【第118号】お互いに指摘し合い、高め合う|石見交通(株)
事例紹介お互いに指摘し合い、高め合う〈課題が多いほど、それを楽しむ!〉~石見交通株式会社「そうじの力」の取り組み~島根県益田市を本拠とする石見交通(株)。県内の路線バスをはじめ、広島や大阪などへの高速バスも運行するバス会社で、関連会社として旅行代理店やガス会社なども経営しています。同社で「そうじの力」委員会が結成され、取り組みが始まって二年余りが経ちます。大きな会社ゆえ、課題もたくさんありますが、ひとつずつ改善を積み重ねていきました。まず取り組んだのは、原則通り「整理=捨てる」です。当初は書類が積み上げられていたデスクは、早々に「机上ゼロ」になりました。書庫には、創業以来の「骨董品」級の書類があふれていました。一つひとつをきちんと仕分けして、残しておくべきものを除いて、処分しました。やっかいだったのは、整備工場です。補修部品やら工具やら鉄板やらが、文字通り「山」と積み上げられていました。総務や経理などの事務部門の人たちも協力して仕分けをし、使わないものを処分しました。こうして初期の段階で、かなりスッキリした状態になったのですが、その後は地道にコツコツと活動を続けていました。今回、三か月ぶりの研修だったのですが、前回に比べてずいぶんと進歩していて驚きました。全社的には、初心に帰って再度「整理」に取り組み、無駄なモノを処分しました。経理部においては、デスクの引き出しの中をくり抜いたのですが、驚いたのは、経理部として仕様を統一したことです。「同じ部署なら使う頻度や使い勝手も同じ」という考えで、部内で意見を出し合って仕様を決めたそうです。スタッフからは、「一緒のレイアウトにしたので、作業効率も良く、統一感が出た」「定位置化したので今後は探したり、なくなることはないと思う」という感想が出ています。安全輸送部では、今までの活動で既にずいぶんとモノが減っていたのですが、あらためて整理に取り組み、さらにモノが減ったとのこと。結果として、書類のキャビネが背の高いタイプのものから背の低いものに変更でき、部屋が広くなりました。整備工場においては、以前から整理を進めていた部品庫を、集中的に整えることにしました。ボルトやナットを置いていたスチールデスクがあったのですが、「本社の人たちの意見」を取り入れ、思い切ってデスクをなくしました。これで一気にスペースが広くなりました。部品を格納している木製の棚も、ペンキで白く塗ったことで、室内が明るくなりました。まさに「別の部屋」になったように大変身です。整備工場スタッフの感想です。「棚の加工や廃棄する予定だった古い机で台車を製作したり、いつも と違う活動があり和やかにできた」「類似した部品を分別するのに手間取ったが部品を探しやすくなった。 一方で点数が増し、棚が多く必要になるのが問題点である」浜田営業所においては、予備待機していた運転士が、何も指示しないのにバスの座席のシートカバーを洗っていたそうです。運転士はシフト勤務のため、まとまった時間が取りにくく、足並みを揃えるのが課題でしたが、こうして自主的な取り組みが芽生えてきたのは嬉しい「誤算」です。同社では、最初の一年間は、私が毎月お邪魔して研修を行っていましたが、その後は三か月に一度研修を行っています。私が訪問しない月も、毎月委員会が開催されています。毎回、事業所を持ち回りで開催し、現場を視察しながら進めます。各メンバーは、現場を見て気づいたことを指摘し合います。ここで出た指摘やアドバイスを、担当メンバーが真摯に受け止め、改善に取り組みます。お互いに「さらに良くなってほしい」という思いやり(=愛)があるからこそ、建設的な意見が出て、それを素直に受け止めることができるのでしょう。「中国地方で一番きれいなバス会社を目指す」 という大きな目標には、まだまだ遠く及びませんが、着実に一歩ずつ進化を続けています。 (小早)おそうじ匠の技車のそうじパート③~バケツの水2杯で洗う ~車のボディを洗います。ポイントは、 ①ホースを使わずにバケツに汲んだ水で洗う ②洗剤やワックスを使わずに洗う ③部分ごとに洗う、の3つです。この洗車方法の目的は、手早くキレイにすることです。①スポンジをバケツの水に浸して水を含ませてボディを洗います。ホースを使わないので、場所を選びません。よほどひどい汚れでない限り、この方法で十分にキレイになります。 ②の洗剤やワックスを使わないで洗うのは、洗剤を使うと水も時間も余分に使ってしまうからです。ワックスを使うとさらに時間がかかります。こまめに洗車をするとワックスなしでも車が輝きます。③の部分ごとに洗うのは、例えば屋根の部分だけを洗ってすぐ拭き上げるということです。こうすると全体に水を掛けて洗う方法に比べ、時間が短縮できるのと、水の使用量が極端に少なくなります。車全体を洗うのにバケツ2杯ほどの水で済みます。 実際に洗っていきます。屋根から洗います。屋根の部分を水とスポンジで洗います。そしてすぐにその部分を拭き上げます。拭き上げる時には、洗車用拭き取りクロスを使用します。拭き跡や糸くずが残らないので手早く仕上げられます。屋根→後部→両サイド→フロントと部分ごとに水で洗って拭き上げるという作業を進めて行きます。 道具を選ぶとさらに手早く仕上がります。例えば二人で拭き上げる用の長いクロスを使うと拭き上げの時間が短くなります。ガラスの部分の拭き上げ時には、専用の拭き取りクロスを使用します。キレイな拭き取りクロスを使用しないと窓ガラスは拭き跡が目立ってしまうからです。そして短時間で仕上げることができます。最後にドアの内側部分なども丁寧に拭き上げれば仕上がりです。 (飯塚)おそうじコラム「製造者の責務」を考える~「すぐに捨てられるもの」は価値が低い ~ゴミ拾いをしながら歩いていると、本当にさまざまなゴミに出合います。空缶、ペットボトル、タバコの吸い殻、使い捨てライター、弁当クズ、ファーストフードのクズ、食べ残した食品、自動車部品、エロ本、アダルトDVDなどなど。 その中でも、よく目につき、気にかかるのはファーストフードのクズです。某Mマークの紙袋や紙カップなどは、なぜか日本中でポイポイ捨てられています。 なぜ捨てられるのか?それは捨てる人に聞いてみなければわかりません。提供する側のM社に責任があるわけでもありません。 しかし、 これだけ日本中でクズが捨てられているというのは、そこに何か「ポイ捨てしたくなる」オーラのようなものが漂っているとしか考えられません。 私はひとつの仮説を立てました。「すぐに捨てたくなるものは価値が低い」と。これは考えてみれば、当たり前のことかもしれません。ゴシップ記事の週刊誌ならば、読んでその場でゴミ箱行きですが、何度も読み返したい良書ならば、きちんと本棚に収納しておきます。 私は常に身の回りを清潔にしておきたいので、利用価値の低いものはすぐに捨てるようにしています。勉強会などに出ても、配られた資料は、間違いなく読み返すだろうと思われるもの以外は、そもそも持ち帰りません。 いつも邪魔だなと思うのは、DM(ダイレクトメール)です。一週間の出張から戻ってくると、山のようなDMの束が待ち受けています。最近では、それらのDMのほとんどは、開封せずに捨てるようにしています。 もちろん、DMを作成している事業者は、「すぐに捨てていいですよ」と思って作っているわけではないでしょう。しかし、私に言わせれば、一見の価値もないものばかり。 こうして見渡してみると、私たちの身の回りには、価値の低いものが溢れています。いわゆる「安かろう悪かろう」です。 消費者がそれを望んでいる、あるいは許してしまっているという側面もあるでしょう。しかし、私自身も含め、事業を営むすべての会社(人)は、すぐに捨てられるような価値の低いものを提供してはいけないと思うのです。 たとえそれがファーストフードだとしても、その包み紙は、ポイ捨てするのをはばかられるような重厚なものにするなどの工夫はできないものでしょうか。 (小早)目覚ましおそうじ会レポート高崎に続き、東京でも「目覚ましおそうじ会」始動!4月12日(日)朝6時~7時、東京都葛飾区の青戸平和記念公園にて、トイレ掃除イベント「葛飾目覚ましおそうじ会」を初開催いたしました。Facebookにて参加者を募ったところ、区内外から5名の方が参加してくださいました! ご参加いただいた皆様の感想です。 「今朝『トイレ掃除イベント』に参加した。臭くてきったねー(笑)男性公衆トイレの掃除。素手で。臭くてきったねー(笑)んだけど終わった頃にはスカッと爽やか。トイレもだが自分がもっと。これはきれい事ではなくてホントのこと。主宰者の飛鳥さんが言っていたのは「しばらく前一人でやっていた時はココロが折れそうだった。でも今回みたいに仲間と話ししながらやると楽しい」と。そう、少なくともおれは、みなで遊んでいるような感覚だった。こういう「遊び」ができると、高齢になっても退屈したり邪魔者扱いされたりしなくていいんじゃないか。そんな明るい未来の一端をかいまみることができる、貴重な体験だった。飛鳥さん、参加されたみなさん、ありがとうございました。」(はたひでき様) 「治療院の近くの公衆トイレを掃除しました!公衆トイレを掃除するのは初めてのこと。自分なりに頑張って男子トイレの小便器を掃除。かなりの汚れで抵抗ありましたが、皆さんと行えたことでなんとか出来たかなと。地域に愛される治療院を目指し参加させていただきましたが、人との出会いや色んな意味で勉強になり感じるものが沢山ありました!みんなで掃除を一緒にしただけで、勝手に仲間意識が出来ちゃいました。楽しく継続出来たらと思います。」(石川圭一郎様) 「まさか、便器を素手で洗うとは。 汚いものにあえて突っ込むことで、自分の中にあった見えない固定観念の塊みたいなものが、気持ち良く崩れたような気持ちがしました。便器だけにいい勉強をさせていただきました。また機会があれば参加したいです」(岩村様) 「やりたい!って心から感じるときは思い通りになる気がします♪面白そう!と思って行動したら、朝4時に目が覚めた!色々教えてもらいながら一時間弱、初めて会う人達と、6人で公園の男子トイレを掃除してきました。また参加できたらいいな♪」(赤崎様) 今後も葛飾区では毎月1回実施します。お問い合わせはasuka@soujinochikara.comまで! (大槻)今月の読書から『いいね!が社会を破壊する』楡周平著~人類は未知の世界へ踏み込んでしまった~著書は米イーストマン・コダック社の日本法人に勤めた後、作家としてデビューした人ですが、この本の冒頭は、そのコダック社が倒産するところから始まります。 最盛期の1999年の売上高は140億ドル、全世界で14万人を擁する巨大企業が、なぜ消滅したのか?もちろんその原因は、デジタル化によって写真フィルムの需要が激減したことにあるのですが、それを単純に「環境の変化に対応できなかった」と片付けることはできません。 富士フィルムのように、立派に生き延びている企業もあるではないかという反論もありますが、「企業が生き残ることと、雇用が守られることは別だ」というのです。 デジタル化したことによって、不要になったのはフィルムだけではありません。カメラ付き携帯とブログやSNSの登場によって、現像印刷をする街のDPEショップなどもまったく不要になってしまったのです。会社とブランドが存続していても、働く人の数は、大きく減ってしまいました。 ここまで来ると、もう「企業努力」でどうにかなるというものではありません。 同じことは、本の業界についても言えます。Amazonの登場で、町の書店は存在意義を失いつつあります。もちろん、中には個性を発揮して生き残る書店もあるでしょうが、業界全体として見れば、これまでの雇用を維持することは不可能です。 また電子出版が本格化すれば、出版産業そのものが消滅してしまうかもしれません。電子化に対応すればするほど、これまでのように紙や印刷や流通に関わってきた人たちの雇用を維持することは難しくなります。 また、宅配便やネット通販の発展によって、「外に買い物に出かける」こと自体が減っていきます。およそ生鮮食料品以外のものは、すべて宅配が可能で、中には「即日」に届くものもあるそうです。 こうなると、小売店舗というものが街から姿を消す日もそう遠くない未来に来るかもしれません。つまり、そこで働く人たちの職場が、なくなってしまうのです。 経営者は必死になって効率化や合理化で生き残ろうとします。しかし、効率化や合理化に成功するということは、意図するかしないかに関わらず、省人化という結果をもたらすのです。 デジタル化、IT化、機械化、自動化を進めれば進めるほど、人手は不要になります。もう雇用が増えることはありません。 かくいう私自身も、デジタル化やクラウド化の恩恵を最大限に活用している一人です。 ただ、たとえほとんどの用件をパソコンやスマホなどで済ませることができる時代が来たとしても、「リアル」な、「生」の感覚を失うことがあってはいけないとおもうのです。それには、「生」の現実に触れる機会を持ち続けること。 「そうじ」は、「生」の「リアル」な現実に触れる大切な時間です。 (小早)株式会社そうじの力環境整備(5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を核とした経営改革の支援弊社はそうじを通じた「人づくりと組織づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。