【第208号】場を整えることを通じて、ルールや手順を整える|(株)イシカワ
そうじの力だより第208号支援事例紹介家業から企業へ~場を整えることを通じて、ルールや手順を整える~香川県琴平町にある介護福祉用品の販売・レンタル業、(株)イシカワの環境整備のお手伝いをしています。社員十人以下の小さな会社ですが、同社の課題は、何事にもルールや手順が曖昧で、「なんとなく」の積み重ねになっていること。そこで、モノの整理・整頓を通じて、ルールや手順が明確で、きちんと守られる風土を作ろうと、活動を進めています。まずは、整理、つまり不要なものを捨てることが肝要です。当初の事務所内は、ごみごみとして狭苦しい状態でした。棚や壁がたくさんあるため、事務所内が分断され、部署間の連携も悪い状態でした。不要な書類や備品などを処分することで、書棚が要らなくなりました。そして、事務員の詰め所と営業部員の詰め所を仕切っていた壁もぶち抜いて、仕切りのない大部屋にすることができました。店舗と事務所が一体化し、非常に広く明るくなったと同時に、社内のコミュニケーションも取りやすくなりました。次に、倉庫内の整理です。当初は、住宅改修用の手すり材が、大量にストックされていました。材質も長さも太さも、いろいろなものがありました。これらを、何度も何度も整理し、そのたびに量が減っていきました。また、その手すりを階段や玄関などに据え付けるためのブラケット類も、当初はものすごい量がストックされていました。ありとあらゆる種類があるのですが、実際に使うのは、ごく限られた定番のものだけなのです。そこで、定番のもの以外は、思い切って処分しました。実に、九割がたのブラケット類を捨てました。こうして、ブラケット類を処分したことで、収めていた棚が不要になり、その棚を処分することで、大きなスペースが生まれました。そのスペースに、今まで奥の方にぎゅうぎゅうに詰め込まれていた車イスを配置することができました。これまでは、たくさんの福祉用品がありながら、山積みだったり奥に詰め込まれていたりして、どこに何があるのかも分からず、いざ使いたいと思っても使うことができないのが実態でした。上述のとおり不要なものを捨てて、総量が減ったことで、視認性が良くなり、どこに何があるのかが、分かりやすく、取り出しやすくなりました。一方で、これまでは定期的な会議や勉強会がなく、ベクトル合わせや情報共有の場がなかったのですが、今では毎月、「営業会議」や「全体会議」を開催することで、社内の意思統一を図っています。たとえば、営業会議などの場で、倉庫にあるものを積極的にお客様にご提案しよう、と呼びかけることで、倉庫在庫の有効活用が進みます。こうした様々な取り組みを通じて、少しずつ、ルールや決め事、手順などが明確になり、それを守る風土ができてきました。業務の抜け漏れや、言った言わないというような揉め事も少なくなり、物事が滞りなく進むようになってきました。同社では、ここ二年連続で、新卒社員を複数人採用しています。来年も既に、三名の新卒社員の入社が内定しています。家業から企業への脱皮も、あともう一息のところまで来ています。 (小早)そうじの力 コラム職人芸を後世に残すには~燕三条 若手職人探訪ツアー に参加して ~ 先日、新潟県の燕三条の『若手職人探訪ツアー』に参加してきました。 燕三条地域は、金物や刃物の産業が盛んで、近年は「オープンファクトリー」と題して、「見せる工場」化を地域ぐるみで推進しています。 今回は、その一環で、手工業品の職人になるべく、燕三条地域に移住して修業をしている、若者三人の工房を見学するツアーに参加しました。 一人は、「和剃刀(かみそり)」の職人、Aさん。高校を卒業してすぐに、当地で親方に弟子入りし、和剃刀職人に。 和剃刀とは、刃の部分である鋼と刀身部分である地金を貼りつけて、鍛冶屋のように熱して叩きながら作る剃刀。日本刀並みの切れ味で、その姿からは妖艶なオーラさえ漂います。 二人目は、「ハンドパン」という楽器を制作する職人のBさん。 ハンドパンとは、空飛ぶ円盤のような打楽器。円形の鉄板を椀状に膨らませ、上下一対で合わせて作ります。 欧州では人気のある楽器だそうですが、日本ではほとんど知られていません。 最後は、キセル職人のCさん。喫煙者が肩身の狭い現代社会において、キセルを吸う人は、ごくわすか。当然、キセルを作る職人も、ほとんどいません。 そんな中でCさんは、大学院での考古学の研究を捨てて、キセル職人への道を選びました。 三人とも、作業に打ち込むその姿は、「カッコイイ!」の一言。こうした若者がいる限り、日本のモノづくりは、まだまだ捨てたもんじゃない、と感じます。 とはいえ、需要が少ないのも事実。単価は高いものの出荷量が少ないので、収入的には厳しいようです。こうした職人芸を後世に残していくためには、経済原則だけでは難しいのかもしれません。 一方、私はこうした工房に足を踏み入れると、やはり「整理・整頓」の観点で見てしまいます。三つの工房とも、お世辞にも整理・整頓が出来ているとは言い難い環境でした。 働く環境をキレイに整えることも、職人芸を後世に残していく上で、大切なことだと思います。 (小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第208号 2022(令和4)年11月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)〒370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333 FAX:050-6868-2721 メール:info@soujinochikara.com