【第86号】リーダー交代のチカラ|(有)ファイン

事例紹介リーダー交代のチカラ 〈リーダーを引き受けることこそが役得〉~若い芽がどんどん伸びてくる~福井県鯖江市の(有)ファイン。メガネフレームなどにデザインを印刷する会社です。同社で「そうじの力」研修を導入してちょうど一年になります。同社では取り組みにあたってリーダーとサブリーダーを選出し、社長と私を含めた四名で「そうじの力」プロジェクトチームを形成して活動を進めています。これまでのリーダーである東さんとサブリーダーの笠原さんはともに、とても良くやってくれました。一年経ったのを区切りにして、新リーダーに交代してもらうことにしました。当日、全員を集めてそのことを告げると、「えー!」「聞いてないよ!」と、会場がどよめきます。ひょっとして自分が、と、隣同士で顔を見合わせます。誰もが、役を引き受けるのを嫌がるものです。できるだけ上からの指名ではなく、全員が納得ずくで新リーダーが決まってほしいと思い、「自薦、他薦は問いませんので、みなさんで決めてください」と言って、下駄を預けました。さあ、社員が輪になってリーダー決めが始まりますが、「シーン」として、誰も発言しません。下を向いて顔を上げようとしない人、横を向く人、クスクス笑いだす人。中学生の集会のようで、かわいいものです。時間はかかりましたが、最後には五十嵐さんが手を上げてリーダーになってくれました。また、それならば、ということで富山さんがサブリーダーに手を上げてくれ、これで新体制が決まりました。なぜリーダーを交代させるのか?運営をスムーズに行うためには、むしろ交代させない方が良いのかも知れません。しかし、実はリーダーになる人が一番成長できるのです。率先してそうじに取り組む、みんなに声掛けする、意見をまとめる、アイデアを出す、計画書やフォーマットを作成する。これらのことを通じて、着実に人を引っ張っていく力を身につけていくのです。実際、東さんも笠原さんも、もともと素直で前向きな人でしたが、役を通じてリーダーシップを発揮できるようになり、同社にとって欠かせない戦力となりました。全員にリーダーを経験して成長して欲しい、それが藤井社長の想いです。五十嵐新リーダーの下、同社はさらなる進化を遂げていくことでしょう。一方、岐阜県関市の鋳造メーカー(株)マツバラでは、今年の四月に「おそうじパワーアップ活動」の委員会メンバーを総入れ替えしました。若手にどんどん活躍の場を与えようという松原社長の意向で、社長に指名を受けた社歴が短く年齢的にも若い二十名ほどのメンバーが揃いました。委員長の下野さんは、二年半前に「おそうじパワーアップ活動」が始まった時には課長でしたが、その後、あっという間に次長、部長へと昇格しました。もともと実力があったのはもちろんですが、「おそうじパワーアップ活動」の委員長という役を通じてリーダーシップを発揮したことが評価されたものです。下野さんだけは委員長を留任してもらいましたが、今回から新たに副委員長として、前期までの委員会メンバーで、非常に積極的に活動に取り組んでくれた伊藤さんと林さんを任命しました。林さんは、この活動でのリーダーシップが認められ、四月に副主任に昇格したばかりです。これまでは、下野委員長と私(小早)が会議や現場巡回を取り仕切って進めていましたが、今回から、副委員長の二人に仕切ってもらうように変えました。すると驚いたことに、伊藤さんも林さんも、実に積極的に、イキイキと場を引っ張っていってくれるのです。現場視察においては、前回の指摘事項がきちんと改善されているか、ヒアリングすると同時に、自分の目で現場を確認しなければなりません。二人とも、デスクの下に潜り込んで、床下にホコリがないかどうか、確かめていました。部署によっては、自分よりも年齢、役職ともにはるかに上位の人に対して、ヒアリングをしなければなりません。不具合事項について指摘しなければならない場面もあります。おそらく彼らにしてみれば、目上の人にモノ申すのはたやすいことではないでしょう。しかし、これもリーダーとしての貴重な経験です。業務そのものであれば、なかなか対等の立場で発言はできないものです。これこそが、彼らにとっての成長のチャンスなのです。新体制になり、委員会の進め方も変わり、同社はますます若手が伸びて、進化発展していくことでしょう。      (小早)おそうじ匠の技用途に応じた最適な洗剤とは?~アルカリ性洗剤、中性洗剤、酸性洗剤~ホームセンターなどに行くと、洗剤というだけでも、様々な種類のものが置いてあります。場面で分けられているだけでなく、「アルカリ性」とか「中性」「酸性」などの記載がありますが、それがどういう意味なのかは、普通はわからないですよね。分かりやすくするため、汚れを、■油汚れ、■泥汚れ(ほこりなど)、■尿石・水垢、の3つに分類しました。☆油汚れには、アルカリ性洗剤が有効です。「アルカリが油と交ると石鹸になる」作用と界面活性剤の作用のダブルの力で油を取り除くことができます。しかし、人体や素材に影響があります。皮膚のたんぱく質を溶かしたり、目の角膜などを痛めたりします。素材によってはアルカリに反応するもの(アルミ、銅、天然ゴム、羊毛、絹など)があります。直接手に触れることはやめてください。直接人体に触れる可能性のある用途(食器や調理具など)には、中性洗剤が適しています。中性洗剤は、界面活性剤の成分だけで作られているので、人体や素材に対しての影響は軽微です。油に対しての洗浄力はアルカリ洗剤に比べて弱いですが、手荒れが少ないなどのメリットがあります。☆泥汚れ(ほこり)に対しては、実は洗剤は作用しません。ほこりや土砂などの固形物に対しては、水と物理力が有効です。例えば、サッシの溝などは泥汚れですが、水にぬらしたブラシでこすって、ティッシュでふき取るだけでピカピカになります。☆尿石・水垢は、酸性洗剤が有効です。尿石とは、尿の中に含まれる尿素やアンモニアなどとカルシウム化合物がかたまりできるものです、トイレの黄ばみなどがこれです。水垢とは水道水の中のカルシウム化合物や石灰がかたまったものです、風呂の鏡の白いうろこ状の汚れや水道蛇口などに付着する白い汚れがこれです。いずれも酸によって溶ける作用があります。酸も人体や素材に影響があり、取扱には注意が必要です。(飯塚)<補足解説>飯塚の説明どおり、同じ洗剤でも、アルカリ性と酸性のものでは、その作用に大きな違いがあります。これらの違いをきちんと理解した上で使用しなければ、落ちる汚れも落ちないし、場合によっては危険を伴うことにもなります。一番驚くのは、泥汚れには洗剤(石鹸)は作用しない、ということです。また、人体や環境にまったく影響のない洗剤(石鹸)というのもあり得ません。私もそうでしたが、多くの人が勘違いしているのではないでしょうか。どうやら私たちは、商業主義に根差す商品コマーシャルに踊らされているようです。常々申し上げているように、洗剤は万能ではありません。安易に洗剤に頼らずにそうじする工夫をしたいものです。       (小早)おそうじコラムシステム(仕組み)と意識~ゴミのポイ捨てに「そうじの力」を想う~ゴミ拾いをしていると、色々な面白い場面に出くわします。 道路一面に何十本ものタバコの吸い殻が落ちていることがあります。おそらく一人の人物が吸ったのでしょう。「大人吸い」というやつですね。ここまで大量だと、彼の肺が心配です(笑)。 歩道の植え込みも、要注意箇所です。外からは見えにくいのですが、大量のゴミが隠されています。 見える場所に投げ捨てるのは気が引けるのでしょうか。コソコソとゴミを植え込みの奥に隠す瞬間を見てみたいものです。 ゴミのポイ捨ては、根本的には、幼少時からの家庭内における“しつけ”や教育、つまりは人格の問題でしょう。 しかし、社会的なシステムにも、何か工夫の余地があるように思います。 公共の場所に、もっとたくさんのゴミ箱を設置したらどうでしょうか? こんな意見をフェイスブック上にアップしたところ、ある知人から以下のようなコメントをいただきました。 <ゴミ箱設置するとゴミ箱からもれてもゴミを捨ててくんですよ。いままで家に持ち帰ってたひとも捨てるようになるんですよ。ゴミ箱のゴミ回収の頻度が保てないと結果さらに汚くなりますよ。 > なるほど・・・。良いと思われるシステムも、結局はそれを使う人間の意識がしっかりしていなければ、逆効果にもなるということですね。 昔私が土方のアルバイトをしていた時、周りの作業員が休憩時間にタバコを吸い、その辺にポイポイ捨てるのが嫌でたまりませんでした。 私はそれならば、と、携帯用灰皿をいくつか購入して、彼らに配りました。 結果、多くの人は、その後はちゃんと携帯用灰皿に入れて持ち帰ってくれるようになりました。一部、ポイ捨てを続ける人もいましたが・・・。 最後は個々人の意識の問題ですが、携帯用灰皿はシステムとしてポイ捨て防止に有効です。 そういえば先日、上野駅で、路上で喫煙している人に、「タバコのポイ捨て禁止」というビブスを着たパトロールのおじさんたちが近寄り、何も言わずに携帯灰皿を渡しているのを目撃しました。 私は思わず、「おぬし、できるっ!」と唸ってしまいました(笑)。     (小早)輝ちゃんはミタ!小早自身の実践の徹底度に驚いた!先日、弊社の支援先である(株)小河原建設様で、パソコン内の環境整備実習が行われました。 まずは、やり方を説明するために、小早がプロジェクターを使いノートパソコンの画面を映し出しますと・・・。 なんと、映し出されたデスクトップ画面には、アイコンが二つしかありません。 小早曰く「現実の環境も、パソコン内の環境も全く同じです。整理整頓されていると、仕事の効率が格段にちがいます。」とのことです。また、「デスクトップは机の上と一緒ですから、机上ゼロが基本です」とも。 この日私は、研修のアシスタントとして皆さんの実習のお手伝いをしながらも、内心気が気ではありませんでした。なぜなら、わたしのPCデスクトップには、いくつもアイコンが並んでいたからです。 帰宅するなり、さっそく実習でやっていたのと同じ手順で、パソコンデスクトップから整理を始めて、かなりのファイルを捨てることができました。ラベルの表記も整えられるものは整えました。結果的に私のデスクトップもアイコン二つの状態になり、パソコンも気持ちもスッキリいたしました。 それにしても小早の環境整備が徹底されていることには驚きます。 また違う機会に、同社でトイレそうじ実習がありました。新入社員も数名いて、本格的なトイレそうじを初体験してもらいました。写真のように外せるものはみんな外して徹底的に磨きます。同社では数年にわたり環境整備活動を積み重ねていることもあってか、初体験の人も躊躇することなくトイレと格闘していました。実習終了後の感想発表では「やってみると素手でも全然気にならない。気持ちが良かった。」などの感想が聞かれました。 ちなみにトイレそうじ実習をするにあたり小早は、「素手での強制はしません。ただ、素手でやる意味は、感触で汚れが確かめられるからです。」と言っておりました。そう言いながら、いきなり便器の中に素手をザブンと突っ込むのだから、社員さんたちもやらないわけにはいきません(笑)。 最後の写真は、「そうじの力」ビブスの初披露をした時のモノです。この日の小早の背中は、ことのほか嬉しそうでした(笑)。  (飯塚)今月の読書から『リストラなしの「年輪経営」』塚越寛著~余裕がない時から掃除は励行していたのです~伊那食品工業(株)は、ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』でも紹介されている、言わずと知れた超優良中小企業です。 寒天製造において世界トップシェアを占め、48期連続増収増益。広大な会社の敷地は「かんてんぱぱガーデン」の名の通り、地域の人々に愛される「庭園」となっています。私も何回か見学に訪れていますが、何といっても一番驚いたのは、社員さんたちが、ちょっとした手待ち時間にサッとホウキや雑巾を持って、身の回りをそうじするシーンに何度も出くわしたことです。言うは易し、行うは難し。こうしたことは付け焼刃でできることではありません。本書は、「劣悪な」労働環境だった同社をここまでに引き上げた塚越寛会長が、氏の経営哲学を分かりやすく説明した本です。塚越会長は、「会社は社員を幸せにするためにある」と明快に言い切ります。そのためには、「急成長は敵」であり、数年前に寒天ブームが起こって売上が急激に伸びた時も、社員の健康を考えて残業を制限したといいます。この本には、「心の経営」を目指す人にとってテキストとなるような名言がいくつもちりばめられています。<人件費はコストではなく、会社の目的そのものである。> <人の犠牲の上に立った利益は、利益ではない。> <最大の効率化は幸せ感が生むモチベーション。> <会社経営の要諦は『ファンづくり』にあり 。> <日本はモノづくり大国から観光大国へ。>そして、何よりもご紹介したいのは、塚越会長の「そうじ」に対する姿勢です。<伊那食品工業本社のトイレには建設以来13年間、小便のしずくが1滴も落ちた形跡はありません。要は、便器をピカピカにきれいにしておけば、一滴のしずくも外に漏れなくさせることはできるのです。当社では、社員が素手で、毎日便器を磨きます。だから、非常にきれいです。ズボンを押し付けても平気です。だから、一滴も落ちないわけです。><では、清掃会社にお願いして、きれいにしてもらったらいいのでしょうか。違います。社員自らが、自分たちの手できれいにすることが大切なのです。そのことによって、単にきれいな場所というのではなく、会社の理念や思想が表されているからです。><当社の社員たちは、自ら徹底的に掃除をしているので、掃除に対する目が肥えています。それは、取りも直さず、会社に対する目、社員に対する目、経営者に対する目が肥えているということです。><何より、掃除をすることで、職場環境が良くなり、そこで働く人たちの快適さが増します。社員の幸せを増すという会社経営の目的に直結しているのです。><よく「塚越さんのところは、余裕があるから」と言われますが、そうではありません。余裕がない時から、掃除は励行していたのです。>同社の実績そのものが、そうじの威力を如実に物語っています。           (小早)◆小早 祥一郎が講演します福井県鯖江市にて  私の尊敬する経営者である(株)ムラケンの村上廣昭会長の主催する村上経営道場(MKD)で講演させて頂きます。 今回は、今までにMKDで学んだ方々の同窓会と、新規参加予定者の歓迎会も兼ねて行います。(講演後に食事会) はじめての方も、どうぞお気軽にご参加ください。【日時】 9月20日(木)18:30~21:00【場所】獏の棲む森      福井県鯖江市東鯖江1-2-16 【費用】一人3,000円(夕食代込み)【主催】村上経営道場(MKD)【申込先】事務局 藤井高大様      fine-t-f@amber.plala.or.jp◆DVD無料頒布中!『(株)マツバラおそうじパワーアップ活動』 (9分) 岐阜県にある(株)マツバラは、鋳造メーカー。鋳造工程で砂を使用するため、大量の粉塵が発生します。 弊社がお手伝いを始めた2年半前は、粉塵が山と積もっていましたが、今や工場内は床が光るほどにキレイに。 そして「不良品が少なくなった」「若手が成長してきた」「人が辞めなくなった」などの効果が出ています。 活動の様子と社長インタビューを収めた9分間の映像DVDを無料頒布します。 巻末連絡先までお申込みください。◆読者プレゼント!「そうじの力」オリジナルビブス  「そうじの力」のロゴマークを胸と背中にあしらったオリジナルのビブス。 環境整備活動などの折に着用すれば、映えること間違いなし! このオリジナルビブスを読者の皆様にプレゼントいたします。 応募条件は、本『そうじの力だより』を3人の方に転送していただくこと。 ご希望の方は、3人の方に転送していただいた上で、お申込みください。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備(規律・清潔・整頓・安全・衛生)は「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。現状調査(診断)やご相談は無料です。全国どこでも出張が可能ですので、お気軽にお問い合せください。