【第135号】すべての行動を秩序づけていくのが”そうじ”|(株)小池勝次郎商店

支援事例紹介すべての行動を秩序づけていくのがそうじ~小池勝次郎商店「そうじの力」~埼玉県深谷市に本拠を置く、農業用資材の小売店、(株)小池勝次郎商店。ここで一年余り前から「そうじの力」の取り組みが始まっています。業界の体質なのかも知れませんが、当初は店舗内外、倉庫、事務所ともに、かなり乱れている状態でした。象徴的だったのが、倉庫代わりに使っていた、裏のビニールハウス二棟です。昨年二月の豪雪により、雪の重みで天井部分がひしゃげてしまいました。中に入っているものを確認してみると、消費期限の切れた除草剤、劣化して割れてしまったプラスチック製品、仕入れすぎて大量に積み上げられた製品在庫、などなど・・・。これらを、整理していきました。売り物にならないものは、廃棄しました。売れるものは、店頭に出しました。その結果、倉庫内にはモノがなくなり、ビニールハウス二棟は取り壊しました。こうしてできたスペースに、新たなビニールハウスを建てて、そこに野菜の苗の育成場を設けました。これまでは、店舗の脇に苗の育成場があったのですが、手狭で困っていたところです。効果は、スペースを有効活用できたことだけではありません。社員全員が、「適正な在庫」というものを強く意識するようになったはずです。店舗の奥にも倉庫があるのですが、当初はやはり、ほとんど売れる見込みのない製品在庫や、メーカーから送られてきてそのまま有効活用されていない景品などが積みあがっていました。これらを整理する中で、「使えるものは有効活用し、使わないものは最初から手に入れない」という意識が徐々に根付いてきたように思います。もうひとつの象徴的な出来事は、外回りの営業部隊の拠点である「中事務所」の改革です。当初は、書類がうず高く積み上げられていました。壁にはペタペタと無数の貼紙・・・。ただでさえ狭い事務所が、余計に狭く感じられます。「まずは机上ゼロにしましょう」と呼びかけてから、実際に机上ゼロになるまでに、何か月かかったことでしょう。難産でしたが、机の上と壁がクリアになりました。ここまで出来たのだから、思い切ってフリーアドレスにしてみてはいかが?と提案してみました。個々人のデスクを固定化せず、共用のテーブルで仕事をするシステムのことです。ここでも小さな抵抗はありましたが、やってみると、「お互いの顔が見えて、話がしやすくなりました」という感想が物語るように、スペースの有効活用だけでなく、コミュニケーションの活性化にも寄与しているようです。同社の特長は、トップである小池博社長の明るさと勉強熱心さです。毎回、私たちが訪問して指導する場面にも、笑いが溢れています。朝礼にも熱心に取り組んでいます。外部の自己啓発研修にも、社長を先頭に、社員たちが参加しています。しかし、私が気になったのは、「先約優先」が守られていないこと。たとえば、私たちの訪問があらかじめ予定されているにも関わらず、その日にお客様とのアポイントを入れてしまう営業マンがけっこういたのです。事の大小に関わらず、先に交わした約束を優先するのが「先約優先」です。こうしたことの乱れが、職場環境の乱れにつながっているのだと思います。逆に考えれば、職場環境を整えることを通して、「けじめ」や「秩序」を大切にする風土を培っていけるということです。店舗の入口に、当初はたくさんの幟(のぼり)が下がっていました。賑やかしとしては悪いことではありません。しかし、よく見ると、ほとんどの幟が千切れたり色褪せたりしていて、みっともないのです。そうじを通じて、こうしたことに「気づく」感性を養い、身の回りを秩序づけていく。秩序というベースを基に、明るさや勉強熱心さが花開けば、同社はもっともっと素晴らしい会社になっていくことでしょう。まだまだ課題はたくさんありますが、今後の展開が楽しみです。(小早)良い社風具現化プロデューサーが楽しくお届け!“そうじの力”おためし体験記エピソード4(株)井上製作所様「そうじの力」は、“やるからわかる”。「そうじ」はつまらない・つらいものではなく、社内が明るく楽しくなる、コミュニケーションの手段になります。そんな楽しい「そうじ」をまずは体験してもらいたい!という願いを込めて、1社1回限り無料で”そうじの力お試し体験“を実施しています。 東京都大田区の、(株)井上製作所。精密機械加工・アルミ押出型材加工メーカーです。社歴が長いため、溜まってしまったものも沢山あるとのこと。 今回のお試し体験では、廊下の共用棚にしまってある箱の中身をみんなで確認してみることにしました。 棚から箱を取り出し、中身を取り出しました。包み紙を一つ一つ開けると、小さな部品が出てきます。社長「これ見て。すごいね、昔こんなの作ったんだね」社員さん「あー…、これは削るの大変ですね」  包まれていたのは、切削にたくさんの手間がかかる部品の製品在庫。「いつかまた注文が入った時のため」と、とっておいたようです。しかし、生産からは10年近く経っているものでした。しばし部品を見つめる社長…。「…見本に一つ残して、あとは処分しよう!」と、自ら仕分けを開始! それを見ていた別の社員さん。ずっととっておいた書類の控えを捨て始めました。社長「あれ?その書類は捨てても大丈夫なの?」社員さん「古い控えをとっておいたんです。でも、もう使わないので大丈夫です」 社長の“捨てる“決断が、会社を動かしていく!と感じる1時間でした(^-^)。 井上健太郎社長の感想です。「本日、永い間蓋を空けていない箱を整理し、『実はいらない』というものを捨てるきっかけになりました。普段見ているようで見ていない場所のそうじの大切さを実感できました。そうじを指導いただく理由がわかりました」 私たちは、そうじを通じて、社内の心が通い合う「良い社風」をつくるお手伝いをしています。お試し体験は、それを体感できる場。ぜひお気軽に「我が社でも体験してみたい!」と、お声がけくださいませ!全国対応いたします。メール・お電話にてどうぞ。 (大槻)「そうじの力」コラム「常識」を疑う~せっけんや洗剤は必要か?~カミングアウトしますが、私は五年ほど前から、風呂でせっけんやシャンプーをいっさい使っていません。潔癖症の女性ならば、「えーっ!」と引いてしまうかも知れませんが、別に問題ありません。 タオルにお湯を含ませてゴシゴシするだけで、体の汚れは十分に落ちます。頭も、シャワーをかけながら指先でゴシゴシするだけで、十分キレイになります。 考えてみてください。もともと汗も皮脂汚れも自分の体内から出てきたものです。人工的に作られたものを使わなければ落ちないような成分は含まれていません。 自慢ではありませんが、私の肌はツヤツヤです(←自慢)。髪の毛もツヤとハリがあります。せっけんやシャンプーを使わないおかげなのかも知れません。 せっけんやシャンプーを使わなければ汚れが落ちない、というのはおそらく日用品メーカーの仕掛けた「洗脳」でしょう。せっけんを使うことで必要以上に肌の脂分が流出してしまい、乾燥肌になってしまいます。だから「保湿液をどうぞ!」と売りつけるのでしょう。シャンプーを使うことで髪が傷むので、「リンスをどうぞ!」と罠に呼び込むのです。 まったく同じことが、そうじをする際に使う洗剤にも言えます。そうじをする時、多くの場合、私は洗剤を使いません。 そもそも、せっけんも洗剤も、主成分は「界面活性剤」です。界面活性剤の役割は、本来は混じり合わない油分と水分を混じり合うようにして、油分を落としやすくするものです。ですから、油汚れには有効なのです。 トイレそうじを思い浮かべてください。トイレの汚れは、主に尿、大便、水垢などでしょう。大便の中に多少の脂分が含まれるかも知れませんが、わずかなものです。つまり、界面活性剤の活躍の場がないのです。だから、通常の汚れならば、水やお湯を使ってそうじをすれば、落ちるのです。 一方、尿石や水垢といったこびりついてしまった汚れは、洗剤では落ちません。固い素材のナイロンわしなどを使ってこするか、もしくは塩酸を使います。 いずれにしても、せっけんや洗剤は油汚れにこそ有効なのであって、必ず必要なものでもなければ万能でもありません。 世の中には、こうした「常識」がたくさんあります。以前に洗脳についての本を紹介した折にも書きましたが、こうした「常識」に洗脳されないためには、①しっかりした自分の軸を持つこと。②多面的に情報を取ること。③常に生の現実に触れること。だと思います。そうじは「生の現実に触れる」格好の手段です(笑)。     (小早)良い社風具現化プロデューサー飯塚輝明の輝ちゃんはミタ!~(株)小池勝次郎商店 小池博社長インタビュー~今号の事例紹介記事で登場している(株)小池勝次郎商店の小池博社長にインタビューをしてまいりました。その中から印象的だった内容をご紹介いたします。 Q.そうじの力活動を通して、会社内で変化してきたことは?               小池社長 ①「業務部の女性3人が一生懸命チームワークを組んで、事務用品の管理を一括化できました。そのおかげで事務用品の購入費が1年で18万円減りました。」②「どこになにがあるか迷う事が無くなったので、お客様からの受注対応が早くなりました。」③「外販部内のコミュニケーションが格段に良くなって、売り上げ目標に対する意識や、数字が足らない人にはみんなで支援をしていく意識が芽生えました。だから業績面では計画を達成していますよね(笑)。」   Q.現在の課題は?①「捨てるということは出来るようになって来ました。整頓や清掃を含め継続をしていく事が課題です。」②「まだやらされ感が強いと思うので、自ら整理・整頓・清掃活動が楽しいと思ってもらえるように雰囲気作りをするのが私の課題だと思います。」 Q.今後の抱負は?①「自社で業績を良くする、一人一人の気づきを良くするというのはもちろんです。」②「さらに、自社で体験として得たものを農家さん(お客様)の所で反映させていきたい。例えば、農家さんの倉庫に行った時に、ちょっとしたアドバイスでその倉庫が片付く、その結果その農家さんの経営が良くなるというのが、目指す所だと思います。」 小池勝次郎商店の企業理念は「日本の農家を活性化し、農家を豊かに元気にする」というものです。自社の業績向上の体験を農家さんにも拡げることが、企業理念の追求になるのだと強く感じられました。そうじの力の活動がそのお役にたてているのだとしたら私たちにとってもとてもうれしい事です。Q最後にこれだけは伝えたいことは?①「自分は肚を決めたので一生懸命取り組んでまいりたいと思っています。」②「やったほうがいいですよ! (全国の経営者の)みなさん! 本当にやった方がいい、そう思います(笑)。」 小池博社長、ありがとうございました。(インタビュアー:飯塚)   今月の読書から『陸王』池井戸潤著~小さな企業だからこそ、輝ける!~池井戸潤による、〈弱小企業vs大企業〉のエンタテイメント小説です。舞台は創業100年の足袋製造会社「こはぜ屋」。社員27名、売上7~8億円の小さな企業です。 足袋の需要減少を補う新規事業として、足袋型のランニングシューズの開発に打って出るところから、物語は始まります。こはぜ屋社長の宮沢を軸にして、大手シューズメーカー、アトランティスとの競合、箱根駅伝や実業団駅伝のトップ選手への供給合戦、資金調達の苦闘などが展開されていきます。 この本の中に、たくさんの魅力的なせりふが出てきますのでご紹介します。 「実績は一日にして成立しない。アトランティスだって、50年近いシューズメーカーとしての研鑚の上にいまがある。50年前、アトランティスもちっぽけな会社で、お金も潤沢にあるわけでなく、今の宮沢さんが抱えているのと同じ悩みと闘っていたと思います。その中から彼らはいまの地位を築いてきたんです。」 「一足いくらぐらいで売りたいんだ」「できれば6,000円から8,000円前後・・・」「安い。高く、じゃなく、適正価格で売れといっているんだ。安売りしていいことは何もない。安ければ売れると思うのは、商売を知らない奴の感覚だ」 「私には夢があるんです」「そのソールでシューズを完成させ、トップアスリートに履いてもらいたいんです」「いいじゃないですか、その夢。私もそれに乗りますよ」 「何か新しいものを開発するということは、そもそもこういうことなのかもしれない。困難であろうと、これを乗り越えないことには、次に進めない。だったら、そのために戦うしかない。時間と体力の許す限り。」 「ノーリスクの事業なんてありませんよ。進むべき道を決めたら、あとは最大限の努力をして可能性を信じるしかない。でもね、それが一番苦しいんですよ。保証のないものを信じるってことが」 「勘違いすんなよ。代わりが無いといったところで、部品は所詮、部品だ」「大事なのは、ノウハウですか」「いや。違う」「人だよ。絶対に代わりが無いのは、モノじゃない。人なんだ」 「オレにいわせれば、会社が大きいから入りたいっていう動機は間違っているな」「大事なのは会社の大小じゃなく、プライドを持って仕事ができるかどうかだと思うね」「いい学校を出て、いい会社に入る-。その延長線上にくるのは、結局のところ会社の看板であり、組織の肩書さ。」「本当のプライドってのは、看板でも肩書でもない。自分の仕事に対して抱くものなんだ。会社が大きくても小さくても、肩書が立派だろうとそうじゃなかろうと、そんなことは関係ない。どれだけ自分と、自分の仕事に責任と価値を見いだせるかさ」 小さな会社でも、いや、小さな会社だからこそ、輝けることがあると信じます。弊社は中小企業を支援することを社是としています。これからも中小企業を応援し続けます。              (小早)お知らせ◆「社内活性化」セミナー日程  ・10月7日(金)15:00~16:30 群馬県  ビエント高崎 講師:小早祥一郎 ・10月17日(月)18:30~20:00 静岡県  沼津商工会議所 講師:小早祥一郎◆小冊子無料頒布『働くってどういうこと?』小早祥一郎が中学校で講演した講演録です。ご希望の方に無料で差し上げます。ご請求は巻末の連絡先まで。◆読者プレゼント! 「そうじの力」オリジナルTシャツ。 抽選で5名様に差し上げます。株式会社そうじの力社内コミュニケーション活性化の支援弊社はそうじ(環境整備=5S=整理・整頓・清掃・清潔・躾)を通じた「社内コミュニケーション活性化」を支援します。講義、現場巡回、チームミーティング、体験実習、計画作りを通じて、社長と社員の意識改革を図り、健全な企業風土作りをお手伝いします。支援期間は1年から。毎月2回訪問を原則としますが、状況とご要望に応じて、プログラムをオーダーメイドします。また各種団体向けの講演のご依頼も受け付けております。(全国対応)お気軽にお問い合せください。