【第97号】「見せる」から「魅せる」へ|(株)小河原建設
事例紹介「見せる」から「魅せる」へ 〈おもてなしの気持ちが取り組みの頑張りにつながる〉~株式会社小河原建設 実践事例発表会&見学会~東京都中野区にある小河原建設。もともと環境整備には取り組んでいた同社ですが、約3年前に弊社のお手伝いによる強化プロジェクトがスタートいたしました。当初は、いろいろとモノが多い状態でした。机の上には書類が山と積まれ、キャビネにはカタログがパンパンに詰まっていました。倉庫には現場から持ち帰った資材や工具があふれ、ゴルフクラブや船の模型といった事業に関係ないものまで埃をかぶっていました。まずは原則に従って、捨てる(=整理)からはじめました。資材や書類、カタログなどを見直して、本当に必要なものだけにすることで、トラック数台分のモノを処分しました。同時に、それまで行き届いていなかったトイレそうじや建築現場のそうじ実習を重ねていきました。その結果、素晴らしい「環境整備優等生」に変身し、社内はスッキリと清潔になりました。その小河原建設で、先日、「実践事例発表会&見学会」が開催されました。目的は、外部の人たちに「見られる」ことで、より取り組みレベルを上げていこうということです。環境整備を推進するうえで、「見る」「見られる」ことは大きな刺激になります。内容は、私の講演が一時間、小河原建設のプレゼンテーションが一時間、そして事務所と近隣の建築現場の見学会が一時間半です。実は今回の発表会で、一番驚いたのは私でした。というのも、4月に同社で研修を行った際には、ここまで整備はされていなかったにも関わらず、わずか2か月余りで、随分とレベルアップしていたからです。特に、「整頓」が一段と進みました。まずファイルのキャビネ。実は下のキャビネ、もともとは扉がついていました。扉がついていると、一見キレイなのですが、扉を開けてみると中がグチャグチャ、ということになりかねません。そこで扉を外しました。扉を外して、中身を整理・整頓したのですが、正直なところ、いまひとつピリッとしませんでした。今回、ファイルの背表紙を統一したことで、見た目が「ビシッ」としました。それまでは、古い図面などが茶色く変色していたり、背表紙が手書きだったりして、あまりカッコいい感じではなかったのですが、これでまさに「魅せる」キャビネに変身しました。もう一つの工夫が、各エリアごとに、ビフォアの写真を貼ってあることです。このおかげで、見学者が、以前がどのような状態で、それをどのように工夫改善していったのかを理解することが容易になります。各エリアごとの案内は、プロジェクトメンバーが担当してくれました。私も彼らの説明を横で聞いていましたが、実にわかりやすく丁寧に説明してくれました。こうして若いメンバーが堂々と見学者を前に案内できるようになったことも、この取り組みの大きな収穫です。事務所の後は、歩いて5分ほどの所にある建築現場を見学しました。現在同社では、「小河原スタンダード」という建築現場の環境整備のルールをDVDにして、大工さんや設備業者などの協力業者に配布しています。たとえば、電気コードなどの配線類。床に這わせると足が引っかかったりして危険です。これを、頭上を通すことをルール化しました。実は見学会当日は、強い雨が降っていました。現場は基礎工事が終わったばかりです。土の部分には丁寧にシートがかけられて、雨でも土が外に流れないように工夫されています。施主に対する心配り、そして近隣住民に対する心配りなのです。全体的に小河原建設には、「おもてなし」の心が浸透していると感じました。この見学会の冒頭の受付では、参加者におしぼりを手渡していました。雨で濡れた参加者にとっては、ありがたい心配りだったことでしょう。今回の見学会の準備は、社員さんたちにとっては負担もあったでしょう。しかし、せっかく来ていただくのだから、意義あるものにしたい、という気持ちが、彼らを頑張らせたのでしょう。こうした見学会をひとつ経験するごとに、小河原建設はレベルアップしていくようです。 (小早)おそうじ匠の技ホイールキャップを外してそうじしてみよう!~足元が輝くと全体が輝く~~そうじのコツのひとつに「見えない所からやる」というのがあります。車両の場合、「見える所」とは、いわゆるボディーです。「見えない所」というと、キャビンの中やグローブボックスの中、トランクルームの中、エンジンルーム、下回りなどになります。そんな車両の「見えない所」に、「ホイール」があります。車のホイールには大きく分けて、ホイールがむき出しになているタイプのものと、ホイールキャップと呼ばれるカバーがかぶさっているタイプのものがあります。このホイールキャップがクセモノなのです。ホイールキャップが外れるということを知らない人もいるでしょう。まずホイールキャップをホイール本体から外してみてください。力を入れて引っ張るだけで簡単に外すことができます。一度も外したことがない、という場合、内側の汚れはものすごいことになっているはずです。そもそもホイールは、車両の中でも汚れがつきやすい部分です。特に前輪は、ブレーキパッドがブレーキディスクと摩擦するたびに削れて粉塵が発生します。この粉塵がホイールについてしまうのです。ホイールキャップの内側にも、粉塵がべったりとこびりついています。そうじの方法はいたって簡単で、用意する道具は、水を汲んだバケツと洗車用ブラシ、歯ブラシ、そして雑巾です。洗車用ブラシにバケツの水をつけて、汚れをこすり落としていきます。入り組んだ部分は歯ブラシを使うとキレイにできます。洗剤を使わなくても、こうして水でこするだけでキレイになるのです。もちろん、ホイール本体も同様にそうじしましょう。キレイになったら、雑巾で拭いて水分を取り除き、再びホイールキャップをはめて完了です。ホイールは、人間で言うと「足元」にあたります。よく「足元がキレイだと体全体が引き締まる」などと言います。ピカピカに磨かれた靴を履いていると、それだけで何となく人物全体が引き締まって見えますよね。同様にホイールがピカピカだと、やはり車両全体が引き締まって見えるのです。見えない所をそうじするというのは、「気づき」の感度を高める訓練でもあります。 (小早)おそうじコラム街の風土が社風に反映し、社風が街の風土に反映する~挨拶の力~私は毎朝、ウォーキングをしています。健康のためには歩くのが一番だと思っており、だいたい一時間くらい歩きます。 ただ歩くだけではもったいないので、ゴミ拾いをしながら歩きます。 出張が多いので、旅先でも同じようにしています。 Mランドのある島根県益田市でもそうでした。以前から気づいていたのですが、私がこうして朝歩いていると、すれ違う中学生たちが、大きな声で「おはようございます!」と気持ちのいい挨拶をしてくれます。 田舎の国道沿いです。そもそも歩道を歩く人などほとんどいません。しかも私の恰好といえば、ワイシャツとスラックスに帽子をかぶり、手にはレジ袋を提げています。なんとも「ヘンテコリン」な恰好のオジさんに対して、「おはようございます」と声をかけてくれる中学生の優しさに感激してしまいます。 この話をMランドの人たちにしたら、「当たり前じゃないですか」と言われてしまいました。 しかし残念ながら、決して当たり前ではありません。特に都市部においては、子供たちが見知らぬ人に挨拶をすることは、あまりありません。 実は私の地元の群馬県高崎市でも、私が歩いていると、「おはようごさいます!」と挨拶してくれる中学生がいます。全員ではありませんが、半分くらいが挨拶してくれるでしょうか。 私は、できる限り自分から挨拶するように心がけています。 正直なところ、私は決して挨拶が得意ではありません。子供の頃、すれ違う見知らぬ人に挨拶などしたことはありませんでした。今でも、ドキドキします。前方から中学生がこちらに近づいてくると、「どこかでルートを外れてくれ」と心で願ったりします(笑)。 それでも、勇気を出して「おはようございます!」と挨拶して、向こうが「おはようございます!」と返してくれると、清々しい気持ちになります。 興味深いのは、島根県益田市には中学生が挨拶をする風土があるわけですが、その地にあるMランドもまた、挨拶をする社風がある、ということです。 街の風土が社風に反映するのでしょうか。あるいは逆に、社風が街の風土に反映するのでしょうか。 いずれにしても、島根県益田市とMランドの挨拶をする風土は素晴らしいです。 わが群馬県高崎市も、まだまだそこまでには至ってていませんが、そのような風土になれたら嬉しいですね。 (小早)輝ちゃんはミタ!第2回「そうじの力」合同研修会で、全国から同志が集まり高め合う瞬間をミタ!7月5日に岐阜県関市の株式会社マツバラにて、弊社がお手伝いをしている会社が一同に会する合同研修会が開催されました。参加は13社34名でした。 プログラムは、午前中は、会場となったマツバラの工場見学会とマツバラの取組み発表会、午後に参加各社の取り組み発表会、その後に夕食懇親会というながれです。 マツバラは、自動車部品などを製造する鋳造メーカーです。この「そうじの力だより」には何度も登場をしていますが、この会社は、鋳造工場ではありえないほどきれいなのです。 工場内は、見学された方が「稼働中の工場は埃っぽく、鋳型に溶けた鉄を入れると火花が飛び散り、砂でできた鋳型を外すと埃や粉塵が舞う。少しでもそうじの手を止めるとあっという間に埃の山となるのが分かった」と感想を記すほど過酷な環境です。 しかし、「見学中の階段などには、粉塵もなく驚きました」とか、「粉塵がきれいに除去、そうじされているのには驚きました」といった感想が多くありました。 また、「社内は、色々な工夫がされていて、一人一人のアイデアを色々な場所で感じる会社でした」「書類ファイルから鉛筆1本に至るまで、所在を決めて管理している」「粉塵対策として、書類棚やゴミ箱などにもワックスがけが施されてありスベスベである」など改善が進んだ様子も、見学された方々にとって刺激になっていたようです。 マツバラの松原史尚社長の講話でも驚きは続きました。印象的だったことをご紹介します。 「今は、社員がネガティブなことを一言も言わない。その一因がそうじです」 「そうじをする前の5年間に入社した新入社員は一人も残っていない、そうじをするようになってからの5年間は新入社員が一人も辞めていない」 「3年間のおそうじパワーアップ活動の成果としてホンダ、トヨタ、日産、などの名だたる自動車メーカーと取引が始まりさらに拡大している」などです。 「作り手の幸せな気持ちは、製品を通じて、それを手にした人に確実に伝わる」「その前向きで幸せな気持ちになっていくのがそうじの力だ」ともおっしゃっていました。 午後は、参加各社の取組み発表会でした。その中の印象的な内容をご紹介いたします。 西島木材「整理を進めたら、倉庫が2棟必要がなくなってしまい、結局2棟とも壊して更地にしました」 Mランド「要らないものを捨てた結果、倉庫がいらなくなりゲストルームができた」 ファイン「自社だけでやっていた周辺の地域清掃を、近隣の会社にも呼び掛けたところ、4社32名の参加があった」 マルシャン「若手から総リーダーを選任して彼を中心に活動をするようにしたところ、他のリーダー達もいっそう協力的になり、前向きに活動が進んでいる」 この会の締めくくりとなる夕食懇親会の場では、お互い面識のある方たちも増えて、ざっくばらんに自社の活動の状況を隠すことなく語り合う様子が多くありました。ある方からは「ここは、同じ志の仲間と出会い、勇気を頂ける場です」とお話をして頂きました。 後日皆様から寄せられた感想文の一部をご紹介いたします。 「やれば必ずできることですので、私自身先頭を切って会社の力になるよう、そうじを楽しみたいと考えます」 「まずはリーダーが行動をすること、行動し続けること。誰かが引っ張らなければ動いていかないことを痛感いたしました」 「環境整備の取り組みを継続することで、人間形成に大きく寄与していることを改めて感じております」 「自動車メーカーの資材調達の方が、工場を見ただけで全幅の信頼を持たれたそうですが、当然のことです。理屈を超越した覚悟や生き様がくっきりと投影されているようです」 「今回の研修において、我々の推進メンバー、特に2名の副委員長には非常に良い経験となったと思います。そうじを通じて人が育つ、まさに今回もそれを実感いたしました」 「我々にも色々なことがありましたが、結果、良いことをすれば良い連鎖が起こることを実感し続けました」 「心強い仲間が数多く増えているということは頼もしさと嬉しさと喜びを感じます」 第3回となる来年は、福井県での開催が決まり、大盛況のうちに合同研修会が終わりました。 (飯塚)お知らせ◆実践企業事例発表会&見学会(有)ファインの見学+小早の講演 弊社支援先であるファイン。インクまみれだった工場内は、いまやピカピカ。そうじによって磨かれた社員の笑顔を、ぜひ見に来てください。 日時: 9月27日(金) 13:00~14:00 小早講演 14:00~15:00 ファイン発表 15:00~16:00 ファイン見学会場所: 有限会社ファイン本社工場 (福井県鯖江市下河端517)会費: 3,000円主催: 株式会社そうじの力◆弊社新サービス出張おそうじデモンストレーション 会社や店舗や現場などのトイレそうじをちゃんとやっていきたい!そう思いながらも、「やり方が分からない」「スタッフにどう教えたら?」そんな時には、おそうじデモンストレーター飯塚輝明を呼んでください。トイレそうじのやり方を実演いたします。一緒に体験して下さい。・1回2時間3名様まで(法人に限る)・費用10,000円(群馬県内)※地域によって費用が変わります詳しいパンフレットをご用意しておりますので、ご請求ください。◆読者プレゼント!「そうじの力」オリジナルビブス 「そうじの力」のロゴマークを胸と背中にあしらったオリジナルのビブス。 地域清掃などの折に着用すれば、映えること間違いなし! このオリジナルビブスを読者の皆様にプレゼントいたします。 応募条件は、本『そうじの力だより』を3人の方に転送していただくこと。 ご希望の方は、3人の方に転送していただいた上で、お申込みください。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援「そうじの力」の活動(=環境整備=整理・整頓、清掃、瀬地決、躾=5S)は、「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。