【第205号】自分たちの職場を、自分たちで働きやすいように変えていく|(株)森田石材店
そうじの力だより第205号支援事例紹介自分たちの職場を、自分たちで働きやすいように変えていく~第9回そうじの力全国大会より、(株)森田石材店の取り組み~去る6月24日、『第9回そうじの力全国大会』を開催しました。コロナの影響で、3年ぶりの開催となりました。42社60名の参加を得て、盛況に催すことができました。今回の会場は、兵庫県丹波市の(株)森田石材店。創業103年の、墓石の販売施工と葬祭業を営む、社員35名ほどの会社です。同社では、5年前から、弊社のお手伝いにより「そうじの力」に取り組んでいます。活動開始前の悩みは、「ミスやケガ、クレームが多い」「探し物や忘れ物が多い」「工場や事務所がごちゃごちゃして狭苦しい」というものでした。私がまず着目したのは、石材の在庫の量でした。本社の敷地内に大量の石材がストックされているだけでなく、山奥の社有地にも、大量の石材が山積みされています。最初の2年間は、とにかく「捨てる」ことに注力しました。石は腐りません。だから、それを捨てることには相当な抵抗があったはずです。社長の気持ちも揺れ動いていたようです。しかし、使わない石材を捨てて、だんだんと敷地内の使い勝手が良くなってきます。すると、不要なものを捨てて身軽になることの重要性が実感できたようです。ある時に、山奥の社有地に山積みされている石材を、一気に砕いて、すべて処分しました。ここから、同社の取り組みが加速します。同社の活動の特徴は、自分たちの力で自分たちの職場を、働きやすくするための工夫をしている、という点です。たとえば、工場の床面は、当初、経年劣化でガタついていたり、高さが合っていなかったりしました。これを、自分たちで鉄筋を組み、セメントを流して、キレイな床面をつくり上げました。土間打ちは、墓石の施工現場でいつも行っているので、お手のものです。最後はカラーで塗装して、美しく仕上げました。それ以外にも、石材を挟む治具を定位置化するためのラックを、オリジナルで作ったり、脚立などの道具の置場を、単管パイプを組んで作ったりしています。取り組む中で、当然ながら、抵抗勢力も出てきます。たとえば、営業所のデスク。当初は書類が山積みで、デスクとデスクの間もパーテーションで仕切られて、まさに「風通しの悪い」状態でした。抵抗する人もいて、なかなかスッキリしません。それでも、少しずつ不要なものを捨てていき、整えていきました。するとだんだんと、皆の気持ちも前向きに変化していき、ある時期に、思い切って、個人デスクを廃止し、フリーアドレスにすることができました。おかげで、物理的にも心理的にも、非常に風通しの良い営業所になったとのことです。森田茂樹社長は、この5年間の「そうじの力」の取り組みを通じて、「ミスやケガがなくなった」「同じ方向を向く人の集団になった」「社員一人ひとりの積極性や創意工夫の力が高まり、部署間の風通しが良くなった」と述懐しています。そして、厳しい時代なので、売上は上がらないものの、粗利益は上がっている、と言います。参加した皆さんのアンケートにも、「社員さんたちの明るく自信に満ちたプレゼンが、同社の素晴らしさを物語っている」という趣旨のコメントが多く書かれていました。今後も、同社のさらなるレベルアップがますます楽しみです。 (小早)スタッフ大槻飛鳥の飛鳥はミタ!第9回そうじの力全国大会レポート 第9回そうじの力全国大会では、ホスト企業である(株)森田石材店の見学に加え、全国から参加してくれた支援先企業による取り組み発表が行われました。 私も、久しぶりに各社の発表を聞かせていただき、それぞれに進化しているようすがわかり、とても嬉しくなりました。その中で印象に残ったお話を、抜粋して掲載させていただきます。■石見交通(株)(バス会社) 「弊社は現在SDGsに取り組んでいます。海岸清掃や、地域イベントへの参加を積極的に行っています。これらのベースは、そうじの力の取り組みです。グループ会社を横断し、連携して活動してきたことが、SDGsの取り組みにつながっています」■Mランド(自動車教習所) 「わが社にとってそうじの力は、『想い』を共有させるツールです。教習生がMランドに期待してほしい、卒業するときにMランドを惜しんでほしい。心を動かす教習所になろうという想いを、そうじという『行動』をもって、全社員と共有しています」■西村ジョイ(株)(ホームセンター) 「倉庫在庫ゼロ(不良在庫ゼロ)に向けて、全社で活動を進めています。大型店で生まれた空いた倉庫スペース140坪を生かすため、改装して店舗面積を広げる計画をしています」■(有)ファイン(製造業) 「工場内が綺麗になったことで、お客様から工場見学会や商品説明会の要望が増えました。それに応えるために、プロのデザイナーに空間プロデュースを依頼しました。オープンファクトリー化を進めていきます」 どの会社も、すでに5年以上そうじの力に取り組み続けています。毎日・毎週・毎月と、コツコツ地道な活動を続けてきたその先に、「自社が次に向かう道」を見出しています。次なる発展に向けたステージに歩みを進めていることが感じられる、素晴らしい発表でした。 ご参加いただいた皆様の感想です。「整理整頓が社内のコミュニケーションを深め、組織力につながっていることを強く感じました。なぜ『特定の部署』や『希望者だけ』の活動ではなく、『全社体制』でやることが重要なのか実感しました」「スペース(ゆとり)の重要性を実感しました。そして“安全”は、整理整頓の先にあるということがよくわかりました。そうじはまさに長期的視野に立った投資ですね。ぜひ見習いたいと思います」 「まずは自分の机周りを少し整理してみようかな」という声もちらほら聞くことができました。本会が「最初の一歩」を踏み出す機会となりましたら幸いです。 (大槻)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第205号2022(令和4)年8月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333 FAX:050-6868-2721 メール:info@soujinochikara.com