【第124号】あきらめずに続けることができるかどうかが鍵|(株)小河原建設
事例紹介そうじで業績が上がってきた! 〈あきらめずに続けることができるかどうかが鍵〉~(株)小河原建設「そうじの力」見学会~去る九月一七日、弊社支援先である東京都中野区の(株)小河原建設において、「そうじの力」見学会が開催されました。同社の取り組みは、ずいぶん以前から一流のレベルにありますが、驚かされるのは、常に進化し続けているということです。実は、半年前には、業務が忙しくて、「そうじの力」の活動時間を削減せざるを得ない、というような話を伺っていました。ですので、今回の見学会には多少の不安を持って臨んだのですが、それは杞憂でした。見学会の冒頭、社長がケガで不在のために挨拶に立った同社の高橋正樹専務は、「今期、わが社は業績好調で、利益は目標の二倍が見込まれます」と切り出します。そして、「そうじの力のおかげです。」とおっしゃるのです。会社というのは、色々な価値観の人間の集まり。だから、ベクトルが合わなくて当たり前。しかし、そうじをすることにより、皆のベクトルが合ってくる。それが、好業績に繋がっている、とのことなのです。「たかがそうじ、されどそうじ。愚直に取り組むことができるかどうかがカギ」「当社のような、平凡な会社でも、そうじを続けることで、これだけの変貌を遂げることができた。みなさんの会社で出来ないはずはない。」そして、「とにかく続けること。ぜひみなさん、続けてください。」とおっしゃっていました。まず事務所内は、物も少なく、整然としています。カタログ類は、メーカーごとに色分けして、どこに何があるか一目で分かるようにしています。事務用品は、種類ごとに仕分けられ、分かりやすく収納されています。次は、近くの建築現場の見学です。同社では、「東京一キレイな現場」を目指して、一日五回のそうじを実践しています。現場の床は、まさに素足で歩けるほどキレイ。オガクズなど、全く落ちていません。建築現場には、様々な職人さんが入りますが、彼らはひとつの作業を終えるごとに、ホウキでそうじをしています。小河原建設から職人さんたちに浸透させるのは、容易なことではありません。まずは社員である現場監督自身がそうじを実践すること。そして、「小河原スタンダード」という現場の環境整備基準を作り、職人さんたちに配り、協力業者会議の場でも話し合いを重ねています。近頃では、職人さんたちから「もっとこうした方がキレイになる」といった提案も出てきているそうです。下の写真の、木材を載せている棚は、そうじがしやすいようにという工夫です。案内してくれた現場監督が、「わが社には、営業マンがいません。しかし、現場を見た方が、そのキレイさに感動して注文してくれることがあります。キレイな現場が営業マンです。」と言っていました。確かにここ数年は、以前に比べて会社に近い現場が増えてきました。現場を見て感心した人が施主になってくれる割合が増えたことの証明でしょう。安全面の配慮も行き届いています。施主の子供さんが見学に来ても危なくないように、開口部には二重の柵(仮設)を設けています。段差には、注意喚起のシールが貼ってあります。当日は、ちょうど雨。こうした雨天でも、泥や砂利で周辺が汚れないように、地面にはグリーンのシートを被せています。行き届いているのは、そうじだけではありません。見学会参加者が現場の玄関で脱いだ靴は、社員がサッと向きを変えて、退出時にすぐに履けるようにしていました。参加者からは、「キレイでびっくりした」という感想があったのはもちろんのこと、「社員さんたちの表情が明るくて感動した」というコメントも、多数ありました。継続してきたからこその底力が、ここにあります。 (小早)おそうじデモンストレーター大槻飛鳥の おそうじ匠の技机のそうじパート1~整理①“机上ゼロ“にしてみよう~ 「机が整理されている人は、仕事ができる」とは、良く耳にする言葉ですね。なぜ仕事ができると言われるのか、理由は大きく3つあると思います。①モノを探すことがないので、その分だけ業務がはかどります。②机の上のスペースが広く、数種類の書類を見ながら仕事ができるので、効率が上がります。③余計なモノがないので、仕事に集中して取り組むことができるようになります。余計なモノが視界に入るだけで、人間は気が散ります。 そんな業務の効率化に直結する「机」のそうじ。どう進めていけばよいか、数回に分けてお伝えいたします。 一番最初にすることは「一旦すべて別の場所にどかし、机の上にはパソコンと電話だけの状態にする」ことです。この状態を『机上(きじょう)ゼロ』と呼びます。下記の手順で進めます。〈書類をどかす〉 机の上に、横積みにしている書類、立てて置いてあるファイル、カタログなど、すべてどかします。ブックエンドもどかします。〈書類トレーやペン立てをどかす〉 机の上に、書類を小分けに入れておくトレーなどがあれば、それらをどかします。ペン立てや小物も全部一旦どかします。パソコンの陰などに、忘れていた小物が隠れていることもあります。〈デスクマットをどかす〉 デスクマットに、古い名刺や年賀状、いつのものかも思い出せないようなメモなどがそのまま挟まって、風景と化してしまっていることがあります。それらをどかします。ついでに、デスクマットそのものも、どかします。〈机の脇、足元のモノをどかす〉 机上が終わったら、机の脇や足元のモノも、どかします。「なくした」と思っていたもの、「いつか使うかも」と思ってすっかり忘れていたものが出てくることがあります。 ここでのポイントは、「まずはどかすだけ」ということ。この段階で「気持ち良いな」と思えると、次の“捨てる“作業に前向きに取り掛かることができます。 (大槻)おそうじコラム無私無欲の人「大貫啓司」さん社会を良くする基本は清掃十年程前に、ある勉強会で知り合った大貫啓司さん(70才)。当初は、大貫さんの話を聞くたびに、「?」の連続でした。 「何をしている人なの?」「どうやって生活の糧を得ているの?」「なぜそこまで他人のためにできるの?」といった疑問が次々に湧いて来るのです。 大貫さんは、昭和20年に厚木の農家に生まれます。高校三年生の時に人生の矛盾や疑問に直面し、キリスト教に入信。伝道師として全国を巡回します。 結婚して下北沢に住んでいた頃は、毎日午前二時に起床し、下北沢駅の周辺や地域一帯を掃き清めていたそうです。 若者の多い街だけあって、イザコザはしょっちゅう。若者同士のケンカを仲裁したり、家出少年を諭して家に帰したりして、「下北沢の父」と呼ばれていました。 還暦後の六年間は、千葉県いすみ市に移住し、大自然の中で後継者を育成することに専念します。 その後、あるご縁で東京都亀戸のマンションの管理人として採用され、夫婦で住み込みで働くようになります。 ここでも、毎日未明から敷地内外の清掃活動に取り組み、住民同士のトラブルの仲裁に入り、高齢者の住民のお相手としてカラオケでご自慢の喉を披露され、住民の「アイドル」になります。 そして今度は、東京都世田谷区にある私立学校の松蔭学園に、住み込みの用務員として迎えられます。 この学校でも、今までと同じように、毎日夜明け前から清掃が始まります。学園の校庭や周辺の道路には、銀杏の木がたくさん。秋ともなれば、毎日大量の葉っぱとギンナンが落ちてきます。それをひたすら掃き続けます。暑い時期には、校庭や周辺地域の草むしり。周辺の住民からは、「大貫さんのおかげで町がキレイになった」と感謝されています。 毎朝一番に学校に入り、各部屋の鍵を開けて回ります。冬場は教職員室の暖房を入れて、先生たちを迎えます。生徒たちが寒い中を、部活動の朝練のために登校してくるのを、校門で笑顔で出迎えます。素行の悪い生徒は、大貫さんの家で一晩泊まり、一緒に清掃活動を行うという「ご褒美(?)」が与えられるそうです。 ストイックな大貫さんですが、とてもお茶目でユニーク。講演では「トイレは思考(シッコ)と空想(糞)をする場所だ」などとギャグを連発して笑わせてくれます。 自分の財産は一切持ちません。引っ越しをするたびに、物を捨てて、着の身着のままで移動します。大貫さんを陰で支える奥様には、おそらく人には言えないご苦労があっただろうと推察します。 凡人の私には、大貫さんが、なぜここまで無私無欲なのか、理解ができません。でも、きっと大貫さんは、これからもずっとこうして世のため人のために清掃を続けるのでしょう。 (小早) おそうじデモンストレーター飯塚輝明の輝ちゃんはミタ!(株)マルシャン「そうじの力」見学会レポート10月15日に、弊社支援先である新潟県長岡市のパン製造・卸の(株)マルシャンにおいて、「そうじの力」見学会が開催されました。見学会は、日々のそうじの成果を外部の方に見て頂くイベントで、同社では二年ぶり二回目の開催です。 見学会は、参加者に参考になるようにという狙いもありますが、一番刺激を受けるのは見てもらう側のマルシャンの社員であり、それがこのイベントの大きな目的です。 今期の活動の総リーダーは入社三年目の吉田さんです。参加者に向けてのプレゼンでは、社歴の長い先輩方の応援をもらいながら問題を解決し活動を進める様子をわかりやすく堂々と説明していました。 工場・事務所の見学では、各部署の活動リーダーが、自信を持った様子で成果を説明してくれました。単にそうじをしたことによるビフォーアフターの紹介だけでなく、そうじの活動を通しての業務改善の紹介が印象的でした。 左の写真は、コンベアベルトについたパンカスを自動的に拭取る装置を制作して取り付けた改善の様子です。ここのリーダーが「以前は、床にパンのカスが落ちないようにベルトを手で拭いていたのですが、この装置を取り付けたら、拭く手間とカスの落下が両方ともなくなりました。」と説明してくれました。この装置が取り組みの中で一番の自慢だと笑顔でアピールしてくれました。参加された方々の感想です。 『工場内を見学させて頂いて感じた事は、働いている社員の方々が全員明るいと感じました。私と同じくらいの方々が真剣にそうじに取り組む姿を見て私も負けないくらい頑張りたいです。』 『以前に参加させて頂いた時より格段にレベルが上がっていました。総ての食品工場がマルシャン様のように取り組めばフードセーフティーも守れると感じました。当社事務所でも取り組みを見直したいと思いました。』 『食品会社の清潔さでは、今まで見た中で一番でした。若い人の取り組みにやらされ感が無く、説明してくれる人たちが自身を持ってやっている。』 全国各所で見学会を企画中です。(飯塚)今月の読書から『ありがとうの神様』小林正観 著~幸せになる秘訣は「そうじ」と「笑い」と「感謝」~小林正観さんという「自己啓発講演家」とでも表現すべきちょっと不思議な人の本は、今までに数冊読んだことがあります。その小林正観さんが2011年に亡くなり、この本が今までに出版された本の「総集編」として再編集・発刊されたようです。 書いてある内容は、いわゆる「世間でよく聞く話」なのですが、一つひとつが私の心に突き刺さるようなことばかりです。 たとえば、〈何事も完璧にやろうとする人は、「花粉症」にかかりやすい〉というくだり。〈完全主義者の人は、完璧に物事をやらなければ気が済まないと思っている人です。〉〈人間はもともと、不完全です。ですから、いつも100点を取ることはできません。〉〈だから花粉症を治そうと思うのなら、完全主義者をやめて「いい加減な人」(よい加減の人)になることです。〉毎年春になると花粉症に悩まされる私には、思い当たるフシがあります。 一番グサッと来たのは、子どものしつけについてです。兄弟喧嘩ばかりする息子たちに対して怒鳴ってやめさせようとする母親を〈2人の子どもが喧嘩をするのは、この母親に原因があると私は思います。なぜなら、「目の前に気に入らない人がいたら、大声を出して、暴力的な態度と言葉で相手に言うことを聞かせる」という方法論を教え込んでいたからです。〉と評します。 〈「気に入らない人に対しては、大声を出して、威圧的に解決する」ことを教えられた子どもは、大きくなって結婚をして子どもを持つと、怒って怒鳴って威張って、暴力的に声を上げて、強権強圧的に育てる…という教育論を実践します。〉〈そして、その教育論を踏襲する家系は、何十代もずっと「強権強圧的な教育論」がまかり通っていく。〉〈子どもをきちんと育てるには、声を荒げてはいけません。〉〈言うことを聞いてくれなくでもいいのです。子どもとの関係は、「言うことを聞かせること」ではなく、「にこやかに、穏やかに言うという方法論があること」を教えることが大切なのです。〉 子どもたちに対して、言うことを聞かない場面で、ついつい声を荒げてしまう私には、後頭部をハンマーで殴られたような痛い教えでした。 さて、もちろん、「そうじ」のこともたくさん出てきます。 〈神様は、「見た目がキレイな人を応援し、心がキレイな人を応援し、さらに『身のまわりをキレイにしている人』を応援する」のだそうです。〉〈「身のまわりをキレイにする」のは、誰にでもできるのではないでしょうか。「美しい心」のようにわかりにくいものではなく、はっきりと目に見えてわかります。身のまわりを整理整頓すればいい。とくに、汚れが目立つ「トイレ」と「台所」と「洗面所」をキレイにしておくと、神様が評価してくれるようです。〉 「そうじ」と「笑い」と「感謝」が、人生を豊かにする秘訣だそうです。 (小早)お知らせ◆「そうじの力」セミナー日程 ・11月11日(水)14:00~15:30 群馬県利根沼田文化会館 講師:小早祥一郎 ・11月24日(火)15:00~16:30 東京都 台東区民会館 講師:小早祥一郎◆「そうじの力」企業見学会 ・12月19日(土)13:00~16:00 (有)ファイン 福井県鯖江市 ※印刷工場の事務所と工場見学 および小早の講演です。◆読者プレゼント! 「そうじの力」オリジナルキャップ ご希望の方に差し上げます。 ※数に限りがあります。 株式会社そうじの力そうじ(環境整備=5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を通じた経営改革の支援弊社はそうじを通じた「人づくりと組織づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。