【第111号】戦略・戦術と同じくらい環境整備が大事|生駒学税理士事務所
事例紹介戦略・戦術と同じくらい環境整備が大事 〈そうじの力は企業の社風を良くする〉~生駒学税理士事務所「そうじの力」プロジェクト~香川県高松市の生駒学税理士事務所。「四国で一番お客様から喜ばれる数の多い」事務所を目指している、社員五〇余名の勉強熱心な会社です。ここで先日、「そうじの力」の取り組みを直に見ていただく発表会が開催され、参加者から大変なご好評を頂きました。これまでを振り返ってみます。私が同社の支援を開始したのは、二年程前。実はそれ以前にも環境整備に取り組んだことがあったそうですが、うまくいかずに断念したとのこと。うまくいかなかった原因は、生駒社長いわく「私の本気度が足りなかった」ということだそうです。その経験があるだけに、今度こそ失敗は許されない。生駒社長も相当の覚悟だったに違いありません。「最初に、小早先生にこう釘を刺されました。①社長自らが率先して行うこと。②プロジェクトミーティングに必ず社長も参加すること。③プロジェクトチームの決定に社長も従うこと。」私がこのようにお願いしたのは、環境整備とは、社員に「やらせる」ものではなく、また社長一人が「やる」ものでもなく、みんなが一緒に「参加する」ものだからです。「私にとって、この環境整備は、ぜひともやらなければいけないミッションでした。小早先生のコンサルを受けるときに、自分にこう約束しました。『たとえ納得いかないことでも、とにかく、小早先生のおっしゃることは受け入れよう』 と。」生駒社長の述懐です。まず初年度は、整理、つまり捨てることからはじめました。六階の書庫に、使っていないソファや応接テーブルが積んでありました。私は無情にそれらを捨てるように言いましたが、生駒社長にとっては「まだまだ使える」と思っていた品々。捨てることにかなり抵抗があったと思いますが、決意通り捨てて頂けました。初年度はそのようにして使っていないモノを徹底的に捨てました。そのおかげでずいぶんとスペースが広くなり、事務所内がスッキリとしました。しかし、私から見ると、どうも全社的な盛り上がりに欠けました。物理的には進歩したのですが、社員の意識レベルが高まっていない感じでした。ところが二年目になると、その雰囲気がガラリと変わります。社員さんたちが前向きになり、笑顔が見え、自分で工夫して活動するようになります。私は、それは社長自身が変わったからだと思うのです。社長が前向きに楽しく実践するようになり、社員に「やらせよう」という意識がなくなったからだと思います。二年目は整頓を中心に活動しました。定位置化が進み、表示・標識も細かい所まで行き届くようになります。私がアドバイスすることに加えて、自分たちでアイデアを出して工夫することが多くなってきました。そして迎えた発表会。生駒社長は熱のこもったプレゼンをしてくれました。「ウソのような本当の話ですが、社用車を毎日そうじをするようになって、今までよくぶつけたりこすったりしていたのが、めっきりなくなりました。」「二クール目に入ると、私より、プロジェクトメンバーを中心に社員の方が環境整備に積極的に取り組むようになりました。今は、社員が工夫してそうじに取り組んでいます。」「会計事務所の仕事はお客様の会社の業績が良くなっていただくことです。当然、経営戦略、戦術も大事です。しかし、もうひとつあります。会社は人の集合体です。したがって、『人』が働きやすい『環境』を『整え』て『備える』、すなわち、『環境整備』をすることが、『社風』を良くすることになります。その実践的手法が、やる気さえあれば、誰にでもできる『そうじ』であることは間違いございません。」 「この体験発表&現場見学会があって、また更に、社員一丸となることができました。」 今後同社を起点に「そうじの力」が四国に拡がっていくことでしょう。(小早)おそうじデモンストレーター飯塚輝明の出張おそうじデモンストレーション会社でのトイレそうじのやり方を実演し、参加者の方にも体験していただく「出張おそうじデモンストレーション」。実施後、参加者の方々からいろいろな感想文をいただいております。 群馬県前橋市の株式会社フェニックスジャパンの坂庭社長の感想です。 『正直、トイレそうじを甘く見ていました。毎日そうじをしている「つもり」でしたが・・・。そして、トイレそうじだけでもこれだけ改善できるのであれば会社全体でしたらもっと手を入れられると痛感しました。是非一人でも多くの経営者に実践してほしいですね。今回は本当に満足しています。これからもご指導をお願いします。』 同 中林さんの感想です。 『今まで思っていたそうじに対する意識を覆されました。日々続けるためにそうじの時間を決めて「途中でも止める」ということが大事であると、家庭だけでなく組織の中でコミュニケーションツールの一つとして大いに役立つ内容でした。洗剤は油以外に意味はなさない。トイレに限らず他の場所も紹介されると良いのですが、トイレの方法が全てに通用する気がします。』 群馬県桐生市の株式会社カネトモの金子豊社長の感想です。 『普段そうじをしないトイレの個所が、あれほど汚いことに気がつきました。会社全体で考えると改善すべき点が多くあると感じました。』 同 K・Sさんの感想です。 『そうじの力ってすごい・・・。きれいな環境で仕事(作業)することは大切ってあらためて感じました。継続することが課題ですネ!』 同 真藤博之 さんの感想です。 『トイレそうじを実行しましたが、トイレの分解をしてのそうじが感動的でした。今まで考えた事もないくらい隅々までそうじをして・・・。今後は人にも教えていきたいと考えています。』 デモンストレーションは法人対象で一回二時間三名様まで。お呼び頂ければ馳せ参じます。 (飯塚) おそうじコラム「大事にする」とは使うこと~「整理=捨てる」について考える ~全日空の機内テレビの放送で、日本で活躍する外国人を紹介する番組があります。なかなか面白くて、何気なく見ていても、ついつい惹き込まれてしまいます。 先日、その中で、カナダ出身のビヨン・ハイバーグさん(44)が紹介されていました。ビヨンさんは、刃物の街である大阪府堺市で、日本の包丁を専門に扱う店を経営しています。 子供の頃から刃物が好きだったビヨンさんは、映画「子連れ狼」を見て日本と日本の刃物に興味を持ち、23歳の時に来日。紆余曲折を経て、包丁の魅力を世界に伝えるために、堺市に包丁専門店を開きます。 はじめて堺市のメーカーが造る包丁をお土産でもらった時、その切れ味にびっくりしたと言います。以来、包丁の素晴らしさを世に伝えるため、講習会なども開いて、日本人、そして日本に来る外国人問わずPRに努めているそうです。 そのテレビ番組の中で、ビヨンさんが印象的なことを言っていました。 「日本人は『大事にする』ということの意味をはき違えている。大事にするというのは、思いっきり使うこと。棚の奥にしまっておくことではない。」と。 高級な食器を贈られると、「大事なものだから」と言って、使わずに食器棚の奥にずっとしまったまま。高価な服を買うと、一回か二回着ただけで、箪笥の中にずっとしまいっぱなし。せっかく買った念願の高級スポーツカーも、もったいなくて車庫の中に眠ったまま。 こんな話をよく見聞きします。 私は仕事で、「使っていないものは捨てましょう」とアドバイスします。「そんなもったいないことはできない!」という反論をしばしば受けます。 しかし、モノを使わないことのほうが、もったいないのではないでしょうか? 良いもの、気に入ったものはガンガン使う。それで摩耗したり劣化したりしたのであれば、修理するかまた新しいものを買えば良いのです。 逆に言えば、「使っていない」というのは、その物が本人にとって「大事なモノ」ではない、ということではないでしょうか。 私が「もったいないとおっしゃるのであれば、使いましょう」と申し上げると、たいていは「使い道がない」とおっしゃいます。つまりは、「要らない」ということです。 要らない物は捨てましょう。成仏させてあげましょう。使いもしない、捨てもしないで取っておく、というのでは「飼い殺し」です。モノへの虐待(?)です。 (小早)飛鳥はミタ!中小企業経営者の皆様の「そうじ」の疑問解決の瞬間をミタ!9月18日、法政大学大学院中小企業経営革新フォーラムで弊社の小早が講演したのに同席いたしました。講演後の質疑応答の中で、参加された経営者の皆様から寄せられたご質問やご感想、それに対する小早の回答をご紹介します。Q.小早さんが「そうじ」にたどり着いた経緯を知りたいです(A社M様)A.はじめは、企業や個人に「理念」を浸透させていく座学の研修を事業として行っていました。ですが、「理念」がなかなか行動に結びつかない。座学の研修の限界を感じていました。一方で私自身がそうじを続けるうちに変わってきた。そこで、誰でもできる「実践行動」であるそうじを企業理念浸透のために取り入れることにしたのです。Q.5年前の資料がたまに必要になって取り出すことがあったりして、なかなか捨てられないのですが・・・(M様)A.捨てることで効率が良くなったり気持ちが明るくなったりするメリットを採るか、万が一のために溜め込んでおくか、それは「選択」であり、ご本人がどう「決断」するかです。どちらが正しいとかはありません。ですが、経験上、取り返しのつかないものを捨ててしまったという話は聞いたことはありません。Q.「そうじをしない人」や「抵抗する人」に対して、経営者としてどう対応するべきでしょうか?(K社K様)A.相手を説き伏せようとしない方が良いと思います。どんな会社にも「やらない人」や「抵抗する人」はいます。その人に対しエネルギーを注ぐのではなく、前向きな人の活動をいかに伸ばしていくかに注力すると、会社全体では前進していくはずです。 以下は参加者からの感想です。 そうじとは「目の前のゴミを拾う」こと。目の前の問題を自分で解決できる簡単な行動です。経営も同じで、小さな目の前の問題をコツコツ解決することが一番重要ですね。また、そうじをすると、人に対する気遣いができてきますね。それがいいと思いました。(N社S様) 我社は若手を毎年採用していますが、どのように育てるべきか迷っていました。自分自身10年間トイレそうじをしており、そうじが良いものだということが良くわかります。人材育成として早速全社でそうじに取り組みます。(U社U様) 参加された皆様に、「なぜそうじが会社を変える力を持っているのか」をご納得いただき、そして私自身もご質問から新たに考えさせられる良い機会となりました。 (大槻)今月の読書から『食品の裏側②』 安倍司 著~企業は何のために経済活動を行っているのか~著者はもともと総合商社の食品部で添加物を多用した食品を扱っていた人ですが、ある時から自分の仕事に疑問を持ち、退職して「食の安全」について説いて回っています。 この本を読むと、なんとまあ我々の食生活がいかに添加物に「汚染」されているのか、びっくりしてしまいます。 コンビニ弁当やスナック菓子、清涼飲料水などのパッケージの裏側を見てみると、実に様々な添加物が記載されています。慣れてしまうと、それらについて、深く考えることもありません。 しかし、たとえば清涼飲料水などは、果糖ブドウ糖液糖、クエン酸、アスコルビン酸、香料、着色料などから出来ており、食品というよりはむしろ「合成化学薬品」と称した方が適当なのが実態です。 もちろん添加物は、厚労省の認可を受けたものだけが使用できるのですが、安全性が確かめられているのは個々の添加物単独での実験によってだけで、複数の添加物を組み合わせた場合に起こるリスクは考慮されていません。 著者によれば、添加物そのもののリスクも怖いが、それと同等に怖いのが、塩分と油分と糖分の取り過ぎだということです。インスタントラーメンには30g(大さじ2杯強)もの油が含まれているそうですが、それほど油っこさを感じずに食べれてしまうのは、添加物のせいだそうです。 ところで、こういう本を読むと、「いったい企業というのは、何のために経済活動を行っているのだろうか?」という疑問が湧いてしょうがないのです。 著者がかつてそうだったように、こうした添加物あるいは添加物を多用した食品を生産や販売している人たちは、おそらく自分の家族にはそれらを食べさせないでしょう。 自分の家族に食べさせたくないものを他人に食べさせるのが仕事なのです。そこには明らかに矛盾があります。 仕事とは、「世の中を良くするため」「人々を幸せにするため」に行うものではないでしょうか。その対価として得られるのが報酬です。 もちろん、どんな仕事にもメリットとデメリットがあるでしょう。自動車は製造工程と使用過程ともに環境に負荷をかけます。交通事故のリスクもあります。一方で私たちを遠距離に早く快適に移動させてくれます。デメリットを大きく上回るメリットがあるということでしょう。 そのメリットも、私たち人間が、永続的に幸せであり続けられるようなメリットでありたいものです。 企業において、そうじに一生懸命に取り組むというのは、「我々企業には、社会に貢献する使命がある」と自覚するための確認活動だと思います。 そうじに愚直に取り組むと、「すべては結局、金だ」という考えが薄らいでくるように思うのです。 (小早)お知らせ◆読者プレゼント「そうじの力」オリジナルキャップできました! 「そうじの力」のロゴマークをあしらったオリジナルキャップを制作しました。 夏場の草むしり、屋外清掃活動などでかぶれば、目立つこと間違いなし!ジャンパーと合わせてかぶれば、さらに気合を入れてそうじすることができます。 このキャップを、読者の皆様にプレゼントします。応募条件は、本『そうじの力だより』を3名の方に転送していただくこと。 なお、団体で複数個をご希望の場合には、実費にてお分けいたしますので、ご連絡ください。 オリジナルジャンパーも同様に受け付けておりますので、ご希望の際にはご連絡ください。株式会社そうじの力環境整備を核とした経営改革の支援「そうじの力」の活動(環境整備=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ=5S)は、「人づくりと組織づくり」です。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。支援に当たっては、まずは調査に伺います。全国どこでも可能ですので、お気軽にお問い合せください。