【第122号】そうじを通じてコミュニケーションが深まる!|(株)右川ゴム製造所

事例紹介そうじを通じてコミュニケーションが深まる!〈右川ゴム製造所「そうじの力」〉~キレイになることは素晴らしい。でも、社内が仲良くなることはもっと素晴らしい!~埼玉県八潮市にある(株)右川ゴム製造所。創業百十八年という老舗の企業で、現在の社長は四代目です。昨年末から同社の「そうじの力」をお手伝いさせて頂いております。同社は自動車のドアの内側にある雨漏れ防止のためのゴムなど、工業用ゴムを主力とする製造業です。ゴムの製造工程では、原材料や離型剤として大量の粉末を使います。ですから工場内は、常に粉塵が舞い、非常に汚れる過酷な環境です。同社では、本丸である工場の製造現場の取り組みをスタートさせる前に、会長(父)と社長(息子)のデスク周辺をキレイにすることから始めました。その折の様子については、本誌一一六号でご紹介しておりますので詳細は割愛しますが、要点だけご紹介します。活動前は書類が山積みだったお二人のデスクは「机上ゼロ」になり、見違えるほどになりました。当初、あまり会話のなかった会長と社長が、この取り組みをはじめてから、ずいぶんと仲良くなってきたのです。整理をしようとすると、「おい社長、この資料は要るかい?」「いや会長、それはもう要りませんよ、捨ててください。」という会話が生まれます。この会話が、お互いの距離を縮めるのです。ある日、社長が、「会長がなぜあんなに書類を溜めこんでいたのか分かりました。あれはおそらく、自分(社長)に対して『こんな参考になる資料があるよ』という親心だったんだと思います。」と言っていました。さて、舞台はいよいよ本丸の工場内に移ります。意外に広い工場を、いくつかのエリアに分けて、一か所ずつそうじしていきます。社員から選抜された委員会メンバーが中心となって作業を進めます。ある日、そうじの活動が終わったとき、工場の一角で社員同士が怒鳴り合う声が聞こえてきます。いったいどうしたのかと思いきや、そのエリアで仕事をしている作業員のAさんが、「原材料置き場の配置が以前と違う。なぜ自分に相談せずに勝手に配置を変えたのか」と怒っているということなのです。Aさんの主張もごもっともです。その後、社長とAさんがじっくりと話し合いをして、この活動の目的や経緯を理解したAさんは納得し、以来、Aさんは逆に積極的に活動してくれるようになりました。社長いわく「雨降って地固まるです」とのこと。また、委員会メンバーのBさんは、最近、社長とよく会話をするようになったと言います。帰り際に社長に「俺、今日これから飲みに行くんですよ」などと。社長いわく、「今までは、こうした他愛のない会話はほとんどなかった。これが嬉しい」と言います。社長と社員が一緒になって手を汚し、汗を流すからこそ、お互いの距離が縮まるのでしょう。ちなみに、毎回の活動で、一番汚れる過酷な作業を引き受けるのが社長なのです。その社長の姿を、やはり社員は見ています。最後にもう一つ、心温まるエピソードをご紹介します。「そうじをする時に帽子をかぶりましょう」、と私から呼びかけました。粉塵の汚れを防ぐため、そしてケガなどから守るためです。ところが、それまで同社で使っていた帽子は、いわゆる昔ながらの作業帽で、地味なものです。すると副社長(社長の弟)が、「カッコイイ帽子を作ろう」と発案してくれたのです。しばらくすると、カッコイイ帽子が出来上がりました。皆さん、この帽子が気に入ったらしく、嬉しそうにかぶっています。粉塵が舞う過酷な環境ゆえ、まだまだキレイと言うには程遠い状況です。しかし、皆が笑顔で楽しげに活動しています。まさに社長が掲げた「そうじの力を通じて社風を良くしていく」という趣旨が具現化しつつあります。(小早)スタッフ飯塚輝明の活動レポート講話「私の人生を変えたそうじの力」!今年になりいくつかの倫理法人会の単会から声をかけて頂き、モーニングセミナーで何回か講話をさせて頂きました。 講話のテーマは「私の人生を変えたそうじの力」。内容は、①私が(株)そうじの力に入社することになるまでのエピソードと②そうじの力によって何が変わったのかのエピソードです。 そうじの力によって私の何が変わったのかのエピソードを少しご紹介いたします。 (株)そうじの力に合流をする以前の私は、そうじをすると気持ちが良いし、そうじは好きでした。しかし、そうじをすると「気づく人になれる」「心が磨かれる」と言われていることには自身の体験として実感がありませんでした。 小早からの「毎日トイレそうじをしてますか?」とのアドバイスをきっかけにして、毎日トイレそうじをするようになりました。それから一ヶ月二ヶ月、一年二年と続けて行く中で様々な発見をすることになります。「キレイにそうじをしているつもりだったのに、裏はホコリだらけだった」「ウォシュレットのノズルがそうじできる」「外せるなんて思わなかった便座が外せた」等々です。数ヶ月に一度訪れるそんな発見の瞬間は、見えていなかった自分に気づく衝撃的な出来事でした。 それがおもしろくなって最終的には便器を全部分解取り外すことまでやってみました。そんな積み重ねの結果、今ではそうじをすると「気づく人になれる」「心が磨かれる」と実感出来ています。 そこで教えられた事は、「気づく」というのは技術である事。ということは「気づく」とは訓練で身に付く能力である事。そして、訓練として最適なのが『そうじ』であり、大切なのは、「時間を決めて毎日する」という事です。私は、トレーニングを積めば誰でも「気づく」という技術を使うことが出来るようになるということに、ワクワクしています。 講話を聴いて下さった方の感想です。「事例を見ながらの講話は楽しく、なんとなく自分でも出来るウキウキ感が出てきます。モノの置場を皆で話し合う事で進化する。人間関係や時間を守る事ができるようになる。まさにモノの整理は心の整理ですね。」「気づきは技術、技術はトレーニングで磨くことが出来る。とても参考になりました。そうじ通じ心磨く、心を磨くと幸せ感が上がると思います。皆さんをどんどん幸せにして下さい。」 私にとっても楽しい時間でした。ありがとうございました。         (飯塚)おそうじコラム「差別化」ではなく「特長化」を何のための企業経営か?いろいろな会社の経営者の方々とお話をしていると、「今の厳しい経済情勢の中で、生き残るためには、何か他社とは違うユニークなことをしなければいけない」というようなことを言う人がいます。 私はそういった話を聞くたびに、心の奥底に違和感を覚えます。 生き残る(目的)ためにはユニークなことをしなければいけない(手段)、という論理構成は間違っていないと思うのですが、考え方としては賛同できません。 まず、企業の目的は決して「生き残る」ことではなく、「役に立つ」ことだと考えます。役に立った結果として生き残るのです。 というのも、「生き残る」ことが至上目的になってしまうと、役立つどころか、社会に害を及ぼす手段を使ってでも生き残ろうとする人たちが出てくるからです。暴力団や犯罪組織などがその典型です。自己の利権を守ろうとする企業家や政治家、官僚などもそうでしょう。 ですから、「役に立つ」ことを目的としてユニークなことを行うのと、「生き残る」ことを目的としてユニークなことを行うのは、根本的に違うことなのです。 それともうひとつの違和感は、「他社がやっていないユニークなこと」をしなければいけないという意識。言い換えれば「差別化」、つまり、何でもいいから他社とは違う目立つこと、派手なこと、奇抜なことをやろうという発想です。 思い浮かべるのは、二〇二〇年の東京オリンピックのために建設する新国立競技場の一件です。 当初のデザインは、まさに「奇抜」そのもの。ユニークであることは間違いありません。しかし、それがために工費は莫大になり、周辺の景観も損なわれます。 これはまさに、「コンペに勝ち残る」ためのデザインでしょう。本来の目的は、選手が競技しやすく、観客も観戦しやすく、周囲の環境と調和し、コストパフォーマンスに優れた競技場を作ることでしょう。 この目的意識がしっかりしていれば、あんなデザインは採択されなかったはずです。目的を履き違えています。 ですから、私たちが目指すべきは、「差別化」ではなく「特徴化」でもなく、「特長化」です。「特長」というのは、「良い特徴」、つまり「役に立つユニークさ」です。 ひょっとすると、その特長は地味なものかも知れません。しかし、本当に役に立つユニークなものならば、世間から必要とされ、必ず生き残るでしょう。  (小早)おそうじデモンストレーター大槻飛鳥の飛鳥はミタ!一緒にやるから、壁を乗り越えられる。その瞬間をミタ!我が社のおそうじデモンストレーターは、現在三名。群馬・東京・静岡で、地域の様々な会社にお伺いし、「会社内のそうじを通じたコミュニケーション」を体感していただくプログラム、『法人向け出張おそうじデモンストレーション』を提供しています。 先日、デモンストレーションのご案内で、とある学習塾に伺いました。塾長さんとお話をする中で、彼が仰いました。   「知り合いの方から『自宅のトイレそうじを素手でやると良い』という話を聞いたので、毎朝トイレそうじを始めたんです。でも、『素手で』というのができなくて…。どうしたら良いのでしょうか?」 「そうなんですね。…ちょっと塾のトイレを見せていただいてよろしいでしょうか?」 塾長さんに、塾の男子トイレに案内してもらいました。私が小便器の水濾しを素手で持ち上げると、汚れがびっしりついていました。塾長さんは「うわー…、こんな風になっていたんですか…」としばし絶句。 その後でした。塾長さんは、おもむろに隣の小便器の水濾しを、同じように素手で持ち上げたのです。「うわー…、こっちもひどい!」 「汚れもすぐに落ちますよ」と私が指でなぞって汚れを落とすと、塾長さんも同じように汚れをなぞって落としました。「本当ですね!」 汚れを落としながら、塾長さんが笑顔で仰いました。 「家のトイレ、素手でそうじします。一人じゃ出来なかったけど、一緒にやってもらうと、できるものですね。壁を乗り越えた感じがします」 下記は、同じように壁を乗り越えた、机編のデモンストレーションの感想です。 「自分だけでは捨てられないものを、一緒にやってもらうことで処分できました。また、一緒に作業してくれた社員の性格も、そうじのやりとりの中から良く分かったと感じました」((株)アドヴァンテージ 中野尚範様 ) デモンストレーションは法人対象で、一回二時間、経営者様含め三名様までご参加いただけます。ぜひ一緒に、一つの壁を乗り越えてみませんか?    (大槻)今月の読書から『笹川良一伝 世のため人のために』黒瀬?次郎 著~世間に誤解されても自分の信念を貫く~著者は約20年前までは、笹川良一を、世間のうわさを鵜呑みにして、「日本を戦争に引きずり込んだA級戦犯。競艇というギャンブルの胴元、売名に長けた底知れぬワル。政財界の黒幕、得体の知れぬ不気味な奴」と考えていたと言います。 ところがあるきっかけで笹川良一を調べていくと、彼は世間でうわさされているのとは正反対の「世界一の菩薩」だということが分かり、この本を執筆したとのこと。 〈その日常生活は一般庶民の生活より、はるかに低い貧弱なものであった。競艇を創業した56歳ごろから、寿命を終える96歳までの日常の食事は、朝6時半に果物1個ワカメの味噌汁1杯、ご飯はかるく2膳。昼食は社員食堂が多く、夕食は朝と変わらない。〉〈住まいは贅沢しない。周囲は豪壮な邸宅なのに、彼の家だけが軒は傾き、門柱は倒れかかっている。雨漏りはひどく、何カ所にもバケツや洗面器がおかれている。〉〈彼は「公」と「私」を厳格に区別してその一生を終えた。「中元」も「歳暮」も一点あまさず税務署に申告しているのである。〉 著者によれば、笹川良一は若いころから商才を発揮し、主に相場で儲け、26~27歳頃には現在の価値で100億円ほどの資産を手にしていたと言います。 それだけの莫大な富を、彼は自分のためには使わず、ほとんどを世の中のために使ったというのです。 35歳の時、現在の大阪府東大阪市に10万坪の飛行場を建設し、20機の飛行機をつけて陸軍に寄付したそうです。条件は、「勲章をくれないこと」。これからは航空機の時代が来る。日本を守るためには航空兵力を育てなければ、という考えだったようです。 終戦を迎えた後は、A級戦犯を励ますために、志願して巣鴨に入獄したと言います。巣鴨で笹川は、東条英機らに、日本の正当性を堂々と述べて死刑に服せよと説きます。一方で、戦犯たちの遺族に、ずっと経済援助をしていたそうです。 笹川にとっての金とは、世のため人のために役立てるための資源。その「種金」を稼ぐために、戦後、競艇を生み出します。 日本船舶振興会の会長だった笹川は、ずっと無給で働き、同振興会からは一銭も受け取らなかったそうです。なぜなら、「カネ持っとんのやから、財産持っとんのやから取っちゃいかん。」とのこと。 日本船舶振興会の収益をポリオやライ病(ハンセン病)の撲滅のために寄付し、生涯をかけて世界の貧困や難病の撲滅のために飛び回ったと言います。 笹川は経営に行き詰まった福岡工業大学の再建を引き受け、「師たる者は模範を示せばよい、という信念から、校内の吸がらや紙くずは黙ってひろって歩いた」そうです。 意外なところに、偉大な人がいました。                (小早)お知らせ◆「そうじの力」セミナー日程  ・9月10日(木)14:00~15:30 群馬県  ビエント高崎 講師:小早祥一郎 ・10月21日(水)18:00~19:30 静岡県  沼津商工会議所 講師:小早祥一郎◆「そうじの力」企業見学会  ・9月17日(木)13:30~17:00     (株)小河原建設 東京都中野区   ※同社の事務所と建築現場見学    および小早の講演です◆読者プレゼント!「そうじの力」オリジナルキャップ ご希望の方に差し上げます。※数に限りがあります。     株式会社そうじの力そうじを通じた経営改革の支援弊社はそうじ(=環境整備=5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を通じた「人づくりと組織づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。