【第98号】枠を超えた協力関係こそが問題解決の原動力|石見交通(株)
事例紹介枠を超えた協力関係こそが問題解決の原動力 〈委員会メンバーの選任がカギ〉~石見交通株式会社「そうじの力」の取り組み~島根県益田市に本社を置くバス運行会社である石見交通。69年の歴史を持つ、地域の足です。この石見交通で弊社のサポートにより「そうじの力」活動が始まって、約半年が経ちました。私が最初に訪問した頃には、事務所内では、デスクの上に書類が山積みされ、書庫には茶色く日焼けした古い書類が棚からはみ出さんばかりにあふれていました。壁にはいろいろな掲示物がベタベタと貼られ、壁の地肌が見えないほどでした。バスの整備工場は、予備部品なのか粗大ごみなのか分からないたくさんのモノであふれていました。私は第一印象で、「これはなかなか骨が折れそうだな」と感じたのですが、この心配は杞憂に終わりました。とにかく同社は、一歩ずつ着実に行動し、結果を残していっています。まずは事務所が動きました。経理部では、活動前には窓際にぎっしりと並べられ、窓の半分くらいを隠してしまっていた書類が見事に消え、視界も良好になりました。安全輸送部も、ずいぶんと力が入っています。当初、デスクの上にあふれていた書類は早々になくなり、「机上ゼロ」の状態が保たれています。次に床磨きに入ったのですが、わずか二ヶ月ほどでフロア全部を磨いてしまいました。今では床が蛍光灯の光を反射し、フロア全体が明るくなりました。同社の中でも一番やっかいだったのが、整備工場です。なにしろ敷地が広い上に建物が古い。手をつけるべき個所がたくさんあります。加えて、整備工場の責任者は、当初「そうじの力」の取り組みについて積極的ではないように見えました。まず何よりも「整理=捨てる」ことから始めなければならないのに、彼は「捨てること」が大の苦手だったのです。整備工場だけに任せていたのでは進まないと思い、他部署も含めて、全社を挙げて整備工場の整備に取り組むようにアドバイスをしました。また、広い工場なので、いっぺんに全部をやろうとせず、狭いエリアに分割して、ひとつずつ取り組むように促しました。すると、一気に整備工場の取り組みが進むようになったのです。今まで長年にわたって積み上げられていた「予備部品」の棚から、事実上モノがなくなりました。いかに無駄なモノを大事に取って置いていたかということですね。現在も、一箇所ずつ、「不要物を捨てる」ことを最優先して活動に取り組んでいます。工場の責任者の表情も、積極的なものに変わりつつあります。同社の取り組みがこのように進んだ理由のひとつは、委員会メンバーの人選が良かったことでしょう。各部署から、あえて役職上の責任者ではなく若手のリーダークラスが選任され、若くて素直なメンバーが顔を揃えました。その中でも、委員長である澄川和宏さん(経理部主任)は、適任でした。整備工場の取り組みがなかなか進まなかった時、澄川さんは、「おれも一緒にやるよ」と言って、作業衣に着替え、整備士たちと一緒に汗を流して不要物の整理を手伝ったそうです。その頃から、工場の人たちの雰囲気も前向きに変わっていきました。そのほかにも、若い委員たちが、部署の壁を越えて協力して取り組みを進めている光景が随所に見られます。社内に「和」が育ちつつあります。メンバーの感想の一部をご紹介します。〈実際、今の環境で仕事をしてみると、「いままでの環境がなんだったのだろうか」と思うほどスムーズに業務でき、気持ちよく仕事ができている。〉〈今回、グループ全体で取り組む事で、今まで話した事のない他部署の人とコミュニケーションを取る機会が得られ、グループ全体で働く仲間が増えた気がします。〉〈今回、私がこのそうじの力を通して営業所として一番成果が得られたものは、営業所内が一致団結して一つの目標に取り組み、今まで得られなかった仕事以外の達成感、お互いの信頼感が生まれた事ではないかと考えております。〉なによりも、こうしたメンバーを選任した小河英樹社長の眼力が確かだったことと、社長ご自身が率先垂範されていることが、推進力になっていることは言うまでもありません。 (小早)おそうじ匠の技裏の裏までそうじをしてみよう!~スイッチボックスを分解しました~電気のスイッチやコンセントは、ふだんはカバーの上を拭きそうじするくらいだと思いますが、たまには分解して内部のそうじをすると面白いです。 スイッチボックスのカバーはマイナスドライバーなどを使ってこじると簡単に外せます。ネジで止めてあるタイプのものなどは、そのネジをドライバーでゆるめれば簡単に外せます。また、スイッチを透明のカバーが覆っているタイプのものは、指でつまむだけで簡単に外れます。外してみると、カバーの裏やスイッチボックス内部に結構ホコリがたまっています。 スイッチボックス内部は固く絞った雑巾、歯ブラシなどを使ってホコリや汚れを除きます。 さらにカバーの外枠もネジをゆるめて取り外すことができます。電気工事の専門知識がある人以外は、ここまでにしておきましょう。スイッチそのものまで分解してしまうと、感電の恐れもありますし、元に戻せなくなるかも知れません(笑)。カバー類は、洗面所に持っていき、食器を洗う要領で、スポンジを使って洗って、ふきんでしっかりと水気を拭き取るのが良いです。油汚れやたばこのヤニ汚れの場合には、台所用中性洗剤を使うとキレイになります。水気を拭き取ってキレイになったカバー類を元に戻せば完了です。 こうして分解して洗ってそうじすると、表面の拭きそうじだけでは取れない、キワや裏の汚れがきれいになります。キワがきれいになると、元に戻した時に新品のようになります。また、裏がキレイになると、表からは見えないにもかかわらず、輝いて見えるような気がします。同様に、コンセントのカバーも取り外してのそうじが可能ですので、ぜひチャレンジしてみてください。ただし、くれぐれも感電にはご注意を! (飯塚)輝ちゃんはミタ!高崎まつりでのゴミ収集に高崎市民の心意気をミタ!8月4日(日)に「高崎まつり」を初めて見物してまいりました。神輿のもみ合いや山車巡行、花火大会などで大いに盛り上がる高崎市の夏の一大イベントです。特に山車は台数も多いことと、それぞれに見事な作りで見応え十分でした。 お祭り自体を楽しめたことはもちろんですが、それ以外に驚いたことがありました。見物しながら歩く道や広場に落ちているゴミが極端に少ないのです。 私の地元、おとなりの前橋市のお祭りなどでは、道にゴミが落ちていたりゴミ箱からあふれている光景を多く見ます。「高崎まつり」を見物中にそんな不快な光景に出会うことは最後までありませんでした。 お祭りの広い会場に、いくつもリサイクルステーションを見かけました。ごみの清掃と分別回収を目的にしているそうです。参加している市民の方が、自らそこへゴミを持込み分別をしている姿を多く目にしました。 リサイクルステーションには、スタッフの方々がいて、声をかけてくれたり、あれやこれやと世話を焼いてくれるので、ゴミを持ち込んだ参加者も張り合いがあります。 私は、自分が飲食したゴミを安心して気持ちよく処理できる場所があるので、心おきなくお祭りならではのグルメを楽しむことができました。 また、黄色のスタッフTシャツを着た多くのボランティアの若者が、お祭りの最中にゴミを拾っている姿をいたる所で見かけました。広い会場一帯は、まるで、ディズニーランドかと思うほどの気持ちよさでした。 不快なゴミを目にしないという、清潔で心地よいお祭りの光景を目の当たりにして「高崎まつり」を主催・運営される方々、参加される市民の方々の志の高さが伝わってきました。また、高崎の街を愛する思いであふれていました。 「高崎まつり」を見物したあと、私はあらためて高崎の街が好きになりました。また、高崎市民の心意気が大好きになりました。 (飯塚)おそうじコラムそうじの力で成績が上がる、クラスが団結する!~就業体験の中学生の発表から~昨年、弊社は近隣の市立中学校から就業体験の生徒二名を受け入れました。そのうちの一人が、このたび、群馬県の「少年の主張」の地区大会において「そうじの力」を題材にした発表を行い、表彰されたとのこと。 今回、その原稿を入手したのですが、素晴らしい内容が書かれていて、驚きました。ぜひとも本誌読者の皆様にも読んでいただきたく、校長先生と本人から許可をもらいましたので、その原稿をそのまま転載させていただきます。 ――――以下転載―――― 掃除の力 高崎市立長野郷中学校3年 青木文香 「文香、部屋を片付けなくちゃ、ダメじゃないの。」母に幾度となく言われた言葉。私は掃除をすることが苦手でした。人目にさらされることのない自分の部屋は、いつも物が散乱し、床が見えない状態でした。学校での清掃活動は、約七年間、義務として仕方なくやっていました。先生方が整理整頓や掃除を重視する理由について改めて考えることもせず、母に何度叱られても片付けようという気は起きない・・・。私は掃除を単なるボランティアくらいにしか考えていませんでした。 みなさんは掃除の目的は何だと思いますか。それはもちろん、その場をきれいにすることです。しかし、ある出来事を境に私の考えは変わったのです。掃除をすることの本当の意味や目的には、もっと大切なことがあるのではないでしょうか。 私は去年経験した職場体験で、掃除について様々なことを考えさせられました。行き先は、「そうじの力」という、掃除のアドバイスをしている会社でした。特に「ここへ行きたい。」という強い希望はなく、ただ何となくこの事業所を選びました。しかし、この時私が、たくさんの事業所の中からこの会社を選んだのは、何か引き寄せられるものがあったからだと思います。 この会社の代表取締役の小早さんから聞いた話の中で私がとても驚いたことがあります。それは、業績の傾いている会社は、掃除がきちんとできていないという共通点がある、ということです。 それはまるで自分自身のことを言われているようでした。この頃の私は、思うように成績が伸びずに悩んでいました。母には「あんな汚い部屋で勉強していれば当たり前だよ。」とよく言われていたのですが、そんなことはまったく関係ないと思っていました。しかし、小早さんのお話を聞き、ショックだったのと同時に、掃除のもつ本当の意味を知ることができたのです。 私は、家に帰って早速、部屋を片付けました。そして、それからは部屋の整理整頓を心がけました。そうしたところ、勉強量を増やしたわけではないのに、次の試験では、自己最高点を取ることができました。それは、整理整頓された部屋で落ち着いてテスト勉強を進めることができたからだと思います。そして、掃除は誰かのためにするのではなく、自分自身のためにすることに気づけたからだと思います。 もう一つ小早社長が言われたのは、掃除をすると、人も変わると言うことです。暗かった人が明るくなったり、消極的だった人が積極的になったりするといいます。そして、皆が仲良く協力的になるそうです。 私はこのことにも思い当たることがありました。いつも掃除が隅々まで行き届いているクラスは、すごく団結しています。そして、クラスの雰囲気に落ち着きが感じられます。逆に、いつも教室にごみが落ちているクラスは、少し落ち着かないところがあると感じます。掃除の力は、その場の雰囲気をも左右するのです。 私は、掃除の力は偉大だと思います。直接的な関係はなくても、一人一人の実力は必ず上がってきます。そして、みんなで励めば学校という組織全体もよくなるのです。私は、職場体験以後、掃除の時間、進んで清掃に取り組むようになりました。 以前はめんどうくさいと思っていましたが、今では、楽しく掃除をしています。めんどうくさいと思うのは、当然かもしれません。しかし、それを乗り越えて私たちは成長していくのではないでしょうか。「当たり前のことほど大切」というのは、まさしくこのことであると思います。掃除は、個人だけでなく、集団をも良い方向へと導く大きな力をもっているのです。 掃除に対して、前の私のような考えを持っている人は、掃除の見方を変えてほしいと思います。そして、少しでも進んで掃除をしてみてほしいです。そうしたら、必ず何かが変わってきます。私は、多くの人に掃除の力について知ってもらいたいと思います。 ――――転載終わり―――― 正直なところ、就業体験に来てくれた生徒が、我々が伝えたことをどのようにとらえ、生かしていってくれているのか、よく分かりませんでした。 しかし、こんなふうにしっかりと理解してくれているだけでなく、自分で実践してみて、その効果をきちんと体得してくれているというのは、望外の喜びであります。 こんなふうに「そうじの力」を実感し、実践していく青年が増えてくれば、この日本もどんどん活気づいていくでしょう。私たち大人が、きちんとしたことを伝えれば、子どもはきちんと理解できるのです。 子どもたちの無限の可能性に気づくとともに、私たち大人の行動が変われば、社会の未来も開けるのだ、ということをあらためて実感した次第です。 (小早)お知らせ◆実践企業事例発表会&見学会(有)ファインの見学+小早の講演 弊社支援先であるファイン。インクまみれだった工場内は、いまやピカピカ。そうじによって磨かれた社員の笑顔を、ぜひ見に来てください。 日時: 9月27日(金) 13:00~14:00 小早講演 14:00~15:00 ファイン発表 15:00~16:00 ファイン見学会場所: 有限会社ファイン本社工場 (福井県鯖江市下河端517)会費: 3,000円主催: 株式会社そうじの力◆弊社新サービス出張おそうじデモンストレーション 会社や店舗や現場などのトイレそうじをちゃんとやっていきたい!そう思いながらも、「やり方が分からない」「スタッフにどう教えたら?」そんな時には、おそうじデモンストレーター飯塚輝明を呼んでください。トイレそうじのやり方を実演いたします。一緒に体験して下さい。・1回2時間3名様まで(法人に限る)・費用10,000円(群馬県内)※地域によって費用が変わります詳しいパンフレットをご用意しておりますので、ご請求ください。◆読者プレゼント!「そうじの力」オリジナルビブス 「そうじの力」のロゴマークを胸と背中にあしらったオリジナルのビブス。 地域清掃などの折に着用すれば、映えること間違いなし! このオリジナルビブスを読者の皆様にプレゼントいたします。 応募条件は、本『そうじの力だより』を3人の方に転送していただくこと。 ご希望の方は、3人の方に転送していただいた上で、お申込みください。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援「そうじの力」の活動(=環境整備=整理、整頓、清掃、清潔、躾=5S)は、「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。