【第88号】企業文化として根付くということ|(株)マツバラ

事例紹介企業文化として根付くということ 〈良い意味での競争心も出てきた〉~(株)マツバラ おそうじパワーアップ活動 半期活動報告会&表彰式~岐阜県の鋳造メーカー(株)マツバラ。三年前から全社を挙げて「おそうじパワーアップ活動」に取り組んでいます。私は同活動の立ち上げ当初から関わっており、現在も毎月訪問して、現場チェックや講義、委員会ミーティングでのアドバイス等を通じて活動促進のお手伝いをしています。鋳造工場では製造過程で大量の粉塵が発生します。私が最初に訪れた頃は、床に粉塵が二〇~三〇センチほども積もっていましたが、今は床が光るほどキレイになっています。半期に一度、活動内容の発表会兼表彰式が行われます。各部署がこの半年間に行った活動内容をプレゼンし、顕著な効果が認められた部署に金賞、銀賞、銅賞が送られるのです。先日行われた二〇一二年度上半期の発表会兼表彰式の冒頭、松原史尚社長は、次のような主旨のことをお話しされました。〈この困難な時代の中にあって、生き残っている会社に共通している特長が三つある。まず、当たり前のことが当たり前にできる、ということ。たとえば挨拶、身だしなみ、そうじといったこと。次に、大きな志がある、ということ。最後に、会社の発展と社員の幸福が一致している、ということ。当社にとっては、この「おそうじパワーアップ活動」こそがこれら三つの基礎になっている。おかげで品質、納期、付加価値はそのままで、お値打ち価格で製品を提供できるようになった。ゆえに同業他社から睨まれている。そうじをすることで気持ちのいい職場環境を作ることができるから、心がプラスになる。プラスの心でモノを作るから、何をやってもうまくいくのは当たり前である。〉社長はこの活動を「会社経営の根幹に据える」と常々公言されており、「会社がどんな状況になっても、絶対にやめない」という強い意志に基づいて、活動の旗を振っておられます。社長の姿勢が明確なので、社員さんたちの活動にも熱が入ります。各部署の発表においては、そうじをすることで「作業効率が上がった」「モノがなくならなくなった」などの報告が相次ぎました。ある部署では、そうじをすることで、床に穴が開いていることに気づき、鉄板を溶接して補修したとのこと。また別の部署では、ブラインドを清掃することで部屋の中の明るさがアップし、電気代のコストダウンにつながった、という報告もありました。今回、栄えある金賞には品質検査係、銀賞には造型横係が輝きました。両部署とも表彰の常連であり、順当な結果といってよいでしょう。実は、「銀賞は造型横係です」とのアナウンスがなされた瞬間、品質検査係のメンバーが小さくガッツポーズをしたのです。自分たちが金賞だと確信したのでしょう。こんなふうに、いまや品質検査係と造型横係は、お互いに金賞を競い合う良いライバル同士となりました。一方で、今回惜しくも銅賞を逃した部署がありました。その部署では、作業の性格上、油が大量に飛散してしまうのですが、最近は社員全員が毎日拭きそうじを徹底することで、油汚れがほとんどなくなりました。その一途な努力には、本当に頭が下がる思いです。ただ、若干のチョイ置きが見られた、ということで銅賞には届かなかったのですが、賞を逃した瞬間、彼らは悔しそうな表情をしていました。彼らにとっては残念なことだったと思いますが、これは会社全体としてはとても有益なことだったと思います。「我々は一生懸命やった」「結果も出ている」「だから賞が取れるはずだ」「賞を逃して悔しい」こうした熱い想いこそが、活動の原動力になります。別の部署のリーダーなどは、床そうじを徹底するため、「今後は床が舐められるかどうかを判断基準にしたい!」と決意表明し、会場を「ひえー!」と どよめかせていました(笑)。こうした良い意味での競争心を垣間見るにつけ、同活動が企業文化として根付きつつあることを感じます。今回惜しくも賞を逃した部署も、次回こそは賞を獲得してくれることと期待しています。         (小早)おそうじ匠の技嫌なニオイの原因は?~どこかで細菌が繁殖している~私たちが暮らす身のまわりには色々な悪臭があります。 そうじにおいて悪臭は、どこかに汚れがあるサインです。 身近な環境の中でくさいと感じる嫌なニオイの多くは腐敗臭です。腐敗臭は、有機物(タンパク質やアミノ酸など)が、細菌やカビによって分解されてアンモニアや硫化水素などが排出されることによって発生します。 細菌の繁殖しやすい条件としては、①エサとなる有機物②水分③適度な温度(10℃~60℃)、この3つが揃うと活発に活動をします。 菌が繁殖しているのが現象として見えているものが、カビ、キバミ、クロズミ、ヌメリです。 だから、嫌なニオイを感じた時は、どこかにカビ、キバミ、クロズミ、ヌメリがある証拠です。この悪臭の素を除去しない限り嫌なニオイはなくなりません。 さて、細菌の繁殖する状況を作らないためには、3つの条件のうちで一つでも欠けていればいいわけです。コントロールしやすいのは、有機物の除去と水分のコントロールです。 そのため、固く絞った雑巾での水拭きが有効です。 ここでの注意は、水分を残さないということです。それから使った雑巾は良く洗って乾かすということです。 よく「フキンがくさい」「モップがくさい」時があります。フキンとモップに菌が繁殖して、かえって不衛生な状態です。 私どもが、たびたび「モップはお勧めしません」と申し上げるのは、モップは使用後に洗いにくく乾かしにくいからです。 水分の除去がポイントです。  (飯塚)<補足解説>小学生の頃、なぜだか教室の雑巾は牛乳の腐ったような臭いがしていました。よくイタズラで、友達の顔に雑巾をかぶせて遊んでいました(笑)。それはさておき、私は企業の環境整備の調査を行う際に、「ニオイ」にも着目します。飯塚の説明にあったように、くさいニオイがするということは、どこかに細菌の繁殖があるということです。このことは、特に飲食店や食品工場などで重要です。細菌繁殖の3つの条件がすべて揃うのがこれらの業種です。チェックの際、表からは見えない所、つまり、機械やレンジの下、流し台の背面、排水溝などを入念に見ます。私は四つん這いになって鼻を近づけてニオイをチェックするので、よく飯塚に「犬のようですね」と言われます(笑)。いずれにしても、特に食に携わる方々には、ニオイに敏感になっていただきたいと思います。           (小早)おそうじコラム溜め込み病に効くクスリ~モノの整理と事業の整理は同じ~先日、ある会合で、参加者の方から、「私は新聞の記事を切り抜いてスクラップしているのですが、それが溜まって困っています。何か良いアドバイスはありませんか?」とのご質問を受けました。 私が、「何のためにスクラップしているのですか?」と尋ねると、「後日読んで参考にするためです」とのこと。「で、そのスクラップを読むことはあるのですか?」と尋ねると、「いえ、ほとんどありません」とのお答え。 私は、「じゃあ、スクラップをやめましょう」と申し上げました。利用しないモノのために、わざわざ新聞を切り抜いて貼りつける労力を使い、スクラップを積んでおくスペースを使うなど、ナンセンスです。 しかしその方は、「いや、でも取って置きたいのです。あると安心なのです。」とおっしゃるのです。 このような方は決して珍しくありません。自分の中にある何らかの不安を、モノをそばに置いておくことで解消しようとしているように思えます。 こうした「溜め込み」タイプの方に、どのようにアドバイスしたら良いのだろうか、と考えて、良いアイデアが浮かびました。 どうせ溜め込むならば、徹底的に溜め込みましょう。そして溜め込んだモノのユニークな利用方法を考えましょう。たとえば、スクラップブックによるジグソーパズルやドミノ倒しなど。 そして、屋号を「スクラップの力」と名付けて事業を立ち上げて欲しいのです。 何を申し上げたいかというと、モノを溜め込むならば、それを本気で活用して欲しい、ということです。それを本業にするくらいに真剣に活用して頂きたい。 「いや、そこまでではない」というのであれば、それは自分にとって不要なモノだ、ということです。 同じことが、不動産(土地・建物)にも言えます。先代から受け継いだ敷地が大して有効活用もされずに物置き状態で放置されている例を見かけます。 その敷地が価値を生み出しているならば話は別ですが、そうでないならば、その敷地は手放すべきです。 事業も同様です。複数の事業を行っている場合、いったいどれがメイン事業なのでしょうか。「なんとなく」続けている事業はないでしょうか。その事業単体で独立するくらいの気概がないならば、その事業は捨てるべきでしょう。 「そんな、もったいない!」と言う人がいます。しかし、本気で活用しない不動産や事業を保持することで、間違いなく経営者の意識が分散します。それこそ、「もったいない」のです。 余計なモノを切り捨て、自分が本気で取り組むべきコトに集中することで得られるものは、想像する以上に大きいものがあるのです。            (小早)輝ちゃんはミタ!視覚化のビフォー・アフターをミタ!こちらの三枚の写真は、弊社支援先の食品工場内で、小早がラインテープを貼ってラックの定位置化を実習している際のビフォー・アフターです。 工場内で使用されているラックの数が多くて、なかなか定位置を決めずらいとの声もある中で、小早は「まずとにかく、やってみましょう」と目の前にあったラックから手を付け始めました。 とくに寸法を測るでもなくラックのサイズに合わせてほんの三分ほどで出来上がりました。 これ以前は、工場内の暗黙の了解で「このあたりにラックを置いておきましょう。」となっていました。 ラックの並んだ感じは、上段の写真のとおり少し雑でした。 ところが、ラインテープを貼り終えてしばらくしてから現場に戻ってみました。すると、まだラインテープを貼った報告も貼った意味についての説明も何もしていないうちなのに、従業員の方たちは決められた枠内に整然とラックを並べていたのです。 現場で一部始終を見ていた小早が、ラインテープを使った視覚化の効果にあらためて驚いていました(笑)。 しかし、私が驚いたのは、ラインテープを貼った直後からその意味をくみ取って、白線内に整然とラックを並べた社員の方の行動です。 「線が引いてあったら、それはそのとおりに置くでしょ」と思われるかもしれません。しかし実際は簡単なことではありません。決めたことを守ることでも難しいです。なのに、まだ聞いても決めてもいないことをやることは、なかなかできることではありません。 この工場で小早が支援をさせて頂くようになってから一年を経過しています。みなさんで床や機械を徹底的に磨きこんで大変にきれいな工場になってまいりました。 そのうえで、いよいよ定位置化の取組みがはじまったのです。そんな時期でのこの一件で「この一年間、工場のみなさまが地道に磨いてきたものは、床や機械だけではなく、〈気づく力〉を磨いていたのだな」と教えて頂きました。 工場のみなさまが磨いた「気づく力」に「そうじの力」を強く感じた今回の輝ちゃんでした。               (飯塚)今月の読書から『海賊とよばれた男(上・下)』百田尚樹著~事業とは「何かのため」に行うもの~著者の百田尚樹は、『永遠のゼロ』『影法師』などの作品で、圧倒的筆力で人間の崇高さを描いた私のお気に入りの作家です。 その百田が出光興産の創業者である出光佐三をモデルにして描いたドキュメンタリー小説が、この『海賊とよばれた男』です。 私はまったく知らなかったのですが、出光興産は、他の石油会社がすべて外資と提携するか合併する中で、ただひとつ独立を保った民族系会社なのそうです。 大家族主義を掲げ、株式は非上場、どんな状況であっても首は切らない、出勤簿はなく、労働組合もない。 もちろん小説ですから美化や脚色もあるでしょうし、現在では株式上場して状況が変わっているかも知れませんが、出光佐三という人が、「気骨の経営者」であったことは間違いがないようです。 私がこの本を読んでつくづく感じたのは、事業には「志」が必要だということです。志とは、「何かのため」に事業を行うという意志のこと。 多くの場合、人は「自分のため」「家族のため」「自社のため」に行動します。 しかし出光佐三は、同業他社が自社の利益を確保するためにわざと統制経済を歓迎したり、進んで外資の軍門に下ったりする中で、「統制経済は決して国のためにならない」「石油がすべて外資にコントロールされてしまったら、日本は独立国でなくなる」と主張して、断固戦います。 出光佐三は何よりも「国のため」の行動を優先しました。社員にも常々、迷ったら自社の利益よりも国益を優先しろ、と指示していたそうです。 今日の厳しい経済環境にあっても、元気な企業には、やはり「志」があります。私がお付き合いしている企業にも、「お客様のために品質の良い製品を世に提供したい」「社員を自立した人材に育てたい」「地域の発展に貢献したい」と本気で願っている社長の経営する企業は元気です。 逆に、目先の利益にこだわる企業は、目先の資金繰りに苦労しているようです。 蛇足ですが、TPP(環太平洋パートナーシップ)を推進しようとしている輩も、結局は目先の利益、自分の利益のために国益をないがしろにしているように思えます。TPPで経済の独立性が失われれば、国家としての独立性も失うと思います。 出光佐三が生きていたら、TPPをどのような目で見ていたでしょうか。  (小早)◆本物の経営計画を作る!ワンデーIATセミナーin高崎 私の師匠でもある社会教育家の黒田悦司氏が講師を務めるセミナーです。 具体的な事業計画を立てる前の経営者の意志を固めることを目的とします。 IATという特殊な思考技法を用いて、自分自身とじっくりと向き合います。 私(小早)も、黒田氏のIATセミナーを受講したことが契機で、独立できました。 【日時】11月21日(水)【時間】9:00~18:00【会場】高崎市産業創造館    群馬県高崎市下之城町584-70【会費】15,000円(昼食代含む)【主催】NPO次世代型人材育成ネットワーク【申込】事務局 赤石 陵勇 様         info@sogyodojo.jsz.jp◆創業道場開催11月の参加者募集  お互いに切磋琢磨しながら経営力を高める少人数の勉強会です。 「創業」という名前がついていますが、参加者はベテランから独立予備軍まで、業種、年齢も様々。 原則、毎月開催していますが、11月の参加者を募集しています。【日時】 11月7日(水)AM6:00~12:00【場所】群馬県高崎市内【内容】(株)草むしり事務所環境整備     経営計画の発表と検証【講師】須田知身、小早祥一郎【費用】1,000円【主催】NPO次世代型人材育成ネットワーク【申込】事務局 赤石 陵勇 様         info@sogyodojo.jsz.jp◆小早 祥一郎 講演予定・福井県の一般市民の方に   【日時】 11月18日(日)14:00~  【会場】ふれあいみんなの館さばえ     福井県鯖江市上鯖江1-4-1  【主催】(株)ムラケン・倫理法人会モーニングセミナー   【日時】 11月28日(水)6:30~  【場所】箱根湯本ホテル  【主催】小田原市倫理法人会・倫理法人会モーニングセミナー  【日時】 12月21日(金)6:30~  【場所】Uコミュニティーホール        TTSセンター6F  【主催】東大阪市倫理法人会株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援環境整備(規律・清潔・整頓・安全・衛生)は「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。現状調査やご相談は交通費のみでお請けしています。全国どこでも可能ですのでお気軽にお問い合せください。