【第127号】社員の発案で会社が変わる!|(株)コンビック
事例紹介社員の発案で会社が変わる! 〈ガテン系の会社がスマートな会社に〉~(株)コンビック「そうじの力」~東京都葛飾区亀有で解体業を中心に、建装業、足場架設施工、廃棄物処理業、不動産業を営む(株)コンビック。ここで、ちょうど一年前から「そうじの力」の活動が始まりました。同社を初めて訪問した時のことは、今でも覚えています。ビルの二階に入っている同社の玄関には、看板も何もなく、鉄の重たい扉を開けて、恐る恐る「あの~、こちらはコンビックさんでしょうか?」と問いかけながら中に入ったものです。当時、同社の人たちは、そのことに何の疑問も感じていなかったようです。私が「入りにくいですね」と指摘すると、「なるほど」とうなずき、すぐに看板がつきました。玄関には、もうひとつ驚かされることがありました。玄関先が、社員の喫煙所になっていたのです。つまり、同社を訪れる人は、まず最初にタバコの煙の歓迎を受けることになるのです。これも、私が「イメージが悪いですよ」と指摘すると、「なるほど」と、すぐに事務所内に喫煙ルームが作られ、玄関での喫煙は禁止になりました。合わせて、ヤニで黄ばんだ玄関先の壁と床を、喫煙者全員で拭き掃除をしたらしく、まっ白な床と壁になりました。実は、同社では最初の頃、訪問者に対して挨拶がありませんでした。こちらが「こんにちは」と挨拶すると、数人が「チョーッス」とか「ウーッス」という言葉を返してくれるだけです。いかにもガテン系の会社ですね。しかし今では、全員がにこやかな笑顔と共に「いらっしゃいませ!」という爽やかな挨拶を返してくれます。このように、同社は動きがとても早いのです。こちらが「これは良くないですね」「こうしたらいかがですか?」と投げかけると、次回の訪問日には、たいてい大きく改善されているのです。この「実行力」の高さは、さすがです。事務所は、活動当初、モノであふれかえっていました。そうじのイロハのイは整理、つまり「不要なものを捨てること」です。とにかくどんどん捨てていきました。もういい加減に捨て切っただろう、と思っても、きちんと検分してみると、まだまだ捨てられるものが出てきます。これを繰り返し、結局この一年間のほとんどを、捨てることに費やしました。そして、残った本当に必要なものを、使いやすいように配置していきました(整頓)。たとえば、現場で使う図面。以前は横積みされていましたが、今では縦に並べて収納されています。これならば、探しやすく取り出しやすいのです。同社の特長は、「社員主導型」だということ。そもそも同社におけるこの活動の発案者は、社員の野中英明さんです。女性社員から、「会社が汚くて嫌だ」という意見が出たのがきっかけだったそうです。ちょうどその頃、仕事の上でも行き詰まって打開策を探していた野中さんは、「これだ!」と思って「そうじの力」に取り組むことを社長に提案したそうです。ですから、野中さんら委員会メンバーに「やらされ感」はありません。こちらがヒントを与えると、自分たちで考えて、どんどん改善していきます。たとえば、ビル一階のゴミ置場の改善も、社員自らの手によるものです。以前はゴミ収集の日になるとゴミが散乱していましたが、置場を整えたことで、今はキレイに保たれています。同社の岩本勝幸社長も、社員に自由に活動させる度量があります。とはいえ、現在はまだ本社事務所だけの取り組みです。解体の拠点や足場置場、廃棄物処理のヤードなどは、これからの取り組みになります。ここからが、いよいよ本番です。 (小早)おそうじデモンストレーター大槻飛鳥の おそうじ匠の技机のそうじパート4~整理④ 書類以外のものの減らし方~ 机の上・中から書類が消えると、随分と景色が変わってきたのではないでしょうか?今回は「整理編」最終回、PC・電話・書類以外に机にあるもの(文房具類、書籍やCD、私物)を整理します。 ポイントは「今ここで使っているもの」、「しょっちゅう使うもの」 だけにすることです。<文房具類>①一旦すべて取り出す引き出しや入れ物の中から、一旦中身をすべて取り出します。メモや細かな部品が出てくることがあります。使っていなければ捨て、机以外に戻す場所があれば戻しましょう。②同じ種類のものに分類する黒ボールペン、黄蛍光ペン、消しゴム、ダブルクリップ小…など、同じ種類のものごとに分けましょう。この時、ペン類は必ずインクが出るか調べましょう。③手元には“1種類1つ”だけにする分類ができたら、それぞれ「普段から使っているもの」1つずつだけを選びます。残りは全て、社内共有の保管場所に戻しましょう。1つだけにすると、「失くすと自分が困る」ため、「ものを大切に使う」ことができるようになります。また、「予備用に」と2つ以上手元にペンを置いておくと、同時にインクが切れてしまうことがしばしばあります。1つを使い切ってから、次のものを使う方がいいのです。<書籍・CD類>手元には、「この机で今読んでいるもの、見るもの」だけを置くようにしましょう。それ以外は共有棚に置いておけば、他の人も勉強することができます。机は片付き、知識が広がり、一石二鳥です。<その他の物(私物)>例1)人からもらったお土産もの木彫りの熊の置物など、「飾る場所がないから“なんとなく”机に飾ってある」ものはないでしょうか?頂いたものは捨てづらいですよね。一旦ダンボール箱などに「封印」するのがおススメです。1年先の日付を箱に書いておき、離れたところに置きます。もし1年間封印が解かれなければ、中に何が入っているか忘れてしまっていると思いますので、封印を解かずにそのまま捨てましょう。例2)写真写真が封筒などに入れたまま置かれていませんか?会社で保管すべきものであれば、残すものを選んでアルバムに綴じましょう。そうでないものは、家に持ち帰って保管しましょう。「整理をやりきること」が、次のステップ「整頓」に進むために一番大切なことです。ぜひ、徹底して整理に取り組んでみてください。 (大槻)おそうじコラム空き家はなぜすぐに傷むのか?~人の手が入ることの大切さ~近年は、「空き家対策」が全国的な問題になっています。 高度経済成長期に雨後の筍のように建てられた一軒家が、高齢化の進展に伴い、主を失い、そのまま買い手や借り手がつかずに空き家として放置されてしまうのです。 この問題に関する考察はさておき、興味深いのは、「空き家はなぜすぐに傷むのか?」という疑問です。 街を歩いていて空き家を見かけると、庭の草木がボウボウに伸びているのはもちろんですが、ガラス窓が割れていたり、瓦屋根がくずれ落ちていたり、壁にひび割れがあったりします。 草木が伸びるのは、草むしりや剪定を行っていないのだから当然ですが、なぜ窓ガラスが割れたり、瓦が落ちたり、壁にひびが入ったりするのでしょうか? とても頑丈そうな鉄筋コンクリートのマンションなども、全入居者が退去すると、瞬く間に壁にひびが入ります。 通常、人が住んでいれば、特別なメンテナンスをしなくても、ガラス窓が割れたり、瓦が落ちたり、外壁にひびが入ったりすることはありません。 しかも、長期間放置されていたのであれば分かりますが、空き家になった途端にこうした傷みが出てくるのです。 そこには何か、物理的および化学的な作用以上のものが働いているようにも思えます。まさに、人間の発する「気」のようなものでしょうか? 人が住んでいる間は、その「気」が、無機物であるコンクリートやガラスや陶器に活力を与え、元気な状態を維持させているのではないでしょうか。 証明はできませんが、そんな気がします。人間の営みは、表面上の物理現象以上のエネルギーを持っているように思えるのです。 たとえば、最近は、「ルンバ」などの「おそうじロボット」がはやっています。技術的には、おそうじロボットが稼働することで、ゴミやホコリは除去されます。 しかし、人間が自ら汗を流してする「掃く、拭く、磨く」という行為には、表面上キレイにするという以上の作用があるのではないかと思うのです。 人間がそうじをした部屋と、ロボットがそうじをした部屋の、どちらが寿命が長いか、というような実験を行ったら、面白いかも知れません(笑)。 (小早)おそうじデモンストレーター飯塚輝明の出張おそうじデモンストレーション!実施レポート⑩「出張おそうじデモンストレーション」は、会社を変革する具体的な手段としての 「そうじの力」の一部をお試し体験できるプログラムです。 1回2時間で3名様までと限られた内容です。その中で、具体的なそうじの方法や楽しくできる方法をお伝えしています。プログラムの本当の醍醐味はその先にあります。終了後、参加した方が、そうじの楽しさや方法を会社の仲間に伝えて巻き込んでいくことです。 そのために参加する方が、見てやってみて教わる立場から、「そうじ」が出来て、さらに自分から人に伝えることが出来るまでを体験して頂くことを目指しています。 群馬県伊勢崎市の(株)小淵警備保障様 では、事務所の机の整理をテーマに実施いたしました。参加をして頂いた方の感想です。 小淵豊太郎様『やっていて楽しかったです。他の人に自慢したくなりました。今あるモノに愛着が湧きました。たくさんの人と一緒にやってみたいです。』 A様『〝そうじで会社が良くなる”なんて事は考えた事もなかったし、ウソっぽいと思っていたけど、話を聞いたり自分でやってみたりしてみると本当に良くなりそうな気がしてきました。すばらしいです。〝時間を決めて”というのも次回〝そうじしたい”という気になるので、素敵だと思いました。ありがとうございました。』 群馬県前橋市の(株)レイブ様 では、店舗のレジ周りの整理をテーマに実施いたしました。参加をして頂いた方の感想です。 福島雄一社長『一カ所を複数人で担当して気づきを共有するという事が大変勉強になりました。』 大畠直人様『自分も継続して行かなければいけないと思う。他人への伝え方も角が立たないようにうまくできるようにしたい。そうじから色んな事へ応用できる感じがしたので考えたい。もっと長い時間学びたいと思った。』 例えば「ここが汚いです」と角が立つ指摘をしてもお互いに上機嫌で解決できたら良い職場だと思います。そんな職場内の人間関係を作るには、みんなでする「そうじ」が一番の訓練です。 お問い合わせは、弊社ホームページの「出張おそうじデモンストレーション」 のページを御参照下さい。 (飯塚)今月の読書から『腐ったリンゴをどうするか?』釘原直樹著~手抜きを防ぐ方策はあるのか?~著者は「手抜き研究の第一人者」だそうです。そんな研究があったのか!と、笑ってしまいましたが、考えてみれば、とても奥深いテーマですね。 私も、企業をお手伝いする中で、「どうしたらそうじをしない社員をその気にさせることができるでしょうか?」というご相談を受けることがよくあります。本書は、そういったことに参考になるヒントが盛り込まれています。 本書の中で、興味深い実験が紹介されています。ある単純作業を10~12人の被験者と2人のサクラにやってもらいます。ある実験条件(A)では、監督者が席を外したすきに、サクラが「まったくくだらないな!こんな仕事やってられないよ」と発言し、もう一人のサクラが同調するのだそうです。 別の実験条件(B)では、監督者が2人のサクラの前で立ち止まり、「君の仕事は他の人と比べて見劣りする。これでは30点のボーナス点をあげることはできない」と被験者全員に聞こえるように言うのだそうです。 また別の実験条件(C)では、監督者が「これまでの経験から2時間でだいたい15枚のシートに記入できると思われます」と、実際の平均値以上の目標を被験者全員に伝えたのだそうです。 すると結果は、A「不穏当発言条件」では作業量が20%低下。B「サクラに罰が与えられる条件」では作業量に変化なし。C「目標設定条件」では作業量が26%上昇。 だったそうです。つまり、あきらかにやる気を阻害する行為や発言は、早めに芽を摘まないと、全員に伝染する。やらない人に罰を与えることは、他の人には影響を与えない。そして、全員に対して目標設定することが、一番パフォーマンスを高める、ということのようなのです。 また、単純で、慣れた、よく学習した課題では、一人で作業するよりも集団時のほうがパフォーマンスが上昇し、逆に複雑でまだ十分身についていない課題では、集団時ではパフォーマンス、特にその質が低下するのだそうです。 なるほど、だとすれば、そうじの取り組みにおいても、そうじを通じて何を成し遂げたいのかという目標設定をして、みんなで一緒に取り組むというのが、もっともはかどるやり方のようです。また、明らかにやる気のない人については、それが周囲に伝染しないうちに、個別に対策を打つ必要がありそうです。 最後に、とても興味深い一文をご紹介します。「仕事の内容や目標が従業員にとって価値があり重要なものである場合、同僚の意欲が低く無能であると思うほど、その分を補うべく努力する傾向が見いだされたのである。」へぇ~!そうなんですね! (小早)お知らせ◆「そうじの力」セミナー日程 ・2月10日(水)15:00~16:30 群馬県 ビエント高崎 講師:小早祥一郎 ・3月15日(火)18:00~19:30 東京都 台東区民会館 講師:小早祥一郎・「そうじの力」セミナー、参加費は いずれも一人3,000円(税込)株式会社そうじの力そうじ(=環境整備=5S=整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を通じた経営改革の支援弊社はそうじを通じた「人づくりと組織づくり」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。