の行動なのです。その行動が大きなきっかけになった事を、この日の西島社長のお話から教えて頂きました。   (飯塚)今月の読書から『街道をゆく40』台湾紀行 司馬遼太郎著~台湾で活躍した日本人たち~今回の台湾旅行の目的のひとつに、日本統治時代に台湾で活躍した日本人の足跡を訪ねることがありました。 台湾は、日清戦争後の下関講和条約により日本に割譲され、太平洋戦争終結までの50年間、日本領でした。その50年の間に日本は、当時まだ近代国家の体をなしていなかった台湾で、鉄道、水道、道路、電気といったインフラの整備を行い、教育体制も整えました。植民地というものを肯定するわけではありませんが、業績は業績で正当に評価するべきだと思います。台湾の衛生状態の改善に大きく貢献したのが、後藤新平です。医師であると同時に官僚、そして政治家であり、後には東京市長となって、関東大震災後の復興に大きく貢献した人です。後藤は1898年、台湾総督だった児玉源太郎に乞われて、民生局長に就任。当時台湾社会に蔓延していたアヘンの吸引を、ゆるやかに禁止する「漸禁政策」により撲滅。マラリアやペストも、公衆衛生のインフラ整備により、なくなっていったのです。司馬は、「日本列島に住むひとびとは、奇妙なことに、上代から清潔好きだった。」と書いています。逆に、「かつての漢民族の文化は、概して清潔には無頓着だった。」とも。後藤は日本人として、清潔にすることこそが、病気を防ぎ、健康に暮らすための環境整備である、と分かっていたのです。台北の街がきれいなのも、後藤たちがこうした衛生観念を植えつけたからなのでしょう。さて、当時の台湾南部の嘉南平原は、毎年雨季に洪水が起きる一方で、乾季には土地がカラカラに干からび、作物が育たないどころか、飲料水の確保も困難なほどでした。この嘉南平原に巨大なダムを作り、灌漑設備を整えようと奮闘したのが、日本人技師、八田與一(はったよいち)でした。八田は未開の現地に家族と共に住み、10年の歳月をかけてダムを完成させました。当時「東洋最大」のダムにより、嘉南平原は肥沃な穀倉地帯に生まれ変わり、今も台湾の台所を支えています。ダムを見下ろす高台に八田の銅像が建っているのですが、今でも毎年、現地の農民の手によって墓前祭が行われているそうです。風土病など生命の危険さえある未開の地に移り住み、現地の住民のために巨大プロジェクトを指揮した八田と多くの日本人。あの当時の日本人の“使命感”というものを、私たちは学ばねば、と思います。(小早)◆読者プレゼント!「そうじの力」オリジナルビブス  「そうじの力」のロゴマークを胸と背中にあしらったオリジナルのビブス。 環境整備活動などの折に着用すれば、映えること間違いなし! このオリジナルビブスを読者の皆様にプレゼントいたします。 応募条件は、本『そうじの力だより』を3人の方に転送していただくこと。 ご希望の方は、3人の方に転送していただいた上で、お申込みください。◆DVD無料頒布中!『(株)マツバラおそうじパワーアップ活動』 (9分) 岐阜県にある(株)マツバラは、鋳造メーカー。鋳造工程で砂を使用するため、大量の粉塵が発生します。 弊社がお手伝いを始めた2年半前は、粉塵が山と積もっていましたが、今や工場内は床が光るほどにキレイに。 そして「不良品が少なくなった」「若手が成長してきた」「人が辞めなくなった」などの効果が出ています。 活動の様子と社長インタビューを収めた9分間の映像DVDを無料頒布します。 巻末連絡先までお申込みください。◆一緒にやってみませんか?☆北三公園トイレそうじ【日時】 8月1日(水)AM6:00~7:00【場所】群馬県高崎市緑町1-21【費用】無料【主催】NPO法人    次世代型人材育成ネットワーク 「一度は体験してみたいな」と思ってはいても、その機会がないとなかなか体験できない公共のトイレそうじ。 当NPOでは、定期的に公園のトイレそうじを行っています。 道具は揃っていますので、動きやすい服装に手ぶらでいらしてください。 はじめての方でも懇切丁寧に指導いたします。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備(規律・清潔・整頓・安全・衛生)は「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。現状調査(診断)やご相談は無料です。全国どこでも出張が可能ですので、お気軽にお問い合せください。