【第107号】ひとつ整えれば、ひとつだけ気持ちが変わる|(株)ダスキンせらい

事例紹介ひとつ整えれば、ひとつだけ気持ちが変わる 〈他では味わえない「一体感」が宝〉~ダスキンせらい そうじの力 発表会&見学会~山口県光市の株式会社ダスキンせらい。清掃用品レンタルや清掃サービス、害虫駆除、福祉用品レンタルなどを行う社員二〇名ほどの会社です。ここで私が環境整備のお手伝いを始めてから、ちょうど二年が経ちました。おそうじの会社だけあって、最初から床などはピカピカでした。しかし、整理・整頓が苦手でした。当初は、机の上には書類が山積みされ、同じフロアの同僚の顔が見えないほどでした。壁一面は掲示物で埋め尽くされ、倉庫の商品も乱雑に床に直置きされているような状況でした。まずとにかく、「捨てる」ことから始めました。書類や掲示物は「なんとなく」取ってあるものですが、「読んでいない」モノは徹底的に捨てました。捨てていくと、スペースが増え、フロアが広くなったように感じます。邪魔なものがなくなり、社員間のコミュニケーションも良くなりました。次に、定位置化と表示・標識に取り組みました。表示・標識を進めていくと、少しずつですが「チョイ置き」がなくなり、床への直置きもなくなってきました。途中、なかなか進歩が目に見えず、社長や幹部が苛立った時期もあったのですが、それでもコツコツと活動を続けたことが成果につながりました。今回、外部の方を対象にした発表会&見学会を開催するにあたって、「本当に大丈夫だろうか?」という心配も実はあったのですが、結果としては取り越し苦労でした。無駄なモノがなく、定位置化が行き届いた環境は、すがすがしい空気に包まれ、参加者の方々も「キレイですね!」と驚いていました。発表会冒頭の、瀬来清美社長の挨拶の抜粋です。〈世の中で、金銭優先だった人生や会社の価値観が少しづつ変わってきています。私たちも変わらなければいけない。自分を変えるためのひとつの活動が、3S(整理・整頓・清掃)です。価値観を変えるのは容易ではありませんが、行動習慣を変えることで、価値観を変えることができると思います。一緒になって汗を流して一緒に喜べる行動を積み重ねることが大切だと思っています。〉以下、それぞれの持ち場でプレゼンテーションしてくれた社員さんたちのコメントです。〈弊社は、お客様の所をキレイにする会社でありながら、自分の所はキレイにしていませんでした。特に整理と整頓が苦手でした。やってみると、今までが何だったのかと思うくらいに仕事がやりやすくなりました。〉〈壁一面を埋め尽くしていた掲示物を、一旦、すべて例外なくはがしたのです。すると、何が必要で何が不要なのかが分かるのです。不思議だったのは、すべての掲示物をはがしても、何も困ることがなかったことです。〉〈外出時に携行する道具をきちんと整頓して収納することで、忘れ物が減りました。〉〈今まで乱雑に積み上げられていた商品設けて整頓したおかげで、作業量が半分くらいに減りました。本当に、3Sは大事です。〉〈これまでは、「とりあえず置いちょけ」(山口弁)とモノをそのへんに置きっぱなしにしていたのですが、「いや、『とりあえず』はやめちょけ」になりました。〉発表会&見学会の最後に挨拶をした同社幹部のMさんのコメント。〈実は当初は3S活動について、「うるさいな」と思っていました。私は典型的な「変われない」タイプです(笑)。しかし、ここ数か月の社員の様子を見ていると、「何かが変わってきた」と感じ、なんとなく面白くなってきました。小早さんがいつも言っている「楽しくやる」ということの意味が少し分かってきたような気がします。このような発表会をまたやりたいので、次回もぜひお越しください。〉今まであまり活動に積極的でなかったMさんが、笑顔でこのような挨拶をしてくれたことに、同社の進歩が如実に表れています。会の終了後に、瀬来社長が私に、「全員の一体感が生まれたことが、何よりも今回の収穫でした」と語ってくれたことが、私にとっては一番のご褒美になりました。今後ますます環境が整備され、社員の団結力が強まるでしょう。(小早)おそうじ匠の技そうじ道具は適切なものを使いましょう!~鏡のウロコを磨き落とす~最近は、汚れの場所や性質に合った、便利なそうじ道具がいろいろと世に出てきています。そうじをする対象に合わせて適切な道具を選ぶと、思った以上にキレイになり、そうじが楽しくなります。鏡は、設置してある場所にもよりますが、そうじをしていたとしてもだんだんと白い水垢が付着します。ひどくなると、ウロコ状になって鏡が見えなくなるほど曇ってしまいます。 一般の洗剤を使ってスポンジでこすったところで、この白いウロコ状の水垢には全く歯が立ちません。  そんな時に良い道具があります。「ダイヤモンドパッド」といいます。鏡の表面に傷をつけることなく、鏡の表面の白い水垢を簡単にキレイに除去することができます。ホームセンター500円~1000円ほど手に入れる事ができます。 使い方です。まず、①鏡の表面をぞうきんなどで拭き取ります。(ダイヤモンドパッドでこする時に砂や埃などで鏡の表面に傷をつけないためです) その際に、拭き取ったあとに鏡の表面を良く濡らします。 次に②ダイヤモンドパッドを水で濡らして鏡の表面を擦ります。(乾いたまま擦ると鏡に傷をつけやすくなります)これだけで驚くほど良く水あかが取れます。 注意することは、ダイヤモンドパッドを鏡の面に水平に擦ることです。(パッドの角で鏡に傷をつけないようにして下さい)また、広い面を一気に擦るのではなく、局所集中で狭い範囲を丁寧に磨き、そこを磨きあげたら次の範囲に広げていきましょう。60cm×90cmの鏡1枚で30分ほどの時間がかかりました。 仕上げは良く水分を拭き取ります。ぞうきんの他に新聞紙などで拭き上げると仕上がりがキレイになります。鏡をキレイに保つには、使用後に必ず水滴を拭き取ることが必要です。水の中に含まれるカルシウムなどのミネラル分が、水が乾いた後に残ることで白いウロコ状の水垢汚れになるからです。それでもついてしまった水垢は、ダイヤモンドパッドで磨きましょう。キレイな鏡は運気を上げるそうですよ。 (飯塚)おそうじコラム「見えない所」をキレイにする~見えない所に本質が表れる ~日頃私が支援先で環境整備についてアドバイスする際に、しつこく強調することのひとつが、「見えない所をキレイにする」ということです。 見える所は誰でもキレイにするものですが、見えない所が肝心なのです。 私が見えない所のキレイさにこだわる理由のひとつは、単純に、見えない所ほどゴミ、汚れ、ホコリ、不要物、不明物が溜まるから、ということです。 たとえば、デスクの足下や棚の下などには、たくさんのホコリが溜まっているはずです。建屋と塀の間に、不要物や不明物が放置されていることも多いです。滅多に開けない倉庫に遊休機械や不良在庫などが眠っていることもあります。 もうひとつの理由は、見えない所にその人なり組織なりの本質が表れるから、ということです。 見える所だけキレイにして、見えない所は汚い、というのは、端的に言えば「裏表がある」ということに通じます。本音と建て前、と言い換えても良いでしょう。 たとえば、トイレの目皿の表面はピカピカなのに、裏面には尿石がこびりついているという場合。おそらくこのトイレをそうじする人は、「そうじなんて見える所だけやっておけばいいんだ」という気持ちなのでしょう。 飲食店の厨房なども、汚い所があります。「どうせお客様には見えない」ということでしょうか。スーパーマーケットなどのバックヤードも、やはり「お客様には見えない」ということで汚い所が多いですね。 たしかに、厨房やバックヤードにお客様が立ち入ることは、まずありません。しかし、そこから発する「気」「オーラ」といったものは、必ず何らかの形で表に出てくるものです。 汚い厨房からおいしい料理は生み出せません。バックヤードの状態が、接客態度などにも反映されてきます。 逆に、「見えない所」をピカピカにすることで、裏表のない風土を形作ることができます。また、われわれ誰しもが持っている「面倒くさい」という気持ちの克服にもつながるのではないでしょうか。 「見えない所」をキレイにする癖がつくと、「脱ぐとスゴイのよ!」という気持ちになります(笑)。「裏側」を積極的に公開する企業姿勢は、お客様の信頼を得る原動力になるのではないでしょうか。(小早)はじめまして! ピカピカの新入社員大槻 飛鳥 です!皆様はじめまして。二〇一四年五月一日付で(株)そうじの力に入社いたしました、大槻飛鳥(おおつきあすか)です。 一九八六年生まれ長野県長野市出身、現在は東京都葛飾区にて夫と二人暮らしです。 群馬県の高崎経済大学を卒業後、埼玉県深谷市の農業資材販売会社に五年間勤務しました。 農家のお客様のところに訪問する機会が多かったのですが、あるとき安定経営されている方とそうでない方の決定的な違いを発見します。 倉庫の美しさです。きちんと使用資材が整えて収納・管理されている方の農業経営はとてもスマートで、また何より経営者ご本人がとても張り合いをもって農業に勤しんでおられるのです。 それに気づいたのち、整理収納アドバイザーの資格を取得、マネージャーとして会社の環境整備に力を注ぎます。 モノや資料の整理・整頓・清掃をすることによって、会社全体からムダが減り、仕事が確実にスムーズに進み、社員同士の良いコミュニケーションが増えたことがわかった時、この「力」を世の中に伝えていくことこそ自分の使命だと思うようになりました。ちょうどそんな時、縁あって(株)そうじの力の小早と飯塚に知り合い、「これは運命の出会いだ!」と感じ(笑)、入社することにしたのです。 私は現在、先輩たちの愛のムチを受けながら、修行としてさまざまなそうじの実践に取り組んでいます。 家のトイレそうじを毎日行っているのですが、先日先輩たちの仕事に同行している中で、気づいたことがありました。今まで私は、自分が「毎日行っている」という事実に満足するためだけに、そうじをしていたということです。 見える部分のみ綺麗にしていただけだったのです。家に帰り、早速様々なものを取り外してみました。中には汚れや水垢がびっしり固まっていました。「お客様を心から迎え入れる準備がまだまだ足りない」ということがわかったのです。現状に満足せず、次への課題を見つけ続けることが重要だと分かりました。 『そうじの力』は誰もが持っている強いパワーです。それを引き出し、一緒に磨き上げ、会社を明るく照らすお手伝いをさせていただきたい。皆様とお会いし、ともに笑顔で活動ができることを楽しみにしております。        (飛鳥)今月の読書から『絶望の裁判所』瀬木比呂志著前号に引き続き、元官僚による官僚の働き方についての暴露と告発の本です。今回の主役は、裁判官。 著者の瀬木比呂志氏は33年間を裁判官として過ごし、現在は大学で研究と教鞭の生活を送っているという異色の人物です。 著者によれば、現在の日本の裁判所は、最高裁判所長官を頂点として、完全なピラミッド型のヒエラルキーが確立されていて、それを牛耳っているのが事務総局だということです。 事務総局による統制は厳しく、少しでも意向にそぐわない行動を取ると、左遷や昇格遅延など、人事面においてあからさまな不利益を被るのだとか。 その全体主義的な様相は、まるで「共産主義国のようだ」とのこと。 結果として、裁判の判決においても、前例踏襲主義の横並びの判決しか出せず、特に「知的創造性」が求められる違憲審査においては、政権に不利な判決はまったく期待できない。また、裁判をどのくらい「処理」したかが成績として評価されるため、民事においては当事者が望まなくても和解を強制させる、など、多くの弊害が発生していると言います。 著者によれば、裁判官の多くは、共感し想像する能力が欠如し、嫉妬深く、人格的に未熟で、自己中心的で慢心と虚栄に満ちている、とのこと。また、「お上(裁判官)が下々(被告や原告)を教え諭す」という意識が強いとも言います。 私はもともと、裁判官がそれほど立派な人たちだとは思っていなかったので、この本を読んでもさほどの驚きは感じませんでした。 著者も書いているとおり、これは裁判所だけの問題ではなく、「日本のキャリアシステムの問題」であり、日本社会全体の問題だと思うのです。 私たちの多くは、「何のために働くのか?」という問いかけをせずに働いています。組織の中では、上長の指示に無条件に従うこと、そして出世することが目的化してしまいます。 本書の中で、ある裁判官が、「日本の大衆は本音では自己責任や自立からは遠く、お上が面倒をみてくれることを望んでいる」と言ったとあるのですが、私は確かにそういう面はあるように思います。 私たち一人ひとりが、「何のために働くのか?」あるいは「誰のために働くのか?」という問いかけを真剣に行い、「なんとかするのは自分だ」ととらえて自立した生き方をしていかない限り、このような問題はなくならないと思います。 そのためには、まず足元のゴミを拾うことから(またこじつけか?)。 奇しくも本書の最後に、「床を見てごらん、汚れている。掃かなきゃならない」という一文が載っています。ビートルズの「While my guitar gently weeps」の一節だそうです。知らなかった!     (小早)お知らせ◆法人向けミニサービス出張おそうじデモンストレーション  会社や店舗や現場などのトイレそうじをちゃんとやっていきたい!そう思いながらも、「やり方が分からない」「スタッフにどう教えたら?」そんな時には、おそうじデモンストレーター飯塚輝明を呼んでください。トイレそうじのやり方を実演いたします。一緒に体験して下さい。・1回2時間3名様まで(法人に限る)・費用20,000円(群馬県内)※地域によって費用が変わります詳しいパンフレットをご用意しておりますので、ご請求ください。◆起業家向け経営勉強会「あしたの社長学」 開講 脱サラして会社を立ち上げた、思わぬ形で先代から経営を引き継いだ、でも経営のことなんて何も分からない。 そうした、起業間もない、あるいは経営を引き継いで間もない経営者を対象にした勉強会です。 講師自身が実践経験から体得し、企業経営の専門家から教えを受けた「志ある科学的経営」をお伝えします。・日時:原則毎月第一火曜日早朝・場所:群馬県高崎市内・講師:小早祥一郎(そうじの力)     宮本成人(草むしり)・費用21,000円(年間)主催:一般財団法人企業家育成財団詳しいパンフレットをご用意しています◆講演録 無料頒布「働くってどういうこと?」  小早祥一郎が高崎市立高松中学校の生徒に向けて「働くってどういうこと?」と題して講演を行いました。 その講演の全文と生徒の感想文(抜粋)をこのたび小冊子にまとめました。 生徒たちの真剣さと感性の鋭さが伝わる内容です。 ご希望の方に無料で進呈しますので、巻末の連絡先までご請求ください。株式会社そうじの力環境整備(5S=整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を核とした経営改革の支援「そうじの力」の活動は、「人づくりと組織づくり」です。(環境整備=5S=整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)講義、プロジェクトチームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。