【第209号】半期に一度の発表会と表彰|(株)マツバラ

そうじの力だより第209号支援事例紹介競い合って高めていく~半期に一度の発表会と表彰~岐阜県の鋳造業、(株)マツバラで、「おそうじパワーアップ活動」が十一年間続けられています。鋳造業は、製造工程で大量の粉塵が発生し、工場中が、粉塵まみれです。その過酷な環境で、工場内をキレイにしようというのですから、これは大変な試みです。それが十一年以上も続いているのですから、それだけでも頭が下がります。毎年の年度初めには、各グループが計画を立てます。その計画に従って、日々、手すきの時間にホウキを持って掃くことはもちろん、毎月の調整日に、稼働を止めて大掛かりな整理・整頓・清掃を行っています。そして、半期に一度、全社員が集まっての発表会および表彰が行われます。これは、それぞれのグループが、この半年に取り組んだそうじの内容をプレゼンし、実際の現場の状況と合わせて審査員が採点して、上位グループを表彰するものです。同社の表彰の特徴は、実際に鋳物を作る現場系の部署も、後方支援業務を行う事務系の部署も、同じ土俵で勝負することです。当然ながら、粉塵の中で作業する現場系の部署が圧倒的に不利です。そこで、そのハンデを補い、公平な審査ができるように、各グループごとに「重点方針」を設定しています。採点においては、その重点方針の配点を高くすることで、現場系でも上位に食い込めるようになっています。たとえば、キュポラ係では、今期「減速機・ブレーキユニット周辺の堆積粉塵ゼロ」という重点方針を掲げました。工場中が粉塵だらけなので、すべてのエリアを「粉塵ゼロ」にすることは、現実的ではありません。そこで、こうしてエリアを絞ることで、そこを集中してそうじすることができ、実際、「粉塵ゼロ」が実現しつつあります。これは、各審査員から高い評価を受けました。また、大平工場加工係では、今期の重点方針を「集塵室の整理整頓を実施し在庫の見える化を行う」としました。これまでずっと放置されていた集塵室内に置かれていた材料在庫を明確にし、品名や在庫数が一目でわかるように工夫しています。これも、高い採点につながりました。その結果、今回の表彰では、金賞が鋳造技術係、銀賞が設備保全係、銅賞が大平工場加工係に輝きました。このうち、鋳造技術係と設備保全係は現場系と事務系の中間的な位置づけの部署で、大平工場加工係は完全な現場系です。ここ数年、上位が事務系で占められていましたので、こうして現場系が上位に来るのは、素晴らしいことであり、会社にとっても嬉しいことです。もう一つ、同社では、社内だけでなく、周辺地域の清掃活動も定期的に行っています。これも十一年間欠かさず続けてきました。同社の取り組みに刺激を受けた近隣の他社も、次々に地域清掃をするようになり、地域一体がキレイになりました。おかげで、地域の「ホタルを守る会」から表彰状をいただきました。最近では、工場見学が増えています。見学に訪れたお客様からは、鋳造工場とは思えないキレイさだとお褒めの言葉をいただきます。また、女性や若手の定着率が良く、採用募集にも多くの応募があります。同社の「おそうじパワーアップ活動」に終わりはありません。今後は、「魅せる工場」に向けて、さらにレベルアップを目指します。         (小早)そうじの力 コラム上手な本の捨て方~ページの進まない本は捨てる 私は、九月に出版した『捨てる経営』の中で、本や雑誌について、以下のように書き、読みかけの本などを躊躇せず捨てることをお勧めしました。 〈なお、「まだ読んでいない本がたくさんあるので、それを読まなきゃ」という方も多いと思います。それらは読まずに捨てることをお勧めします。そもそも、本当に必要な情報ならば、その場ですぐに読んでいるはずです。捨てた後に、「やっぱりあの本が読みたい」と思ったら、また買って読めばいいのです。 たまたまついこの間読んだ、谷沢永一の『人間通』という本に、まさに私が言いたかったことが書いてあり、わが意を得たりと感じ、嬉しくなったので、ご紹介します。 〈財布は空になったが、机の上は堆く書物の山である。それを片っ端から読んでゆく。むかし流行った殆どの読書論では、読み初めた本は最後まで忍耐づよく読み通せと教えた。人を徒労に追いやる実害の邪説である。単なる紙の束にすぎぬ本に可憐な義理立てなど要るものか。幾らか読み進んで嗚呼これは要らぬと思ったら、無駄な時間を費やすのはやめて直ちに本を捨てるべきである。これは難しくて解らんと感じたらそれも捨てる。自分の学識が次第に深まった近い将来、やっぱり読む必要があると悟ったとき改めて買い直せばよいのである。こうして一冊目二冊目三冊目と打棄ってゆくうち、おやおやこれはと惹きこまれる本に出会うだろう。それが今の自分に役立つ間に合う本なのだ。人間関係ではどうしても相性のよい人と悪い人とがある。気の合う者と合わぬ者がある。書物と人間の場合もよく似ていて、相性の良し悪しはどうやら避けられぬかのようである。〉 決して私が、この本を読んで自分の本にパクったわけではありません。この本を読んだのは、『捨てる経営』の発売後でした。 谷沢永一は昭和四年生まれで平成二三年に没した評論家。歴史や政治思想、人間関係、読書などに関して、多くの著作を残している一流の評論家です。 こうした人が、「ページの進まない本は捨てていい」と言っているということは、私の主張もあながち出鱈目ではない、ということでしょう(笑)。         (小早)株式会社そうじの力 そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社弊社は“そうじ=環境整備”を通じた「企業風土改革」を支援します。講義、実習、チームミーティング、計画作り、現場検証を通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月1回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)そうじの力だより第209号 2022(令和4)年12月1日発行 発行者:小早 祥一郎(株式会社そうじの力 代表取締役)370-0078 群馬県高崎市上小鳥町307-1 TEL:050-3709-2333   FAX:050-6868-2721   メール:info@soujinochikara.com