【第109号】成果が数値に現れて来た!|第3回そうじの力全国大会
事例紹介「そうじの力」が「経営の力」に! 〈成果が数値に現れて来た!〉~第三回「そうじの力総会」in福井県鯖江市~弊社の支援先が一堂に会しての合同研修会「そうじの力総会」が、先ごろ福井県鯖江市にて開催されました。午前中は、(有)ファインの現場見学会です。その様子は、本誌三ページ「飛鳥はミタ!」で紹介しておりますので詳細は省きますが、参加者は皆、ファインの明るく楽しい雰囲気にすっかり酔ったようで、「ウチもこんな会社にしたい!」という声も聞かれました。午後は会場を移して、参加各社にそれぞれ十五分間の発表をしてもらいました。私が各社の発表を聴いていて一番驚いたのは、各社それぞれ状況は違うものの、どの会社も着実に進歩している、ということです。私が各社にお邪魔する時には、どうしても不備な点に目が行きがちなのですが、私の気づかないところで、皆さんしっかりと改善に取り組んでいらっしゃるということが、よく分かりました。西島木材(株)では、事務所前の壁にかけてある工具類が、キレイに整頓されていました。傘立てはお手製で、傘が一本ずつキレイに収まるようになっています。さらに、事務所内のパソコンのキーボードを、キーをひとつひとつ外してそうじしているとのこと。いずれも、つい数か月前に私が訪問した際に指摘した事項なのですが、こんなに早く改善が進んでいるとは思いませんでした。一本取られたという感じです。西島和之社長は、発表順が二年連続でトップバッターだったことに触れて、「出来の悪い当社は、小早さんのパワハラに遭っています」とおっしゃっていましたが、いえいえとんでもない。その実行力は素晴らしいです。同社では、今までローテーションで場所を割り振ってそうじをしていたのを、各人が自由に気づいた所をそうじするように変えたそうです。すると、各人の気づきの感度が上がったとのこと。また、同社では、「昨年は事故や怪我が一件もありませんでした」とのことです。嬉しいご報告ですね。自動車教習所 Mランドでは、毎年春に行われる「Mランド祭り」において、閉会後、例年だと使った大道具や小道具があちこちに散らかって収拾がつかなくなるところを、今年はきちんと定位置に戻っていた、とのご報告がありました。下の写真はゴミ箱ですが、誰が指示したわけでもないのに、きちんと持ち出す前の状態に戻っています。Mランドでは、そうじの活動を活発化させるために、毎月各グループがランチミーティングを行い、「どうすればもっと参加率が上がるか」「どのようにそうじすればもっと美しく使いやすくなるか」といったことを話し合っています。鋳造工場の(株)マツバラでは、無災害記録が七百日を超えたと言います。そうじによって、「異常が見える化」してきた。おかげで、大きな停止や事故・怪我がなくなったとのこと。同社では、昨年度に比べて生産量が三○%弱も上がり、利益率も向上したそうです。最近は、「社員が自主的に早出してそうじをしている」姿を、社長がちょくちょく見るようになったと言います。(株)小河原建設では、「東京一キレイな現場」を目指して活動中です。最近は、現場の大工さんが、お客様に対して「素足で歩ける現場を目指しています」と説明するのだそうです。社員ではない大工さんがそのように言うということは、活動が浸透してきた証と言って良いでしょう。(株)ダスキンせらいからは、今回の総会に女性社員二人が参加してくれました。同社は女性陣の頑張りによって男性社員も刺激を受け、改善が進んでいます。参加各社に共通することは、まず「素直に前向きに明るく取り組んでいる」ということ。私の嫌味な指摘にも、明るく受け止めて改善に取り組んでくれています。また、「関わる人間全員で課題を共有し、アイデアを出し合いながら取り組んでいる」ということです。こうして各社がお互いに刺激を受けながら、さらに取り組みが進化発展していきます。 (小早)おそうじ匠の技道具をきれいに使いましょう!~ぞうきんの洗い方、しまい方~キレイにそうじをするためには、キレイなそうじ道具が必要です。今回はぞうきんをキレイに使う方法をご紹介します。キレイなぞうきんとは、キレイに洗って→しっかりと干して→きちんと畳んで保管されたぞうきんです。まず、バケツで良く洗います。どこまでキレイにするかという基準ですが「自分の顔を拭いても大丈夫!」というところまでと考えると分かりやすいと思います。油汚れをそうじした場合以外は、洗剤を使わず水洗いで大丈夫です。たっぷりの水の中でしっかりとこすり洗いをしましょう。 こすり洗いだけでは落ちなかったきつめの汚れには、洗濯用のブラシを使って洗うといいです。使用するぞうきんの枚数が多い場合は、洗濯機を使っても良いです。その場合でも、汚れたままいきなり洗濯機ではなく予洗いは必要です。使用後に予洗いしたぞうきんををまとめておいて洗濯機に入れます。油汚れでない限り、洗剤はごく少量で良いでしょう。塩素系の漂白剤はダメージが大きくぞうきんが切れやすくなるのでお勧めしません。柔軟剤も吸水性が悪くなるので使用しません。手洗いしたにしても洗濯機で洗ったにしても、その後はハンガーなどできちんと天日で干しましょう。しっかりと乾かしたら、きちんと畳んで所定の場所にしまいましょう。こうすると次にそうじをする時には、清潔なぞうきんを使う事ができます。多くの職場で、バケツがぞうきんの乾燥場所と保管場所を兼ねている様子を見かけます。しっかりと乾燥のできていないぞうきんは臭くなります。雑菌が繁殖しているのです。 このぞうきんを使ってそうじをすると、あたり一面が臭くなってしまいます。雑菌を蒔き散らかしているに等しいのです。当然、そうじによる満足感も得られません。今回ご紹介をしたように清潔なぞうきんを使えるサイクルを整えるとそうじを始める時の気持ちが変わります。もちろん仕上がりも変わります。ぞうきんは、こうしてきちんと管理していても、回数を重ねるとどうしても灰色になってきたりちぎれたりほつれたりと劣化をします。それに合わせて、机上使用→トイレ使用・床使用→洗車使用と使う場所を変えるといいです。 (飯塚) (飯塚) おそうじコラム他人にチェックしてもらうということ~人は弱いもの、だから他人の力を借りる ~ 「継続は力なり」「才能の差は小さいが 努力の差は大きい。継続の差はもっと大きい」など、「続ける」ことの重要性とその効果のほどは万人が認めるところですが、同時に、その難しさもまた、万人が感じることでしょう。 そうじについても、まさにこれが当てはまります。盆暮の大そうじやイベント的なそうじはできても、それを毎日継続するというのは、本当に難しいものです。 だからこそ、他人にチェックしてもらうことが有用になります。 弊社「そうじの力」は数人の零細企業です。私は社長なので、放っておけば、何をやるもやらないも好き勝手になってしまいます。 私は、自分自身で立てた経営計画書に沿って各施策を実行しているかどうかを、定期的に弊社の取締役である須田知身さんにチェックしてもらっています。毎月末には月報を送っています。 加えて、取締役会を兼ねて、毎月約12キロの道のりを二人で歩いています。約二時間半、大汗をかきながら雑談も含めてたっぷり話ができますので、「濃密な」チェックの時間になります。 一方、私は地元の高崎で、ご縁のあった経営者数人と『あしたの社長学』という勉強会を開いています。 そこでは参加者が、それぞれの立てた計画に沿って活動を進めているかどうかを発表し合います。別に、計画どおりでないからといって批判したり非難されたりするわけではありませんが、やはり「未達」だと本人が恥ずかしいわけです。 岐阜県の鋳造業(株)マツバラの松原史尚社長は、出張して不在の日などを除き、毎日必ず30分間、粉塵落としやトイレそうじ、草むしり、あるいはゴミ拾いなど、何らかのそうじをされておられます。経営者としてのご自身の「最重要課題」として、欠かすことなく取り組んでおられるのです。 その松原社長がされている「他人によるチェック」方法が、そうじを実施したらそれを秘書に連絡し、秘書がノートに書き込んで社内に公開する、という方法です。 松原社長は、「これがなければ絶対に続かなかっただろう」とおっしゃっています。 他人に「依存」してはいけませんが、「協力」は大いにしてもらいましょう。 (小早) 飛鳥はミタ!道具、機械、商品、社員、社長、会社 が愛し愛されている!第三回「そうじの力総会」に参加して来ました。今回は福井県鯖江市の特殊印刷業(有)ファインが見学の舞台です。 朝八時十五分、同社に到着してまず目に留まったのは、車の名札です。ガレージの駐車スペースに、車ごとの名札がつけてありました。指定席があるのです。 社内に入ると、多くの社員の皆さんが既にそうじを始めているところでした。元気な洋楽がそうじのBGMで流れています。ファインは「めがね業界を元気に!」というスローガンのもと、「楽しく」活動することを心がけています。 この日はちょうど「雑巾がけの日」で、モップをかけたのち、皆さんそれぞれの持ち場の雑巾がけをされていました。目線を下に向けると、扉のレール部分が隅までピカピカです。 ふと見ると、藤井社長がモップにコロコロ(粘着クリーナー)をかけています。「モップを自社管理しているんです」とのこと。毎日集めたごみを丁寧に取り、一週間に一回水洗いし、干すそうです。モップは本当に取り換えたばかりのようなキレイな色でした。他のそうじ道具も整えられ、汚いまま放置されているものが一つもありません。「いつでも使ってくださいね」と、道具が言っているようです。 朝礼の時間になると、BGMがぴたりと止まりました。社員の皆さんがサッと集まります。「時間(約束)を一番大切にする」ことを徹底されているようです。 朝礼が終わり、いよいよゲストをお迎えしての見学会のスタートです。 続々と参加企業の方がお越しになります。今回はどの企業も環境整備に取り組んでいらっしゃるので、ファインの皆さんの一層の緊張が伝わってきます。 前半は、パワーポイントを使ってのプレゼンテーション。みんなで行ったペンキ塗りの様子や、東西チームに分かれての環境整備の取り組み対決など、動画を各所に挟んだスライドで楽しく発表してくださいました。 後半は三班に分かれて作業場、事務所を回って見学です。持場の社員の方が、どのように工夫をしてきたか説明されます。皆さんとても堂々としています。 発表会の準備やスライドの作成などは、仕事が始まる前や終わった後に、毎日のように社員が自主的に集まって行ったそうです。「もっと良くするにはどうしたらいいかな」「もっと楽しくなってもらいたいな」と、当たり前のように考えることが企業文化として根付いているんだと感じました。 (大槻)今月の読書から『桜沢如一の遺産』兎龍 都 著 ~マクロビオティックにおけるそうじの効用~『今月の読書から』というタイトルにも関わらず、私はこの本を読んでいません。知人で自然料理研究家の高石知枝さんが、「この本にこんなことが載っている」とコピーをくれました。 マクロビオティックといういわゆる自然食餌療法については、何となく名前だけは小耳にはさんだことはありますが、詳しくは知りません。ただ、そのマクロビオティックの創始者である桜沢如一氏が、これほどまでにそうじの重要性を説いていたというのは、嬉しいと同時に驚きです。以下、その部分の転載です。 〈『宇宙の秩序』、つまり心理を体得するということは、掃除という行を身につけない限りできない相談だ。哲学や科学などに身をゆだねたら掃除などするひまがなくなるので、目的の方向すら完全に忘れてしまうのである。お客を迎えるのに床の間の花や軸を飾り立てることばかり苦心して、台所やお便所の掃除を忘れて家全体に臭気をみなぎらせ、台所をチラッと見ただけで御馳走を頂く気になれないようになるようなものである。 およそ、この世で掃除ほど難しいものはあるまい。掃除とは秩序をつけることで、宇宙の秩序の模倣であり、再現であり、清めなのである。頭の中、身体、一家や社会などのすべての不幸の原因となる病や、罪を掃き清めるもので、医学も経済も政治も一種の大祓なのである。 掃除好きで上手な人は信頼しても裏切らないが、嫌いな人はおおいに警戒が必要である。人間の大きさはその人の好む掃除の広さ、大きさ、深さに比例するが、自分のことだけに限る者は小人物である。私は毎日そうじをする。子供の頃から51歳の現在まで毎日掃除することは変わらない。掃除なんか忙しくてできないと言う人を私は気の毒に思う。私は掃除から深遠な哲学を学んだ上に、それによって幸福の原理である宇宙の秩序に到達するみちすじを教えられたようなものだ。 また掃除ほどいい健康法を私は知らない。どんなスポーツより有益でお金もいらず、遠出の必要もなく、気持ちよく人にも喜ばれ、性急な気持ちやトンガッタ気持ちも吹っ飛ぶ。毎日のコースは1分1秒でも早くやる工夫を加え、なれると最初の半分の時間でできるようになる。人はなぜ毎日掃除をしなくてはならないかということが分かりかけると、不幸や犯罪、戦争の起源も分かってくる。そして胸にあばら骨があるのに、大切な腹にはそれがない偉大な真理もわかってくる。こんなことはド偉い生理学者も知らないことだ! 私は病人を食養で治すことを長年やってきたが、たびたび絶対安静か?などと聞かれる。そのたびに私は結核の末期であろうと、大臣であろうが次のように言う。『絶対安静などもってのほか。掃除をしなさい。秩序づけに限ります。(中略)』 掃除を毎日やることは40歳以後の人の健康法として何よりも有効である〉 いやはや、何とも深遠です! (小早)お知らせ◆香川発 実践企業見学会生駒学税理士事務所の見学+小早祥一郎の講演 「四国で一番お客様から喜ばれる数の多い事務所」を目指して、様々なことにチャレンジし続けている生駒学税理士事務所。2年間の弊社の支援の下、書類の山だった事務所内の環境整備もずいぶんと進んできました。キレイになった事務所を、ぜひ間近で見て実感してください。 日時: 9月2日(火) 13:30~14:10 生駒学税理士事務所 体験発表 14:10~15:00 生駒学税理士事務所 見学会 15:00~16:00 小早祥一郎 講演場所: 生駒学税理士事務所 3F研修室 (香川県高松市亀井町4-2 岡内第2ビル)会費: 1,000円主催: 生駒学税理士事務所 担当 奥田様、大田様 TEL:087-862-0322 FAX:087-862-0713 株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援「そうじの力」の活動(環境整備=5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)は、「人づくりと組織づくり」です。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。