【第91号】本気になれば地力が発揮される!|Mランド
事例紹介本気になれば地力が発揮される! 〈「見えない所」が「目のつけ所」〉~Mランド「そうじの力」委員会始動!~島根県益田市。ここに知る人ぞ知る自動車教習所、Mランド(益田ドライビングスクール)があります。合宿免許取得をメインとし、全国から教習生が集まってくるこのMランドの特長は、「若者が育つ」という点。茶髪姿で入校してきた若者が、卒業する時には、誰彼となく大きな声で「おはようございます!」と挨拶する爽やかな青年に変身するのです。そのために「サンキューレター」や所内通貨「Mマネー」、そして各種イベントなど、様々な仕掛けがあります。ハイ・サービス日本300選にも選ばれた同社を、昨年十一月から弊社が支援しています。そうじにも熱心に取り組んでいる同社ですから、当初は弊社がお手伝いする余地などないだろうと思っていました。トイレはピカピカです。教習コースの内外も、キレイに掃き清められています。しかしよく見ると、そうでもないことが分かってきました。特に、普段は目につかないような隠れた部分に不要物がたくさん眠っていたり、事務所のデスクの上に書類が山積みであったりするのです。代表取締役の小河二郎会長は、「ウチはそうじをしとるように見えるかも知れんが、実際にはさほどやっとらんのよ(島根弁)」とおっしゃるのです。実はMランドは、今年の十二月に創業五十周年を迎えます。現在でも素晴らしいこの会社を、「そうじの力」でさらに磨き上げ、記念すべき五十周年を迎えようと、「そうじの力」委員会が立ち上がり、中核メンバー「人力捨」が組成されました。昨年十二月四日の全社キックオフ式においては、私がそうじの目的や効果、具体的手順について講義をし、それを受けて、全社部門横断で作られた十のグループごとに分かれて、今後一年間の活動計画書を作成。討議は深夜にまでおよびました。翌日、計画書に基づき、まずとにかく不要物を捨て切ろう、ということで、全員で「整理=捨てる」に取り組みました。いまや使っていないラジカセ、何年も前のパンフレット、昔のイベントで使った小道具、古タイヤなどなど、出るわ出るわで、結果として中型トラックに換算して十台分もの不要物を捨てることができました。その整理の作業後、各グループの代表者が、全社員の前で、それぞれの「そうじの力」にかける決意を表明して、全員大会は終了したのです。以下、社員の感想文の抜粋をいくつか掲載します。<整理、整とん、掃除は当たり前の事だし、今まででもそれなりにやっていると思っていました。しかし今回の小早先生の講演を聴いてかなり甘かったと、やってないに近いぐらいの事だと気付きました。業務の忙しさや自分では分からないのでそのままにしておこうといったなどなど。問題から逃げていました。忙しいから出来ないのではなく、一日一分でも自分のデスクまわりから不要な物を処分していこうと思います。><あまり立ち入る事がない場所で気付く事がなかったのですが、効果測定室やそれに向かう階段など、お客様が入る場所なのに床が汚れ、暗く、空気が重いように感じました。まだ少ししか取りかかっていませんが少し掃除(磨く)だけでその部分が明るくなり雰囲気が変わったように感じました。場が良くなる事でお客様が気軽に効果測定室に足をはこび満点合格者が増加する。そんな場にしたいと思います。><4名で手分けして整理していったのですが、驚くことに使わないものが出るわ出るわで捨てるもののゴミの山となりました。また4名で作業しているうちに会話が生まれ、笑顔が生まれ、絆が生まれたように感じました。>この全員大会から一か月後。一月十五日に定期訪問した私は、あらためて敷地内を巡回しましたが、ずいぶんと取り組みが進みました。前回の「整理」を受けて、いくつかのグループは「清掃」に取り組んでいます。床を磨いているグループが、その現場を見せてくれましたが、磨いた後と磨く前の境界がクッキリ。磨く際に使う洗剤や道具なども、色々と自分たちで工夫しているようです。もともと地力のある会社です。スイッチさえ入れば、そして目のつけ所が分かれば、一気に勢いがつくでしょう。この十二月が楽しみです。 (小早)おそうじ匠の技布張りのイスのそうじをしてみよう!~かんたん実技にチャレンジ~会社で良く見かける打合せ用のイスなど布張りの素材の物をキレイにそうじする方法です。 長年の使用で、座面や背もたれの布地に、シミやキバミが浮き出て汚れて見えることがあります。用意するものは、バケツとそうじ用のブラシときれいな雑巾です。水にぬらしたブラシでこわがらずに大胆にこすっていきましょう。布地の凹凸があるのでスポンジではなくブラシの方が有効です。この時に重要なポイントは、汚れている場所だけではなくて背中の部分など布地の部分は全部をブラシで洗う事です。洗い残しがあると乾いた時にその場所がくっきりと跡になって残ってしまいます。そのあとに固く絞ったきれいな雑巾で水気を拭き取ります。この時はポンポンと叩くようにして拭き取るのが良いです。ブラシで取った汚れを雑巾に移し替えるイメージです。拭き上がりはまだ水に濡れている感じですが、大丈夫です。後は1日そのまま乾かして下さい。それだけです。翌日、びっくりするほどきれいになったイスに感動すること間違いなしです。もし、それでも残っている汚れがあった時には、台所用の中性洗剤を溶いた水を使って、汚れとその周辺をコスって見て下さい。そのあとは雑巾で水拭きです。お掃除用のアルカリ洗剤ではない方が良いです。あとでアルカリ焼けでキバミます。自然乾燥で乾くまでには時間がかかりますので、1日の仕事の終わりのタイミングでやると良いかもしれません。応用として、同じ手順でそうじできるものとしては、布張りのソファーや車のシートがあります。また、事務所の床がタイルカーペットだったりする場合は、タイルカーペットのそうじ方法も同様です。この場合は、1枚ずつだと10分ほどの作業です。1日1枚ずつと決めると、事務所の床もしばらくすると見違えるほどキレイになります。このように、こわくてなかなか手が出せないと思っている布製の事務家具が、実は意外と簡単にキレイにできます。(※家庭用のデリケートな素材の物は注意が必要な場合があります)今は、リサイクルの事務家具など安く購入できる場合もあります。この方法を知っていれば、あえて汚れてはいるけれども安いものを選んで、新品同様にキレイにして使うなんてこともできそうです。古い物をピカピカに磨き上げて大事に使うことこそ、「そうじの力」の醍醐味ですね。 (飯塚)おそうじコラム「そうじの力」で古豪が甦った!~箱根駅伝、日体大優勝に想う~毎年正月の二日と三日は、妻の実家で箱根駅伝をテレビ観戦します。 義父と私は同じ大学の同窓ですので、一緒に母校を応援するわけです。 昨年の大会では、「山の神」柏原竜二選手を擁した東洋大学が優勝しました。今年もその流れを受けて、東洋大が優勝かと思いきや、あまり注目されていなかった日本体育大学が優勝しました。 日体大は、四年前に部員の大麻吸引事件が起き、昨年は過去最低の十九位、しかも途中の繰り上げスタートでタスキがつながらなかったという屈辱まで味わいました。いわばどん底からの再起だったわけです。 私が観戦していて気づいたのは、優勝候補と目される数校はレースにおいて、一部の選手がぶっちぎりの活躍を見せるものの、ブレーキとなる選手もある一方で、日体大は全選手が安定して上位の走りをしていました。 とにかくチームワークが良いということが、画面を通してもひしひしと感じられたのです。 この日体大の復活の陰に、実は「そうじの力」があったようなのです。 大麻吸引事件や過去最低順位などを受けて荒れた部内を建て直そうと、まずは基本的な生活習慣を改めることから始めたと言います。 〈昨年の箱根路で惨敗する裏で、別府監督の進退問題が浮上した。そこで招へいしたのが、西脇工時代の恩師である渡辺氏だった。「練習の量や質が良くても生活態度が悪ければ絶対に勝てない。駅伝はタスキを渡すのではなく、心をつなぐもの」。渡辺氏は真っ先に生活面の改革に着手した。朝五時半過ぎから生徒と共に練習場の草むしりや掃除を実施。午後十時半の消灯時間も厳守させた。耐えられず辞めていく部員も出たが、一切の妥協を排除。別府駅伝監督も「私自身が変われた。(指導を)徹底できるようになった」と振り返る。精神面を鍛えられた選手たちは、力を出し切れる集団に生まれ変わった。〉(スポーツ報知) こうしたことは、往々にして「当たり前のこと」として軽視されがちです。 しかし、会社や学校など、荒れた組織は、まず例外なくこうした当たり前のことができていません。 教育哲学者の故森信三先生は、再建の三大原理を、「時を守り、場を清め、礼を正す」と喝破しました。 まさに日体大は、「時を守り、場を清め、礼を正す」を徹底したことで、再建を果たしたと言えるでしょう。 わが母校にも、見習ってほしいものです・・・・・。 (小早) 輝ちゃんはミタ!志を持ちたいと願う中学生の姿をミタ!先日、高崎市立高松中学校にて、一年生二百名にむけて「働くってどんなこと」の演題で小早が講演をさせて頂きました。私も同席していたその時の模様をレポートします。 大人が対象の講演内容とほぼ同じだったにもかかわらず、生徒の皆さんは本当に真剣に話を聞いていました。 講演の終わりには、代表の女生徒が「仕事とは人の役に立つことであるとわかりました。志を持ってコツコツと努力を重ねることが大切であることもわかりました。そのために学校のそうじを頑張ってやっていきたいです。」としっかりとした言葉でお礼の言葉を伝えてくれました。 後日、生徒のみなさんの感想文を読ませて頂きました。多くの感想に「働くのは給料をもらうことだと思っていました」「働くということが誰かのために何かを自分からすることだとわかりました」「働くとは人の役に立つことだと初めて知りました」とあり、おどろきが伝わってきます。 また、「私は将来どこかの会社に就職してお金をもらって生活して行けばそれで良いと思っていました。私は将来について考え直してみることにしました」「私は、今日の経験を活かして、もう一度将来を考え直そうと思いました」という感想もありました。 時を守り、場を清め、礼を正すという言葉を初めて聞き「おーっと思いました」「モットーにします」「共感しました」というものもあります。 「実際に机のまわり、机の上をキレイにしたら勉強がしやすくなりました」「教室に落ちていた自分たちが落としたものでないゴミを拾いました」「聞いた方法でそうじをしたら机の上がうまく片づきました」「今日のそうじの時に、他の人の生活が良くなるようにすみずみまでしました。とても気持ちが良くなりました」などすぐに実行をした報告もあります。 「志を持ち、実現するためにコツコツと努力をしていきたいです」「志を持ち誰かの役に立てるような人間になりたいです」「ぼくは志を持ちたいです。人の役に立ちたいです」と志に触れた感想も多かったです。 「人のために努力する人の周りには仲間が集まるんだなと思いました」「周りの人の役にたつことコツコツ続けると、みんなが協力してくれることを感じました」と志が人を動かすことに触れたものもあります。 中学生の素直な感性にあらためて驚かされるのはもちろんですが、彼らが本気で価値のある将来を渇望している気持ちが伝わってきます。 このような機会があるたび思うのですが、子供たちには無限の可能性があるんだなと、やはり今回も感じさせられました。 (飯塚)今月の読書から『超大国の自殺』パトリック・J・ブキャナン著~凋落アメリカと日本の酷似~著者のブキャナン氏は、米大統領選にも出馬した政治家、政治評論家。 一読すれば分かる通り、氏は白人至上主義で、同性婚や妊娠中絶に反対する生粋の保守派です。 現在のアメリカが陥っている国家としての弱体化の実情を、統計数値に基づいて冷静に叙述しています。 まず衝撃的だったのは、以下のくだり。 <2009年、合衆国全体の丸々51%の世帯が連邦所得税を支払っていなかった。いま国民の半数が、残り半数の納める税金にただ乗りしているのである。> 一方で、オバマ大統領は、先日の二期目就任演説で、「公平な社会の実現」を強調しました。 オバマ氏に限らず、ここ数十年のアメリカのリーダーたちは、「結果としての平等」を求める風潮を汲み、社会的弱者に対するアファーマティブアクション(優先割当)を推進してきました。試験の結果が悪くても、黒人や女性には優先的に枠が与えられてしまうのです。 ブキャナン氏によれば、「自由と平等は不倶戴天、永遠の敵同士であり、片方が勝てば片方が死ぬ関係」なのです。 <あらゆる職場に、人種、民族グループ、性別の比例配分を保証しなければならないということを考えると、平等と自由がいかに衝突しているか、なぜアメリカが転落国家になりつつあるか、ということがわかりはじめる。> 少し前に日本でも、運動会の駆けっこで、優劣をつけるのが好ましくないといって、順位をつけない、などということが話題になりました。 人にはそれぞれ向き不向きもあるし、生まれつきの能力の差も、間違いなく存在する。まして、努力した人間がより多くのものを得るのは当たり前である、というのが、ブキャナン氏の主張です。 <ワシントンDCでは、5分の1の人口がフード・スタンプ(低所得者層への食糧費補助)をもらっている。> こうして見ていくと、アメリカの現状と日本のそれとは、非常によく似ていると感じます。この状況を端的に言い表すとすれば、「総依存社会」と言えるのではないでしょうか。 自助努力を棚上げし、「政治が悪い」「会社が悪い」と他人を批判し、自分の権利を声高に主張する。 こうした「依存人」の要求を満たそうとすれば、過度な福祉社会にならざるをえず、結果としてやる気のある人間の意欲をそぐことになるのではないでしょうか。 「依存から自立へ」が、この社会を建て直すキーワードのような気がします。 自立の第一歩は、そうじから。落ちているゴミを見つけたら、「誰かが拾ってくれるだろう」ではなく、自ら拾う実践こそが、今我々に求められています。 (小早)お知らせ◆小早 祥一郎 講演予定講演および実践企業の事例発表 中小企業家同友会のご依頼で、3月に講演をさせていただくことになりました。 単なる講演では面白くないので、弊社が支援している企業の実践発表会も兼ねてダブルキャストでさせていただきます。 私からは「なぜそうじには力があるのか?」「どのように進めたら良いのか」といったことをお伝えします。 実践企業からは、自分たちが実際にどのように取り組んだのか、そして、どのような効果が表れつつあるのか、を報告していただきます。 日時:3月22日(金)18:30~20:00場所:高崎市総合福祉会館会費:1,000円主催:群馬県中小企業家同友会高崎支部◆藻谷浩介氏講演会『デフレの正体』の著者、来たる! 私が関係するNPO法人が、ベストセラー『デフレの正体』の著者 藻谷浩介氏を招いて講演会を行います。 高齢化社会の日本で、いかにして出生率を挙げつつ女性起業家の輩出やまちづくりへの参画を促すか、をテーマに語っていただきます。 テーマ:『女性就労とまちづくりへの役割』 日時:2月21日(木)19:00~ 場所:高崎市産業創造館 費用:一般3,000円 主催:NPO次世代型人材育成ネットワーク 問合せ:事務局 赤石陵勇氏メール npo.jisedai.net@gmail.com◆CD無料頒布中小早 祥一郎 講演CD 今号の『輝ちゃんはミタ!』でご紹介した、群馬県高崎市の市立中学校で、小早が生徒に向けて『働くってどういうこと?』というテーマで講演した模様を収録した音声CD(約42分)です。小早の創業のキッカケ、現在の仕事の内容、「働くってどういうこと?」についての小早なりの見解、中学生として心がけて欲しいこと、などを話しています。生徒たちの感想文と合わせて聴くと、彼らの理解力の高さや素直さがよく分かります。ご希望の方は、希望枚数と送付先を明記の上、お申込みください。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援「そうじの力」の活動は、「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。