【第94号】家族が「いい会社だね」と思える会社にするために|(株)マツバラ
事例紹介そうじは心もきれいにする 〈家族が「いい会社だね」と思える会社にするために〉~株式会社マツバラ おそうじパワーアップ活動~4月15日、岐阜県関市にある鋳造工場、株式会社マツバラにおいて、「おそうじパワーアップ活動」の年間報告会&表彰式が開催されました。弊社がマツバラを支援して同活動をスタートさせてから、ちょうど3年が経ちました。当初は工場内に、鋳造工場特有の粉塵が5~10センチ、場所によっては20~30センチも積もっていました。「おそうじパワーアップ活動」委員会を立ち上げ、各職場からイキのいい若手を委員に選抜し、この過酷な職場をどのようにしてキレイにしていくか、知恵を出し合いながら活動を進めていきました。私も毎月お邪魔し、現場パトロールやレクチャーを通じて、社員さんたちが自立的に動けるようにアドバイスを重ねていきました。この3年間で、実に信じられないような様々な成果が出てきています。鋳造工場としてはあり得ないくらいに粉塵は除去されました。防塵マスクの着用が義務づけられていた区域の粉塵飛散量が減り、マスクが不要になりました。人材が定着するようになり、求職者も大幅に増えました。不良率が30%も低減し、原価率も30%下がりました。何よりも、若手からリーダーが育ったことが、一番の収穫だったでしょう。委員会メンバーである若手社員が一生懸命にそうじに取り組むことで、周りのベテランを巻き込み、リーダーシップを発揮できるようになったのです。今回の発表を聞いていて、年々活動の中身がレベルアップしてきていることを、あらためて実感しました。以下、主だったグループの発表内容の抜粋をご紹介します。〈キュポラ係:皆、毎日少し早めに出勤し、始業前点検を兼ねてそうじするようになってきたおかげで、機械トラブルが減ってきた。常に誰かがホウキを持ってそうじをしている姿を目にするようになった。〉〈造型横係:表示と標識を徹底したことで、使った工具が元の場所に戻るようになった。〉〈大平工場検査係:各人が進んでそうじに取り組むことで、集中力のアップにつながった。〉今回、一番印象に残った発表は、金賞を獲った品質検査係のものでした。〈パトロールでの指摘事項は、迅速に対応できた。誰かがやってくれるではなく、気づいた人が動いた結果。毎月の2時間そうじでは作業ごとにリーダーを任命したことで責任感とモチベーションにつながった。そうじ中に、「キレイになったね」と声をかけると皆とてもよい笑顔を見せてくれた。そうじは心もキレイにすると感じたし、声かけの重要性も感じた。〉私がいつも申し上げていることですが、キレイにすることがそうじの最終目的ではありません。そうじを通じて各人の自発性や協調性を養い、良い社風を作ることが目的です。その意味で、品質検査係の発表で、「そうじは心もキレイにすると感じた」という一文は、鳥肌が立つほどに嬉しいものでした。係内に「にこにこサイクル」が回っている、ということでしょう。会の最後に、松原史尚社長が講評されたのですが、大変に心に残るお話でした。要点を引用します。〈先日、大手建設機械メーカーK社が来社され、大きな取引きの打診があった。K社の責任者は、一回工場内を見学しただけで、「ぜひマツバラさんにお願いします」、と発注を決めてくれた。こんなことは、いくら社長である私が表面をつくろっても無理。現場と社員の表情を見て決めてくれたはず。皆さんぜひ完成図を描こう。私には夢がある。それは、みなさんの家族、特に若い社員のお母さんがこの会社を見学に訪れて、「お前はいい会社に入ったね。良かったね。ぜひ孫もこの会社に入れなさい」と言ってくれること。それは職場がキレイだということだけではなく、皆さんの表情が明るくイキイキと働いていること。でもまだまだそこまでのレベルには達していない。ぜひともそれを目指して、力を合わせてそうじを続けていこう!〉私は松原社長のこの講評を聴きながら、涙が出そうになりました。(小早)つれづれのコラム「忘れちゃいけない!」 東日本大震災被災地~訪れることもひとつの支援~先日、子供たちの春休みに合わせて、家族で宮城県を旅してきました。目的は、子供たちに東日本大震災の被災地を見せておくこと。そして多少なりとも復興の足しになるように観光することです。まず仙台在住の知人に、沿岸部を案内してもらいました。私は震災直後にボランティアで入ったことがあるのですが、その当時と比べると、打ち上げられた夥しい量のガレキが、とりあえず片づけられた、という状態です。「街が復興している」などとはとても言えない状況でした。まだ多くの方が仮設住宅で暮らしています。復興促進住宅なるものの建設が途上ですが、住み慣れた故郷を離れて、見知らぬ土地に移り住むことに抵抗を感じている被災者の方も多いそうです。2日目は気仙沼へ。陸地に打ち上げられた大きな船が、今も残っています。嬉しかったのは、新しく建てられた魚市場が元気に稼働していること。地元漁港で獲れた新鮮な魚介類がたくさん並んでいます。買い物しましたが、これがどれも絶品のおいしさなのです。その日は、石巻を経由して女川へ移動。女川では、津波によって根こそぎ横倒しになった鉄筋コンクリートの建物が、そのまま残っていました。震災を忘れないために保存するべきか、撤去するべきか、議論が分かれているそうです。ぜひとも、後世に教訓を伝えるためにも残しておいて欲しい、というのは部外者の勝手な言いぐさでしょうか。夜は、トレーラーハウスを利用した仮設ホテルに宿泊。復興屋台村で地元のお酒と魚で夕食を頂き、宿の中も快適で楽しい夜が過ごせました。被災地以外では、すでに多くの人の記憶から先の大震災が忘れ去られようとしています。しかし、現地の復興はまだまだこれから。仙台の知人は、「ぜひ現地に来てください。現場を見てください。歓迎します。」と言います。こうして魚市場で買い物をするだけでも、ほんの少しの復興支援になるかな、と思います。そして、東北といえばやはり日本酒。この男山本店の特別純米酒『なんとかなる気仙沼』はおいしいですよ、ぐふふ・・・。気仙沼魚市場はネットショッピングもできるようなので、ぜひご利用を! (小早)おそうじコラム「大きな努力で小さな成果を」~草むしりと鍵山先生から学ぶ!~私のトイレそうじ仲間に、(株)草むしりの創業者で社長の宮本成人さんがいます。先日、宮本さんと一緒に、弊社の相談役にもなっていただいている鍵山秀三郎先生を訪ねました。 宮本さんは、いくつかの転職と起業失敗、そして子供の病気など、幾多の挫折や苦難を乗り越え、4年前に「草むしり」で独立しました。 まったくの裸一貫のスタートだったので、当初はお客様ゼロ。経営のことも分からず、何をどうすればいいかも、すべて手探り。来る日も来る日もチラシを一軒一軒ポスティングしながら、不安にさいなまれ、夜も眠れない日が続いたそうです。 しかし、チラシが効いたのか、ぽつりぽつりと依頼が入るようになり、誠実に仕事をこなすことで評判を高め、少しずつリピーターを増やしていきました。特に刈り取った草木の片づけとそうじは念入りに行ったそうです。 こうしてどんどん依頼が増え、雑草が成長する夏場には、依頼が殺到してお断りせざるをえないことも多いとか。 今では、社員6名を擁し、ユニークな会社として注目を集めるまでになっています。 宮本さんは、苦しい時期に、鍵山先生の「なんでもないようなことをコツコツと続けていくことで道は拓けてくる」という言葉を励みにしていたそうです。 鍵山先生は「草むしり」を絶賛しています。「今の世の中が悪くなっているのは、大企業や銀行が『小さな努力で大きな成果』を得ようとしているからです。草むしりはそのまったく逆。『大きな努力で小さな成果』を得る仕事です。これは世の中を良くする動きだから、どんどん広げていってください。」とおっしゃっていました。今、草むしりでは、転職や事業に失敗した人、あるいは将来の方向性を定めきれない若い人たちを、研修生として積極的に受け入れています。彼らは一定期間の研修勤務後、それぞれの地域でのれん分けで独立していっています。 雇用情勢が悪化する中、ある意味で草むしりは究極の解決策になるかも知れません。 そうじもまさに「大きな努力で小さな成果」を得ること。この輪を広げていきたいです。 (小早)輝ちゃんはミタ!久しぶりの研修で気づくことが沢山あった!東京の(株)小河原建設様は弊社の支援先です。2年間の支援を経て、昨年秋に弊社の継続的な支援を卒業され、現在は自主運営による環境整備プロジェクトを継続中です。 先日、そんな小河原建設様で半年ぶりに弊社による研修が行われました。内容は、①「リーダーミーティング」②「小早による講義」③「実習」という内容です。 ①「リーダーミーティング」では、この半年の活動報告と課題が議題です。リーダーより、毎朝、週一、月一、現場の各活動が報告されました。しっかりと活動が継続されています。同時に、事務所を改装中と、業務多忙のために、なかなか思うようにいかない面があるとの指摘がありました。社長の認識は「見た目はキレイだが、良く見ると汚れている箇所が散見される。業務にも同様の事例がみられる」と厳しいものでした。プロジェクトリーダーが責任と権限をもって決めて実行していく事を確認いたしました。 ②「小早による講義」は、改めて何のために環境整備をするのかという基本の話でした。この話を聞くのが3回目だというリーダーからは「あらためて聞いて良かった。毎回違ったことに気づく」と感想がありました。 ③「実習」は、2班に分かれて、現場組は「車両清掃」を、内勤組は「書類整理」を行いました。それぞれの感想です。 ◇車両清掃◇「車と道具の整理で、取りやすく探しやすい状態になった」「小早先生から『スペアタイヤの空気圧はチェックしていますか?』と問われてビックリした。空気が抜けていては、いざという時に役に立たないことに気づいた」「工具箱1箱を車から降ろせた。良く考えると今の仕事には使っていなかった」 ◇書類整理◇「ルールを決めて書類を処分する仕組みが大切と思った」「他人の引出しの中を見るのは良い体験だった」 ◇その他◇「忘れかけていた環境整備の目的を再認識した」「複数人で楽しくやれてよかった。こういう風にやらないと、やらされている感じになってしまう」 社長からは「半年ぶりで環境整備の原点を思い出した。私自身、みんなに指摘してもらい古い携帯電話とデジカメを処分することができた。今期後半、環境整備活動を見直して取り組む必要を大いに感じている」という感想を頂きました。 久しぶりの研修で気づくことも多かったようです。なにより、実習をしている時の皆様は、本当に楽しそうでした。また今後が楽しみです。 (飯塚)今月の読書から『菜の花の沖』(全6巻)司馬遼太郎著~利と欲は違う。商人は世の中を豊かにするために働く~この本の主人公、高田屋嘉兵衛のことを知ったのは、本誌92号でご紹介した『ロシア士官の見た徳川日本』でした。1812年、日本に捕縛・監禁されたゴロウニン氏を救出すべく、部下のリコルド氏が千島列島において拉致したのが高田屋嘉兵衛でした。 嘉兵衛は淡路島の農村に生まれ、商家や漁師の下で奉公したのち兵庫県に渡り、そこで廻船業として独立します。 いち早く蝦夷地(北海道)の可能性に目をつけ、函館を中心にした開発に着手します。その当時、蝦夷地を藩領としていた松前藩は、アイヌから搾取するばかりで、ほとんど領内の開発をすることもなく、蝦夷地は未開の地だったそうです。 その地に嘉兵衛は、最先端の交易船と効率の良い漁法を持ち込み、鰊(にしん)の漁獲量を飛躍的に向上させ、今日の函館の繁栄の基礎を築いたのです。 嘉兵衛の人間性を特徴づけているのは、「商人(あきんど)たるものは欲に迷うな」という彼の信念です。 〈利と欲とはちがうのだ〉 〈世間をひろく見渡すに欲で商いをする者はたとえ成功しても小さくしか成功せず、かりに大きく成功してもすぐほろぶ〉 嘉兵衛の行った蝦夷地開発は、決して私利私欲ではなく、世の中の人々をより豊かにするためのものでした。 嘉兵衛は、アイヌにも和人同様の仕事を提供し正当な賃金を支払うことで、彼らの生活水準を大きく向上させました。 搾油後の鰊を干し肥料にし、内地に売りさばくことで、綿花の生産性を上げ、その当時まで麻が中心だった庶民の着衣を木綿中心に変えることができました。 嘉兵衛は晩年、リコルド氏に拉致され、それまでの経緯を理解して、ゴロウニン氏を救出するため幕府の当局側と交渉する役目を買って出ます。 その誠実さ、つまり「私」というものをさし置いて日本とロシアとの傷ついた外交関係の修復のために動く心意気は、リコルド氏を感動させます。 さて、この本の中に出てくる「そうじの力」です。 〈嘉兵衛の船には、なぜ船食虫がつかないのか。といわれたりしたが、しかし実際は嘉兵衛の船にも船食虫はついた。ただ湊に入ったとき嘉兵衛はいちはやく淡水の河口に船を突っこませ、船食虫の棲息する海水の淀みに船を漂わせることをできるだけ避けてきた。そういう初歩的なことを守るだけで、よほど虫の害をふせぐことができた。〉 嘉兵衛配下の船は、生涯、難船・破船がなかったらしいのですが、それもこうした普段からの心がけが天運を味方につけたと言えなくもないでしょう。 余談ですが、この本の中に私の苗字のルーツが出てきます。〈当時、樽廻船は、「小早」ともよばれた。〉と。私の祖先は船乗りだったのでしょうか。 (小早)お知らせ◆実践企業事例発表会&見学会小早の講演+小河原建設の見学 弊社支援先である小河原建設様の実践発表と現場見学会、そして小早の講演をセットにした盛りだくさんのセミナーです。 日時:6月26日(水) 13:30~14:30小早講演 14:30~15:30小河原建設発表 15:30~17:00小河原建設見学会場所:株式会社小河原建設本社 (東京都中野区中央5-4-24)会費:3,000円主催:株式会社そうじの力※どなたでも参加可能です。◆創業道場2013年度受講生募集中! 「志ある経営」を目指す仲間を育ててきた手作りの勉強会が、今年も開講します。 ただ単に飯が食えるようになるといったことが目標の人ではなく、『個性的で特徴ある事業をしている』経営者を育てることを目指した、少数ゼミ形式の講座です。 概要:①企業理念:何のための企業か ②市場戦略:自社の市場を知る ③地域密着:顧客密着企業を作る ④経営モニター:実態をつかむ 等日時:毎月第一火曜日AM5:00~7:00会場:群馬県高崎市内講師:須田知身氏(社長育成家)※ご興味のある方には、別途詳しいパンフレットをご用意しておりますので、お申しつけください。◆トイレそうじ参加者募集気軽に体験してみませんか 公園など公共施設のトイレそうじを、体験してみたいと思っても、なかなかその機会がなければ実践は難しいものです。私たちは有志で、気楽に細々と公園のトイレそうじを続けています。ご興味のある方、ご一報の上、お気軽にご参加ください。会場はいずれも群馬県高崎市です。・北三公園トイレそうじ 5月13日(月) 朝6:00~7:00・六郷公園トイレそうじ 毎週日曜日 朝6:00~7:00※予定が変更になることもあります。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援「そうじの力(=環境整備、5S、整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の活動は、「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。