【第102号】自分たちで気づき、自分たちで行動する|(株)マルシャン

事例紹介自分たちで気づき、自分たちで行動する 〈そうじをすれば、人が変わり会社が変わる〉~株式会社マルシャン 「そうじの力」見学会~新潟県長岡市のパン製造卸の株式会社マルシャン。ここで十一月二十八日、「そうじの力」見学会が開催されました。お取引先や近隣の企業の方々に来てもらい、同社の取り組みについてのプレゼンを聴いていただき、工場内を見学していただくイベントです。同社では、二年余り前に弊社がお手伝いして「環境整備強化プロジェクト」がスタートしました。当時、工場が老朽化し、手狭になってきたので、新工場への移転を控えている時期でした。旧工場は古くて狭いだけでなく、汚く乱雑で、安全衛生上も問題がありました。このタイミングでそうじをする習慣を身に着けなければ、新工場に移ったとしても、すぐに汚くなってしまいます。いくらハードを良くしても、ソフト(人)が良くならなければ、会社は何も変わりません。こうして取り組みをスタートさせたものの、当初はなかなか思うように進みませんでした。パンの製造過程で扱うのは、小麦粉と水と油です。キレイにそうじをしても、すぐに汚れてしまいます。また、表に見えている部分だけでなく、機械の内側や排水管など、見えない部分に汚れが溜まるのです。それでも、コツコツと活動を続けた結果、少しずつ形ができてきました。新工場に移転後も、キレイな状態を保ったまま操業することができています。移転後半年して、工場を設計した業者が点検に訪れた際に、「こんなにキレイに使っている工場は珍しいですよ」と誉めてくれたそうです。活動の大きな転機となったのが、社員からリーダーを任命したことでした。それまでは社長が活動を仕切っていました。しかし社員の側からすると、どうしても「命令」という受け止めになってしまいます。五十嵐孝一さんをリーダーに据えたことで、推進メンバーの雰囲気が、ぐっと前向きになりました。事実、今回の見学会における五十嵐さんのプレゼンにおいても、「以前は『やらされていた』が、今は『自分たちでやっている』」というコメントがありました。また、「最初はムリだとか、面倒くさいという意見が多かったが、ミーティングを繰り返すうちにコミュニケーションが取れて前向きになってきた」「今はそうじをするのが当たり前になっている」というコメントもありました。社員たちも、「五十嵐さんがうまくまとめ役をしてくれている」「リーダーのやる気を感じる」「現場チェックの目が、かえって厳しくなった」「やるんだったら楽しく、という雰囲気を感じられる」という感想を寄せてくれています。仲丸達雄社長のコメントです。「リーダーを中心に推進メンバーが現場巡回をしながら、自分たちで課題を発見して改善に取り組んでいる」「みんなで現場を見ることで、商品や作業内容など様々なことについての気づきや発見があるようだ」「定期的なミーティングのおかげで意識を共有することができている」。当初は取引先の要望に応えられるように、という「守り」の発想だった環境整備ですが、今では「環境整備を通じて明るく清潔な社風を作る」のが目的だと、社長は話してくれます。工場見学においては、各担当者が堂々と説明してくれているのが印象的でした。「以前は汚かったのですが、今はピカピカにそうじしています」と。説明しているKさんに、見学者が「私生活で変わったことはありますか?」と質問したところ、「家のトイレや部屋も、裏までそうじするようになりました」と答えていました。発表会の後、社長は、Kさんについて「以前とはずいぶん変わった。以前は自分の主張を押し通すだけだったが、今はちゃんと周りを見ている」と言っていました。そうじを通じて人が変わり、会社が変わりつつあります。まだまだ課題もたくさんありますが、今後が楽しみです。                 (小早)出張おそうじデモンストレーション十月より始めたおそうじデモンストレーションですが、いろいろな企業で実施させていただいております。 デモンストレーションという名前ではありますが、実際のトイレそうじは参加した皆様にやっていただいています。その中には、社長が先頭を切って誰よりも楽しそうに取り組んでいただく企業も少なくありません。その中から二例ご紹介をいたします。 上段の写真は、高崎の有限会社望月製作所様です。望月社長がとびっきりの笑顔で率先して取り組んで頂きました。 おそうじデモンストレーション終了後の望月社長の感想です。「知らない事がたくさんあり、トイレそうじが楽しくなりました。社員同士知恵を出したり、隠れた能力が見えて、社員の新しい一面が見えた事がうれしく思いました。これから社員全員で行えるようにしていきたいです。」   下段の写真は、同じく高崎の四季の住まい株式会社様です。参加された皆様のとても前向きな雰囲気の中、大変楽しい二時間でした。 悴田社長の感想です。「普段、トイレそうじをしっかりとやり切ることがなかったためとても気持ちが良かったです。普通は誰もが嫌がるトイレそうじを社員全員が気持ちよく行う事ができれば素晴らしいことだと思います。今回参加したメンバーから徐々に広げ全員となれるよう進めて行きたいと考えています。お施主様にも良い提案ができそうです。」   いずれの場面でも社長が先頭を切ると、とたんにその場の空気が明るくなりました。みなさん、一旦熱が入るとどんどん熱中してトイレを磨くので、私の出番がなくなるほどでした。              「出張おそうじデモンストレーション」は一回二時間から承っております。詳細については、最終ページの『お知らせ』欄をご覧ください。お問い合せもお気軽にどうぞ。                 (飯塚)おそうじコラム地域の風土、企業の風土~街を良くするのは、私たち一人ひとり ~出張で各地を旅していると、その土地の風土や人柄というものに触れる機会も多くなります。 土地柄というときに一番分かりやすいのは、食べ物。各地にはそれぞれおいしい食べ物があります。香川県のうどんは、その典型でしょう。香川への出張が多い私は、今ではいっぱしの「うどん通」です(笑)。 さて、食べ物の他に私が気になるのは、その地域にどれだけゴミが落ちているかということです。常々、街のキレイさと民度は比例すると考えています。 最近気づいたのですが、香川県高松市で早朝に歩いていると、あちらこちらでそうじをしている人を見かけるのです。 自分の店舗の前をそうじしている店主や従業員もいれば、何らかの形で雇われている清掃員もいるでしょう。中には、まったくのボランティアとお見受けする方々も、公共の歩道や通路をそうじしています。 高松市の市街には、交差点を歩行者が横断するための地下道(アンダーパス)がいくつかあるのですが、そこにはほとんどゴミが落ちていません。地下道というものは、隠れた場所だけに、たいていゴミの溜まり場になっているものです。朝、そうじをしている方々の努力により、この状態が保たれているのでしょう。 福井県も、街がキレイなところです。 私は旅先においても毎朝一時間ほど散歩を兼ねてゴミ拾いをしているのですが、福井県の鯖江市や福井市では落ちているゴミが少なく、持参したゴミ袋がスカスカの状態で戻ってくることも珍しくありません。 一方の島根県益田市は、「挨拶の街」です。 早朝、街道を歩いていると、すれ違う小中学生たちが見知らぬ私に向って、「おはようございます!」と元気な挨拶をしてくれます。おそらく地域の大人たちが率先して子供たちに挨拶しているからこそ、子供たちが挨拶をするのでしょう。 益田市には、ユニークな経営で知られるMランド(益田ドライビングスクール)があります。Mランドに入校した若者は、卒業までに「挨拶をする人」に変身してしまうと言います。そうした企業の努力が、街全体に反映しているのかも知れません。 その土地を良くするのも悪くするのも、結局、私たち一人ひとりの実際行動にかかっています。         (小早)輝ちゃんはミタ!諫早建設のみなさんの意欲的な取り組みをミタ!東京都小平市の諫早建設株式会社でこの八月より「そうじの力」の取り組みが始まりました。 活動を始めるにあたり、この活動を通して「最終的にどういうふうにしたいか」という目標をみなさんで討議しました。その結果、会社目標は「年間二〇棟で残業ゼロ」 という事に決まりました。 そうじの力の活動を通して、しっかり利益の出せる二〇棟の建設を行い、なおかつ残業せずともきちんとこなせる体制を作ろう、ということです。 同時に達成期限も決めました。二年後や三年後という案も出たのですが、達成は早いほどいい、ということで「二〇一五年二月末(一年半後)」を期限としました。とても意欲的な期限設定です。 この目標設定に納得がいったからなのか、社員のみなさんはとても前向きです。会社を良くしていきたいという気持ちがひしひしと伝わってきます。 事務所、倉庫、現場のそれぞれで整理整頓の内容とスケジュールを決めて、九月から整理の作業に取り掛かりました。 整理を始める前の事務所では、書類やサンプルなどがあふれて山のようになっていました。 目指すは机上ゼロです。事務所内の不要なモノをすべて捨て切りましょうという事で、そのための期限を十月末と設定しました。 諫早建設のみなさんの素晴らしいのは、期限を定めたら必ず守るところです。決めた通りに十月末までには、写真のようにすっきりとした事務所になりました。 辻社長は「事務所が明るくなり、社員間の会話も増え、打合せがしやすくなりました。設計・営業・監督のコミュニケーションがとても大切な当社にとって一歩前進を実感しました。」と言っておられます。 事務所と並行して、倉庫についても整理が進行しています。整理によって生まれた空きスペースをどう有効利用するかも検討が始まりました。 整理の活動をしている時の社員さんたちは、なぜかとてもイキイキと楽しそうで、お手伝いしている小早や私も、自然に笑みがこぼれてしまいます。 まだ活動が始まったばかりで課題はたくさんありますが、みなさんの動きがとても早く意欲的で、今後がとても楽しみです。                 (飯塚)今月の読書から『壊れ窓理論の経営学』マイケル・レヴィン著~小さなことがよくも悪くも大きな違いを生む~知人の中学校教諭 新井国彦さんに勧められて読んでみました。 本書は、「汚いトイレとは、壊れた窓である」という一文で始まります。 『壊れ窓理論』とはご存知のとおり、「壊れた一枚の窓が修理されずに放置されていたら、残りの窓もじきに壊れる。なぜなら、建物の所有者も地域住民も、壊れた窓など眼中にないという情報がそこから発信されているからだ。」というもので、「殺人など凶悪犯罪を防止するためには、落書きやひったくりなど軽犯罪を厳しく取り締まるべきである」として、ニューヨークの治安回復に成功したことで有名です。 本書はこの理論をビジネスに当てはめて、アメリカ企業の様々な事例をもとに、経営者のあるべき姿を説いています。 書いてあることはごく当たり前のことで、特に目新しいものはありませんが、読んでみるとまったくそのとおりで、あらためて考えさせられます。 〈もしもバーガーキングの化粧室でトイレット・ペーパーが切れていたら、それは店長が客の要求に応えていないシグナルだ。客はこう結論づけるかもしれない。この店は調理もおざなりだろう。〉 〈飛行機の客が座席のテーブルを出したとき、コーヒーカップの輪染みを見つけたら、その航空会社はエンジンの整備までも甘いのではないかと勘ぐるに違いない。〉 〈剥がれたペンキや擦り切れたカーペット、拭かれていないカウンターを目にしたら、顧客の頭のなかに警告のランプがつく。〉 消費者は、壁のペンキの剥げ落ちなど「ひとつの欠点が目に入れば、そこから思わぬ方向へ考えが及んでいくものだ」と解説します。 「アリの穴から堤も崩れる」と。 それを防ぐためには、経営者自身が「強迫観念」にも似た「執念」を持つことが必要だと説きます。 〈かつてレイ・クロック(マクドナルドの実質的創業者)は、訪れたマクドナルドの店舗が水準に達していないと感じると、みずからモップを握り、掃除をはじめたという。〉 〈何かを命じるだけでは足りない。それが実行されたかどうか、自分の目で確認しなければ。〉 〈経営者と従業員が神経をすり減らすくらいの執着心を持って自分の仕事に取り組まなければ、会社は大きな成功を収めることはできない〉 「みずから率先して、店舗のなかを歩きまわってみよう」という一文は、単純ながら叡智の詰まった至言だと思います。 最後に本書は、次の言葉で締めくくられています。〈細かいことにどれほどこだわっても、こだわりすぎるということはない。〉 (小早)お知らせ◆実践企業事例発表会&見学会小早の講演+小河原建設の見学  弊社支援先である小河原建設様の実践発表と現場見学会、そして小早の講演をセットにした盛りだくさんのセミナーです。 日時:2014年2月27日(木)    13:30~14:30小早祥一郎講演    14:30~15:30小河原建設発表    15:30~17:00小河原建設見学会場所:株式会社小河原建設本社     (東京都中野区中央5-4-24)会費:3,000円主催:株式会社そうじの力※巻末連絡先までお申込みください。◆法人向けミニサービス出張おそうじデモンストレーション  会社や店舗や現場などのトイレそうじをちゃんとやっていきたい!そう思いながらも、「やり方が分からない」「スタッフにどう教えたら?」そんな時には、おそうじデモンストレーター飯塚輝明を呼んでください。トイレそうじのやり方を実演いたします。一緒に体験して下さい。・1回2時間3名様まで(法人に限る)・費用20,000円(群馬県内)※地域によって費用が変わります詳しいパンフレットをご用意しておりますので、ご請求ください。◆講演録 無料頒布「働くってどういうこと?」  小早祥一郎が高崎市立高松中学校の生徒に向けて「働くってどういうこと?」と題して講演を行いました。 その講演の全文と生徒の感想文(抜粋)をこのたび小冊子にまとめました。 生徒たちの真剣さと感性の鋭さが伝わる内容です。 ご希望の方に無料で進呈しますので、巻末の連絡先までご請求ください。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援「そうじの力」の活動(環境整備=5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)は、「人づくりと組織づくり」です。講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。