【第126号】業界を超えて一流の会社へ|(株)西鶴
事例紹介社員の生活習慣が改善した! 〈業界を超えて一流の会社へ〉~(株)西鶴「そうじの力」~大阪で霊園運営と墓石販売を手掛ける(株)西鶴。霊園=墓地というと、一般的には「暗くて汚い」というイメージがありますが、「それではいけない!」と立ち上がったのが、山本一郎社長率いる西鶴です。同社は「ハピネスを提供する」という理念の下、「明るくキレイな」霊園を二つ、大阪府下に展開中です。私がお手伝いをはじめた時点で、既に業界の常識を覆す「明るくキレイな」霊園でした。園内にはバラの花が咲き、清掃も行き届いています。初めてここを訪れた人は、墓石さえ見なければ洋風庭園だと思うでしょう。しかし、山本社長は、「業界の中ではキレイだ、ではダメだ。そこで満足していたら進歩はない」と、弊社の支援を決められました。そうなれば、「そうじの力」に終わりはありません。改善すべき課題はたくさんあります。まずは、どんな会社にも当てはまるセオリー通り、「整理」つまり、不要なものを処分することから始めました。書類については、一見、ファイルの中にキレイに収まっているように見えるのですが、そのファイルの中身を細かく検分してみると、期限の切れたものや、今や用をなさないものなどがたくさん入っていました。また、書籍やカタログなども、「何となく置いてある」ものがあり、それらを処分することで、かなりの分量を減らすことができました。各人のデスクの上にも、当初はいろいろなものが置かれていたのですが、余計なものを処分し、「机上ゼロ」を徹底しました。引き出しの中も、「くり抜き」で整頓しました。この取り組みの中で、大きな変化があったのが、生花部です。お墓参りに来園されたお客様に花を販売する同部が、以前は課題を抱えていました。まず、在庫管理が出来ていません。それぞれの花が、いつ仕入れたものなのかが分からないため「先入れ先出し」が出来ず、結果として多くの花を枯らしてしまい、ロスが大きかったのです。整理・整頓を通じて在庫管理を徹底した結果、ロスも大幅に減り、売上はなんと四〇%もアップしました。これまでは花を、無機質な鉄製もしくはプラスチックの容器に入れていたのですが、社員のアイデアでステンレス製とガラス製の容器に変わり、見た目も美しくなりました。もう一つ、この活動を通じて大きな改善が見られたのが、社員個人の生活習慣です。Nさんはもともと、そうじが大の苦手でした。以前は車の中がグチャグチャでした。何回かの実習を通じて、今では車の中には無駄なものは一切ない状態を保てるようになりました。カバンの中身もしかりで、以前は余計なものが溢れていたカバンも、今では必要最小限のものしか入っていません。山本社長が言うには、以前はNさんは遅刻をしたり約束を忘れたりすることが多かったそうですが、今ではほとんどなくなったそうです。また、最近は商談の成約率が上がり、営業成績も上がってきたとか。そうじを通じて、「けじめ」をつける習慣が身について来たのでしょう。同社の特長は、みなさんが明るいこと。山本社長は仕事に対しては厳しい方ですが、とても明るい方です。ホスピタリティ溢れる同社が、そうじを通じて益々ウェルカムな会社に変わっていっています。山本社長は、「業界の枠を超えて一流の会社を作りたい」と言っています。(小早)おそうじデモンストレーター大槻飛鳥の おそうじ匠の技机のそうじパート3~整理③ 「なんとなく」書類の減らし方~ 今回は、前回の続き「なんとなく取ってある書類」の減らし方についてです。 「なんとなく取ってある書類」は、「なんとなくファイリングされている」ことが多く、一見整頓されてキレイに見えることがあります。大切なのは、見た目がキレイに見えることではありません。その書類が①本当に生きている状態であるか、②廃棄及び保管までのルールが明らかになっているかの2つが大事なのです。 まず、ファイルの中身を見る前に、「ファイルの中に何が入っているか認識しているか」を確認しましょう。全く思い出せない(認識できない)ものは、そもそも情報が生きていません。ざっと中を見て、不必要であれば処分しましょう。 「大体何が入っているか覚えている」ファイルだけになったら、丁寧に綴じてある書類を一旦すべて取り出します。次の4つの基準に照らし合わせて、不必要なものを減らしていきましょう。 <基準① 使用頻度>文書の利用率は、作成から1年経過すると1%だと言われています。つまり1年以内に見ていないものは、次に見ることはほぼないということです。その書類を最後に見たのはいつですか?<基準② 代替性>その書類は、今廃棄した場合二度と手に入らないものでしょうか。他人が原本を持っていたり、インターネットで入手することができるのであれば、自分の手元に常におく必要はありません。<基準③ 最新度>テキストやカタログは、古い年度のものは内容が変わっていることがあります。最新版だけにしましょう。<基準④ 顧客関係性>書類に顧客情報が紐づいている場合は、安易に廃棄することは危険です。しかし、それが机の中に埋もれていたのであれば、そもそもそこの場所にあっては活かされていないという事。顧客情報管理のしくみそのものを見直す必要があるかもしれません。 基準に沿って減らしていくと、手元に残るものが驚くほど少なくなります。 最後に、今後リバウンドしないようにするためのコツは、「基本その場で処理をする」ことです。例えば、一度見たらその場で捨てる。雑誌は最新号が届いたら、前号は捨てる。不要なDMなど中身を見る必要のないものは、そもそも開封せずに捨てる。名刺などはすぐにデータ化する。「勿体ない」「後で見るかもしれない」という執着を断ちましょう。サッと捨てることを繰り返すことによって、判断力が磨かれていきます。 次回は、文房具・その他の物の整理の方法についてお伝えします。 (大槻)おそうじコラム掲げることで安心していないか?~人が変わるには、具体的行動が必要~写真のような掲示を、多くの会社で見かけます。ところが、すべてではないものの、こうして掲げている会社に限って、汚いのです。 こうした掲示を掲げることに意味がないとは申しません。また、掲げれば掲げるほど逆の効果が出るというような「呪い」があるわけでもないでしょう(笑)。 しかし、こうして掲げている会社には、共通の「落とし穴」があるように思われるのです。 それは、経営者が、「掲示したことによって安心してしまう」ということです。 多くの会社で見られる光景ですが、ある伝達事項なり注意点なりについて、社員が「知らない」と答えると、経営者が「掲示板に掲示してあるだろ!」とか「回覧したはずだ!」と叱責するのです。 確かに掲示板には掲示してあるのです。回覧は回っているのです。その意味では、社員の不注意と言えるでしょう。しかし、だからといって社員のみを責められるでしょうか? 経営者は、掲示したことによって、そして回覧を回したことによって、「伝えた」と思うのでしょう。しかし、「伝える」ことと「伝わる」ことは違います。まして、「伝わった」ことを実行に移すかどうかということになると、よほど優秀な社員でなければ、そうはいかないでしょう。 私はよく、社内にそうじを定着させるにあたって、経営者の方々に「子どものしつけ」を引き合いに出して説明します。 子どもが悪さをしたり約束を守らなかったりすると、親は「前にも言ったよね!」と叱責します。場合によっては「何回言わせるの?」と詰問することもあります。私もついつい言ってしまいます。 子どもだって、悪気はないのです。でも、子どもにとって、一回や二回は、「言われた」うちに入らないのです。一〇回言ってダメなら一〇〇回言うくらいの覚悟が、親には必要です。 掲示しただけで社員に伝えたつもりになっているとしたら、それは経営者の怠慢です。直接言うことも大切です。そして何よりも経営者自身がそれを実践し、社員を巻き込む具体的アクションを起こさなければ、社員は動かないでしょう。 子どもは親の背中を見て育つと言います。同じように、社員は経営者の背中を見て行動するのです。 (小早)社長、小早 祥一郎の二〇一五年を振り返ってスタッフが「自立」に向けて一歩を踏み出した年でした二〇一五年度の弊社の経営計画書に、今年度の重点方針が掲げられています。①「そうじの力」とは何なのか誰もが理解・納得できるようにする。②スタッフの総力を結集して成果を出す体制にする。③どんな企業、経営者に対しても効果的な支援が行える体制を整える。④支援終了後も永続して進化し続けられる仕組みを確立する。 このうち、振り返ってみてもっとも成果が出たのが②です。②の解説です。 『当社の目指す姿は「自立連帯型」企業集団です。将来は、スタッフ全員が独立し、それぞれの屋号を持ちつつ、同じ「そうじの力」ブランドと共通の理念の下、お互いに協力しながらそれぞれの地域や特異貢献分野で仕事を進めていきたいと考えます。自立した人は、いわば惑星に対する恒星です。自らエネルギーを発し社会に対して影響力を発揮します。自立した人が増えるほど、社会が豊かになると考えます。当社のお客様は経営者です。経営者にモノを申し上げるのは、経営者でなければいけません。将来のそれぞれの独立に向けて、スタッフ全員が確実な成果を出すようにします。』 まずは、社員第一号の飯塚輝明が、自立に向けた第一歩を踏み出しました。 飯塚自身が行った営業活動により、お客様企業とコンサルティング支援契約を結ぶことができ、実際の支援現場にも飯塚単独で臨んでいます。 お客様は、群馬県高崎市の(株)高鐵工業で、鉄筋配筋を中心とした建設業です。先代から経営を引き継いだ二代目の大根原章友社長は、会社を変えるために何かをしなければいけない、と感じていたようです。 ちょうどその時に飯塚に出会い、「そうじを通じて社風を変えていく」という趣旨に賛同してくれました。 実際の取り組みでは、まず、長年の事業活動によって溜まった不要物を、徹底的に処分することから始めています。飯塚が、現場を歩きながら、具体的な整理の方法について、社長や社員さんたちに伝えていきます。最初は戸惑いの表情を見せていた社員さんたちも、今ではずいぶんと明るく積極的になってきたようです。 一方、女性の大槻飛鳥も、三社からご依頼を受けて講演をさせて頂きました。いずれも、参加者のアンケートを読む限り、内容に満足して頂けたようです。 今年一年で、「社員の自立」に向けて大きく展望が開けました。 (小早)今月の読書から『日本‐喪失と再起の物語(上・下)』デイヴィッド・ピリング著~日本は異質な国ではない~著者はフィナンシャル・タイムズ紙の元東京支局長で、現在は香港に拠点をおいて同紙のアジア編集長を務めています。 2011年3月11日の東日本大震災が、本書を執筆しようと思ったきっかけだと言います。この国が歴史的に何度も大きな危機に直面しながら、「災い転じて福となす」という強さを見せて回復してきた事実を、本書のタイトルに反映させています。 とはいえ、本書はよくある「日本論」とは違います。巷にあふれている日本論は、肯定的な意味でも否定的な意味でも、「日本は諸外国とは違う異質な国だ」という論調です。 しかし著者は、それを否定します。本書は全編にわたって中立的・客観的な視点で書かれており、日本を賞賛するわけでも卑下するわけでもなく、「日本の真の姿を伝える」ことに徹しています。 私も以前から、「日本という国は特別な国である」という論調に違和感を覚えていました。それを肯定的に利用しようとするのが右派で、否定的に利用しようとするのが左派というような構図もあるように思えます。 しかし、どんな国にも優れた面と劣った面があります。どんな国にも異質な文化があります。自分の国を客観的に見ることはとても大切なことだと思うのです。本書を読むと、日本やアジアのことをよく理解している外国人が、日本という国をどのように見ているのかが、よく分かります。 さて、そんな本書の中で、私が一番印象に残ったのが、福島第一原発事故に関するくだりです。国会事故調の報告書の最初のページを取り上げ、『大事故の根本的な原因は、特定の個人ではなく(報告書を読めば一部の個人に重大な責任があったことは火を見るより明らかだが)、むしろ日本文化〔ないしは国民性〕そのものにあると主張したのである。』と、驚きを持って書いています。『ある意味では、これは日本の戦争責任の取り方と通じる面があるかもしれない。日本人は皆等しく有罪であったから、誰にも責任はないというのと同じである。』と。 その戦争責任については、『天皇の名のもとに行われた戦争で膨大な数の日本兵が命を落とし、敵兵を殺したにもかかわらず、その張本人の罪が免除されたために、日本人が過去と向き合うことはますます困難になった。』と述べています。 一方、日本の美徳を素直に褒めたたえることも忘れてはいません。 『何しろ、英フィナンシャル・タイムズ紙の海外特派員として日本国内を頻繁に旅行した7年間において、長距離列車の遅延は一度しか記憶にない』 『日本人が通常はいかに居住環境を美しく清潔に保っているかがあらためて実感できる気がした』 やはり、日本人が規律や清潔、衛生を大切にする国民であることは、間違いないようです。 (小早)お知らせ◆「そうじの力」セミナー日程 ・1月19日(火)17:00~18:30 静岡県 沼津商工会議所 講師:小早祥一郎 ・1月21日(木)17:00~18:30 東京都 月島区民会館 講師:小早祥一郎 ・2月10日(水)15:00~16:30 群馬県 ビエント高崎 講師:小早祥一郎 ・「そうじの力」セミナー、参加費は いずれも一人3,000円(税込)◆読者プレゼント! 「そうじの力」オリジナルキャップ ご希望の方に差し上げます。 ※数に限りがあります。 株式会社そうじの力そうじ(環境整備=5S=整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を通じた経営改革の支援弊社はそうじを通じた「人づくりと組織づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。